2024年09月06日(金)公開
三重・土地代なんと200万円の460坪の家 広大な土地にもかかわらずあえて25坪の家を建てた理由とは? 大きな余白の使い道は将来の未来に・・!
編集部セレクト
舞台は、伊賀流忍者の里・三重県伊賀市。広大な土地に、あえて小さな平屋を建てた住人(アルジ)とその家を紹介する。
住人(アルジ)は3人の子どもがいる夫妻。長男は親元を離れて下宿中のため、現在は4人で暮らしている。夫は陶芸家で、祖父の代から続く伊賀焼の窯元「光月窯」の三代目。1年半前、工房から車で10分の場所に新居を構えた。460坪もある草原のような広々とした敷地には、屋根も壁もガルバリウム鋼板のスタイリッシュな平屋がぽつんと一軒たたずんでいる。
10代の頃は「好きなことがやりたい」と大阪に飛び出し、パーソナルトレーナーをしていた夫。だが、あるとき家業を継ぐと決め、30歳で大学に通って一から陶芸を勉強しなおした。その後、中学の同級生だった妻と結婚。家を建てる土地を探していると、妻の実家の隣に空き地があることが判明。そこで持ち主にダメもとで交渉をしたという。すると「伊賀焼で頑張っている若者になら」と、なんと200万円で売ってくれることに。こうして格安で広い土地を手に入れた夫妻だが、2人は「どうしても平屋がいい」と切望。妻の実家が広すぎて大変だったこと、そして夫は陶芸家、妻は介護福祉士として忙しい日々を送っていたためで、あえてわずか25坪の平屋にして、家事や育児を効率よくできる工夫を詰め込んだのだった。
メインスペースは木のぬくもりを感じる17帖のリビングダイニングキッチン。カーテンがない大開口からは、家の中にいても外と変わらない豊かな緑が広がる。その一角にあるのが、5帖のコンパクトなリビング。安価な合板で壁付けのソファーフレームを作り、無印良品のクッションを置いただけの簡易ソファーがある。簡単にはずせるので、汚れた部分だけ洗濯が可能だ。
一方、思い切って大きく作ったのが約8帖のダイニングキッチン。背面の大きな扉は収納で、見られたくないものを一瞬で隠せるという“家事楽ポイント”になっている。収納の引き出しにある大量の器は夫が作ったもの。実際に妻に使ってもらい、アドバイスを聞いてから商品化しているのだそう。夫の器のおかげで、手抜きでも凝った料理のように見栄えがよくなるのも家事楽ポイントだとか。
ダイニングキッチンの他にもう1つ広くとった場所が、家で一番日当たりの良い南側に設けた5帖のランドリールーム。小さな平屋には贅沢なスペースだが、夫妻共働きなので、毎日の洗濯を楽にする家事動線を優先した。
ランドリールームの隣は、洗濯物をハンガーのまま収納できるクローゼット。その奥は寝室で、別の扉をあけるとリビングに戻る。実は家全体が1周ぐるりと回れる、家事や生活にスムーズな回遊動線になっている。
そんな家の中心には、丸い巨大な柱のようなものがある。その正体は、らせん階段。上の屋根裏部屋は夫が作品の構想を練るときにこもる研究所として利用している。実は、平屋ながらわざわざ屋根裏部屋を作ったのには、この土地ならではともいえる夫妻2人の趣味も関係しているそうで…?
460坪もの広い敷地にあえて小さく建てた平屋。妻は、「やっぱり家事楽ですし、コンパクトな設計なので、将来夫婦2人になっても苦労のない暮らしができるのが目に見えてわかる」と住み心地に満足する。一方、夫もゆくゆくは「離れみたいな形の工房を作れたら」と目標を明かし、今はまだ小さな子どもたちにも「自分の好きな人生を歩んでもらって。土地は広いので、横に家を建てるなりご自由にどうぞっていう感じです」と伝える。
あえて小さく立てたことで大きな余白がどう変化するのか、楽しみがずっと続く家になりそうだ。
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