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本人そっくりの『アンドロイド』開発者が手掛ける万博パビリオン...「未来の人間は浮遊するというか重力から解放されている感じ」1000年後の『いのち』を考える展示目指す

2023年11月30日(木)放送

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 開催まで約500日となった大阪・関西万博。会場にはどのようなパビリオンができるのでしょうか?万博に向けた準備のいまを取材しました。

海外勢で初めて予定地が引き渡されたトルクメニスタン

 11月16日、大阪・夢洲の万博予定地に黒塗りの車列が入りました。車から降り立ったのは、中央アジアの国・トルクメニスタンの万博担当の大臣です。この日、海外勢として初めてパビリオン予定地の引き渡しが行われました。

 (トルクメニスタンの関係者)「私たち以外は、旗を立てたり、囲いを作っている国はないですね」
 (施工業者)「ないです。初めてです」

 トルクメニスタンは人口約650万人、その多くをイスラム教徒が占めています。古代シルクロードの要所で歴史的な遺跡が多く、絨毯や馬が名産です。
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 世界中から人が集まる万博は、国を知ってもらう絶好の機会だと担当者は話します。

 (トルクメニスタンの万博担当者)「万博はわが国の発展や世界遺産、文化を世界の人たちに知ってもらうための重要なイベントです。準備はとても順調です。一番乗りで土地の引き渡しを受けたので、すぐにでもパビリオンの建設を始めるつもりです」

愛知万博のときと比較…ギリシャ「この時期だともうちょっと話が進んでいたような印象」

 国の期待を背負い建設が始まりつつあるパビリオン。しかし、順風満帆な国ばかりではありません。11月29日時点で、約50か国がパビリオンを独自に設計、建設して出展することを目指していますが、資材の高騰や人手不足などで建設会社が決まっているのは30か国にとどまっています。
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 (ポーランドの担当者 建設会社未定※11月15日時点)「ポーランドのデザインは複雑で結構工期がかかると言われています。最初に手を挙げてくださったゼネコンが、やっぱり難しいとか、時間が限られているので間に合わない可能性が高いとか、リスクが高すぎるとか、責任を取れないと言うようになったんです」
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 (クウェートの担当者 建設会社決定※11月14日時点)「非常に多くの課題があります。ほとんどは人件費と設備のことです。工事現場の入口が1つしかない可能性があるので、みんな同時に作業するとなると大変ですね」
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 ギリシャは、「西洋文明の始まりの地」であることを体感できるパビリオンを出展する予定ですが…。

 (駐日ギリシャ大使館 カラペツァス・アタナシオス全権公使)「愛知万博のときも日本でギリシャの万博担当をしていましたが、この時期だともうちょっと話が進んでいたような印象です。博覧会協会は参加国の悩みや課題を聞いて解決策を一緒に考えることがとても大事になってくると思います」

“人間とロボットが共存する未来社会”を体験できるパビリオン 石黒教授がプロデュース

 海外パビリオンの遅れが指摘される一方で、国内の準備は着々と進んでいます。10月中旬、京都府の山中では、あるパビリオンの試作が行われていました。
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 現場を訪れたのは、大阪大学の石黒浩教授。日本のロボット工学の第一人者で、万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」を体感できるシグネチャーパビリオンの1つをプロデュースしています。

 (石黒浩教授)「引き受けた方がいいかどうかと考える時期があったんですけれども、考えている間にコロナが来て、コロナが来ても開催できるようなパビリオン、リアルもバーチャルもちゃんとやって、そこにいろんな人が集まれる仕組みを取り入れた万博ができればなと思った」

 手掛けるのは「いのちを拡げる」をテーマに、人間とロボットが共存する未来社会を体験できるパビリオン。現場だけでなくバーチャルでも楽しめる仕掛けを施す予定です。

 その展示の根幹を支えるのがアンドロイド。石黒教授が開発中の最新のアンドロイド「ジェミノイドHI-6」を見せてもらいました。
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 (記者)「万博ではどんなことを伝えたいですか?」
 (ジェミノイドHI-6)「えっと、万博では科学技術の進化により、未来の人間の姿や社会の変化を具体的に体感してもらい、来場者に未来に向けた夢を持ってもらいたいです。具体的には50年後の未来の病院や学校、職場、暮らしの変化を展示し、さらには1000年や1万年、10万年後の科学技術による人間の進化を想像させる展示も検討しています」

 このアンドロイドには石黒教授の書いた本や過去のインタビュー記事などがインプットされていて、ほぼすべての質問に教授と同じように回答できるといいます。

 (記者)「好きな食べ物はなんですか?」
 (ジェミノイドHI-6)「私の好物はプッチンプリンです」
 (記者)「石黒教授がプッチンプリンが好きなんですか?」
 (石黒浩教授)「そうですよ。こいつ(アンドロイド)じゃないですよ。僕が好きだということが本か記事かに書いてあるんですよ。そういうのが全部入っていて、それをベースに答えているので僕が答えるのと一緒です」

 こうした研究を発展させ、万博では様々な場面で暮らしを支えるアンドロイドが投入される予定で、50年後の社会がどうなっているのかや、1000年後の“いのち”について考えてもらえる展示を目指しています。

「子どもたちがこの未来を作りたいと思えるような万博にしたい」

 11月中旬、石黒教授は東京にいました。1000年後の人間とアンドロイドをパビリオンでどう表現するのかの打ち合わせです。ファッションやロボットデザインの専門家らと議論を交わし、はるか未来の“いのち”の姿を具現化していきます。

 【担当者らとの議論の様子】
 (石黒浩教授)「未来の人間って浮遊するというか重力から解放されてるっていう感じが出るので、空の人魚みたいな感じで思われる方がいいかなと」
 (廣川玉枝さん)「やっぱり1000年先は柔らかさの印象を与えるのが一番いいかなと。20世紀的なロボットとかアンドロイドは固い外皮で包まれていたので柔らかい印象はまったくないんですよ」
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 (1000年後のアンドロイドの衣装担当 廣川玉枝さん)「もちろんアンドロイドの服を作ったことがないので、そういった部分では1つの挑戦ではあるかなと。やりがいもあるといいますか、今までになかったことなので自分も学びながら作っている」
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 (1000年後のアンドロイドのデザイン担当 松井龍哉さん)「1000年後を考える時は1000年前を考える。平安時代から変わっていることと変わっていないことが明確にわかるんですよね。変わっていないことを押さえて、変わるとするとテクノロジーの部分ですので、その想像力と人間として変わらない部分をどうバランスをとるかというところだと思います」
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 (石黒浩教授)「もっともっと世の中は変わるし、生活も変わるわけですよね。でもそれを変えていくのは自分たちなんですよね。50年たったら今の子どもたちは大人になっている。小さい子どもたちがこの未来を作りたいと具体的に思えるような万博にしたいと思っています。自分たちで未来をちゃんと明るくポジティブに想像できるきっかけをこの万博で持ってもらえるといいなと思います」

ヘリを使った『富裕層向けツアー』その狙いとは?

 一方、こんな動きも。颯爽とヘリコプターに乗り込むのは大阪観光局の溝畑宏理事長。万博を前に、このヘリを活用して“ある課題”を克服しようというのです。万博では約2820万人の来場者が予想されています。うち350万人は外国人観光客。大阪観光局としては、開催地・大阪以外にも足をのばしてもらうことで、関西全体の活性化を狙っていますが、そう簡単ではないようです。というのも…。
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 (ドイツから来た人)「(Qどこに行く?)大阪と東京、京都に行きます。(Q和歌山に行く予定は?)ないです。予定に入ってないし」
 (アメリカから来た人)「知らないな、ワカヤマって何?」

 (フランスから来た人)「(Q和歌山に行く予定は?)どこですか?沖縄のことを言ってるの?」
 (近くにいた人)「和歌山、大阪の隣にあるよ」
 (フランスから来た人)「あー、なるほど大阪の隣ね。知らないな」
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 大阪観光局のデータ(※2019年)では、関西空港に到着した外国人観光客のうち、大阪を訪れる人が97%、京都が62%いるのに対して、奈良は34%、兵庫は12%、和歌山にいたってはたった3%に留まっているのです(滋賀は2%)。
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 移動距離とその時間が理由の1つとみられ、その克服の手段がヘリというわけです。例えば、和歌山は車だと大阪市内から約1時間半かかりますが、ヘリだとわずか15分。

 (溝畑宏理事長)「たくさんお金を落としてもらう仕組みを作るためには、大阪万博・IR開業を見据える。日本の観光の課題はラグジュアリー対策なんですよ」
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 万博を訪れた富裕層向けに、ヘリコプターで移動する観光ツアーを企画。上空から見下ろすと、現在建設中の万博会場も一望できます。
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 ほかにも、堺市の世界遺産である百舌鳥・古市古墳群などを遊覧飛行し、30分で和歌山マリーナシティに到着。

 (溝畑宏理事長)「普段見られない風景がいっぱい見られて、万博会場がどうなっているかよく見えたからそれが一番感動しましたね」

 溝畑さんが訪れたのは、マリーナシティの隣にある黒潮市場。約4割が海外からの観光客だといいます。
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 (溝畑理事長)「どこの国の人が多いですか?中国ですか?」
 (黒潮市場の支配人)「中国が今までは一番多かったですけどね、今ちょっと少ないですね…」
 (溝畑理事長)「ヨーロッパは少ないんですか?欧米系は?」
 (黒潮市場の支配人)「欧米系は夏場は多かったですね」
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 市場で地元の特産品などを視察した後は、前日に串本町で水揚げされたばかりの本鮪の解体ショーへ。

 (溝畑宏理事長)「外国人が結構多いですね。大阪や関西に来られたお客さんを集客すべきですね」
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 早速、捌きたての鮪の3色丼を試食。

 (溝畑宏理事長)「おいしい。歯ごたえがありますね」

 既に、今回の視察と同様のツアープランの予約を11月に始めています。
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 (溝畑宏理事長)「大阪は関西の玄関口やから、そこで全部客を囲い込むのではなくて、関西を周遊してもらうことで結果的に大阪も潤うんですよ。長期間、来てもらうためには和歌山との連携が大事ですね」

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