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日本有数の観光名所に『2年間放置の謎の小屋』計画途中で法人解散"宙ぶらりん"...元理事を直撃「もうなんとも言えない」

2022年09月12日(月)放送

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 秋の行楽シーズンには多くの観光客が訪れる京都・嵐山。実は今、趣ある風景に似つかわしくない建物が渡月橋のすぐ近くで放置されていて、近隣住民らが憤っています。

嵐山・渡月橋のすぐ近くに放置された建物

 9月4日、京都の観光地・嵐山で近隣住民ら約100人が清掃活動を行っていました。美しい景観を守りたいという強い思いがあります。
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 近くでカフェを営む吉田憲司さん(68)の怒りの矛先は、渡月橋の目と鼻の先、観光客が行き来する川沿いの建物です。
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 取材班が建物に近づいてみました。

 (記者リポート)
 「網で中が見えるようになっていまして、草がかなり高く、自分の背よりも高いくらい草が生えています。発泡スチロールでしょうか、無惨な状態で散乱していまして、嵐山とは思えないような光景が広がっています」

 建物の一部に屋根はなく、周りは網で覆われています。一見、日本庭園のようにも見えますが、現在は草が生い茂っていて、長い間放置されているようです。

 (近くでカフェを経営 吉田憲司さん)
 「ほんまに見てくれが悪いので、(放置されてもうすぐ)3年ですけど、阪急の駅から降りてこられてパッと渡月橋が見渡せる場所なんで、何かに利用されるんだったらいいんですけど、このまま放っておかれるのはどうかなと思う」

 嵐山を訪れた観光客からは次のような声が聞かれました。

 (観光客)
 「(Q後ろの建物は何だと思う?)え、これ!?いや、さっぱり。屋根もないし」
 「わからないですね」
 「2週間くらい前にも(旅行に来て)散歩して、これなんだろうと思って見ていた。景観がね、あんまり…」

建物は『鵜を飼育するための鵜小屋』

 観光名所・嵐山の中心部で約2年半も放置されている謎の建物。一体、何のために造られたのでしょうか。

 (近くでカフェを経営 吉田憲司さん)
 「元々鵜をここで飼うみたいな話を聞いていたので。それだったら皆さんにお声がけしてここでもいいんじゃないかということになったんですけどね」

 建物は鵜を操ってアユなどを獲る『鵜飼』のために造られたというのです。

観光スポットを目指していたが…

 鵜飼文化の振興を目的とする一般社団法人「嵐山鵜飼観光文化振興協会」、通称「鵜飼協会」は3年前、京都府からの許可を受けて鵜を飼育するための鵜小屋の建設を始めました。
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 完成予想の模型では、鵜飼をイメージした船が浮かび、その周りに鵜がいます。見物客の模型もあることから観光スポットを目指していたようです。
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 この年に行われた全国11か所の鵜飼関係者が一堂に会する全国鵜飼サミットでは…。

 (京都市 門川大作市長 3年前)
 「京都においても鵜小屋を造ろうと。景観などの規制で時間はかかりましたけど見通しが立ってきたので。来年には素晴らしいものができるなと思っております」

『社長』兼『理事』が解任・辞任…法人解散で小屋は“宙ぶらりん”に

 京都市も完成を期待していた鵜小屋がなぜ放置されているのか?嵐山で約70年にわたり鵜飼を行っている嵐山通船に話を聞きました。
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 飼い慣らしている25匹の鵜をあの小屋に移す予定でしたが…。

 (嵐山通船 小島義伸社長)
 「前社長が株主総会の前の役員会で解任されて、その後、1年後になったら前社長が理事をやっている一般社団法人(鵜飼協会)も解散してしまって、宙ぶらりんになっているんですね。あの小屋は」
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 嵐山通船は2020年4月、「経費を私的に流用した」として前社長を解任し、約1100万円の損害賠償を求めて提訴しました。前社長は鵜小屋を建設していた社団法人「鵜飼協会」の理事も務めていましたが、社長解任後すぐに鵜飼協会の理事も辞任。すると協会は解散し、鵜小屋の建設も止まってしまったというのです。

 (嵐山通船 小島義伸社長)
 「京都府が一般社団法人(鵜飼協会)に許可下ろしたんやから、責任は一般社団法人(鵜飼協会)にあると思うんですよ」
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 鵜飼協会が当時京都府に提出した誓約書には“鵜飼協会が鵜小屋の全責任を負う”と明記されています。

 【鵜飼協会が提出した誓約書より】
 『設置許可を受けて建築した鵜飼小屋の維持・管理等一切のことについては当振興協会が全責任をもって適切に行う』

工事は嵐山通船と工事業者の間で契約

 このことから嵐山通船は、鵜小屋が放置された責任は鵜飼協会にあると主張しますが、京都府からは予想外の反応が。

 (京都府職員)
 「(建設費)760万なにがしかくらいの一部を解体費用にあてていただく」
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 京都府から鵜小屋建設の許可を受けたのは鵜飼協会ですが、工事の契約は協会ではなく嵐山通船と工事業者の間で結ばれていました。鵜飼協会が解散したため、京都府は嵐山通船に対して鵜小屋の撤去費用として約760万円を支払うよう求めたのです。

 (嵐山通船 小島義伸社長)
 「今になって5年間の許可を出した京都府がうちの会社に鵜小屋の面倒を見ろと、なんかわけのわからないことを京都府が言ってくるのでね、うちも対処できていない状態なんです」

前社長を直撃「私がどうこう動ける立場じゃない」

 また鵜飼協会の代理人も、前社長が工事の契約を行ったことを理由に、「嵐山通船が責任を負うべき」と主張。そこで取材班は両者の事情を知るキーマンである嵐山通船の前社長に直撃しました。

 (嵐山通船の前社長)
 「(Q鵜小屋はなぜ放置されているんですか?)それはもう向こうに聞いてください。(Q嵐山通船のせいってことですか?)いやいや、そういうのじゃないです。(Q誰かが対処しないといけないがその立場ではない?)今、正直その立場にいないので、嵐山通船にも属していません。一般社団法人(鵜飼協会)にも属していません。その立場にいないので、私がどうこう動ける立場じゃないわけですよ。(Q誰が責任を持つべきなんですか?)それはもうなんとも言えないです。今は本当に」

 前社長は「自身に責任はない」と繰り返しました。

京都府「土地を貸して許可出しているだけ…当事者間で決めて」

 関係者の意見が噛み合わず完全に宙に浮いた鵜小屋。いったい誰が責任をもって解決すべきなのか?京都府に尋ねました。

 (京都府京都土木事務所 小寺睦男課長)
 「あくまでも京都府は土地を貸しまして許可を出しているだけでありまして、こちらがその所有権をどうするか決めることができませんので、やはり当事者間で決めてもらわなければならない」

 一方で府は、鵜飼協会に対して3度にわたって鵜小屋を撤去するよう行政指導を行ったとした上で、さらなる措置も辞さない構えです。

 (京都府京都土木事務所 小寺睦男課長)
 「非常に長い時間放置された状況になっていますので、最悪の場合、行政代執行というのを考えていかなければならないかなと」
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 関係者が皆「我関せず」と口をそろえる鵜小屋。新たな住処を失った鵜たちが一番の被害者かもしれません。

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