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憤マン!

古墳の近くに"古墳のような山"!?どんどん積み上げられる「建設残土」なぜ全国各地で問題に?

2021年05月31日(月)放送

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大阪府八尾市にある古墳。中を散策することができて墳丘の頂上にも登ることができるため人気の歴史スポットなのですが、訪れた人が古墳の上から“別の古墳”を見つけました。ここは古墳群なのか?取材班が取材を進めると、全国的にトラブルが相次ぐ“ある問題”が浮かび上がってきました。

古墳の近くにもう1つの“古墳”?!

国の文化財に指定されている大阪府八尾市の「心合寺山古墳」。5世紀前半に築かれた全長160mの前方後円墳で、地域一体を治めていた豪族の墓とされています。復元整備で2005年に築造当時の姿がよみがえり、人々が訪れる歴史スポットにもなっています。

普段は古墳の上を散策できますが、緊急事態の今は入ることはできません(※6月2日(水)から古墳上の開放を再開)。
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今回、取材班は特別に許可をもらい、古墳の上へ。

(記者リポート)
「古墳の上には多くの埴輪のレプリカが並べられ、古代の面影を感じることができます」

古墳の頂上まで歩いてみると、大阪平野を一望できる景色は抜群で、大阪城も確認できます。そんな中…。

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(記者リポート)
「小さい山が見えるのですが、あれも古墳なのでしょうか。緑の草で覆いつくされています」

古墳から見える小さい山。あれも古墳なのか?取材班が近づいてみると…。
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(記者リポート)
「高さは5mは超えているでしょうか。雑草が生い茂っていてタイヤなども捨てられています」

中を確認すると、買い物カゴなどゴミが散乱しているのがわかります。これは一体、何なのか?地元住民に話を聞きました。

(近隣住民)
「これか。これはもう5~6年…もっとなるんちゃうかな。捨てられてね、残土をね。(Q持ち込まれたということですか?)そうそう、どっからかね」

住民によりますと、この小さな山は別の工事現場で出た「建設残土」で、ある業者が持ち込んだものだといいます。

(近隣住民)
「1回下の畑に崩れたこともあるわな。反対するもしないも知らんうちに持ってきて積んであるもんな」
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3年前の2018年に撮影された現場の画像を見てみると、土砂が積み上げられショベルカーなどが写っています。
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そして、2020年の画像を確認すると、その土砂に草が生え、今と同じような光景が広がっています。

再び住民に話を聞きました。

(近隣住民)
「本当に見栄え悪いですよ。せっかく古墳もあるのに、景観はすごく悪いなと思います」
(近隣住民)
「怖いやろ、あれが滑り落ちてきたらね、大変な事になるから。犬連れて毎日散歩しているんやけれども、もしあれがバッと落ちた時にどうなるやろと思いながら」

建設業者に土地を貸し出して…

一体、誰が残土を持ち込んだのか?住民らによりますと、土地は元々近くに住む男性が所有していて、数年前に八尾市内の建設業者に貸し出されたといいます。土地を所有していた男性の親族に話を聞きました。

(土地の元所有者の親族)
「やかましくね、『契約違いだ』とアクションを打っておけば変わったかもしれないけれども、そのままほったらかしといて、どんどんどんどん土が積み上がってきて、手に負えないようになってきて」

男性は業者に残土の撤去を求めましたが、なしのつぶてだったといいます。

“無断”で名義人を変更

さらに、こんなことが。土地の所有者が記載された登記簿を確認すると、名義人が男性から業者の関係者に変更されていますが、男性は許可しておらず、無断で変更されたとして大阪府警に刑事告訴しています。
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一体なぜ、このような事態が起きているのか?取材班は土地の名義人になった業者関係者の自宅を訪ねました。しかし何度も取材を試みましたが話を聞くことはできませんでした。

規制の対象にならない“八尾市の残土”

「建設残土」を巡る問題はこれまで各地で起きています。

7年前の2014年、大阪府豊能町で違法に持ち込まれた残土が崩落。この事件をきっかけに大阪府では2015年に新たな条例が施行され、3000平方メートル以上のエリアに土砂を持ち込む場合は府の許可が必要になりました。
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4年前の2017年には、大阪府岸和田市の山林に無許可で残土を持ち込んだとして、業者が逮捕されています。

しかし、今回の八尾市の残土は1000平方メートルにも満たないため、府や市に撤去を求めても条例での規制対象にはなりません。このまま放置された状態が続いてしまうのでしょうか?
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(八尾市産業廃棄物指導室 下川床光史室長)
「大量に産業廃棄物が保管されているような場合でしたら、保管基準がありますので、それに違反しているような場合は規制をしていくということになりますけれども、確かな証拠もないので、現状ではそういう調査を行う予定はございません。(Q八尾市としては現状は静観する以外ないと?)現在の状況ではそういう形になります。私有地に残土を置く権利ももちろんあると思いますので」

住民らが土砂崩れの危険性などを訴えても、民間の土地にある残土はあくまで“私有物”。簡単には撤去できないといいます。

全国で起きる「建設残土」問題

こうした残土を巡るトラブルは全国であります。5月23日、愛知県弥富市で取材すると、田園地帯のど真ん中にピラミッドのような山が佇んでいます。全て建設残土で、積み上げられた量は10トンダンプカー約4000台分に相当します。土地を所有しているAさんに話を聞きました。

(Aさん)
「元々は金魚池ですね。私の父が金魚養殖をしていたから」

この土地では元々、地元の特産品である金魚を養殖していましたが、4年前の2017年に「ただで埋め立てて田んぼにしないか」と話を持ちかけられたといいます。
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(Aさん)
「最初は不動産屋が『リニア工事の土を入れたい』ということを言われたので、『道路面より30cm下までなら土を入れてもいいですよ』ということは言ったのですが、あっという間に道路面を超してしまったんですよ。だからすぐに文句を言った。『話が違うもんだからすぐに工事をやめてください』と」

業者はAさんらの申し入れに聞く耳を持たず残土の搬入を続けました。その後、Aさんらは業者を提訴し、2020年5月に業者に残土の撤去を命じる判決が出ましたが、具体的な動きは進んでいません。

専門家「小規模かつ残土となると、法も条例もなかなかうまく適用できない」

各地で噴出する「残土問題」。そもそもなぜ捨てられるのでしょうか?

(関西学院大学司法研究科 池田直樹教授)
「以前みたいに大口の埋め立て地がない。海の埋め立てなどがあまりないので。そうすると行き場のない残土が、どうしてもいろんな所に事実上捨てられるということが起こりがちだと思います。小規模かつ残土となると、法も条例もなかなかうまく適用できない、これはもう事実なんです」

巨大な残土の山は規制できても、小さな残土の山には打つ手がない現状。古墳と見紛うような存在に古墳の主のため息が聞こえてきそうです。

(5月31日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」内『憤マン!』より)

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