ドラマ30『家族善哉』(40回) 放送終了


石井咲子役 竹内都子さんインタビュー








34歳にして高校を受験、娘や息子と同じ高校に通い出すというパワフルなママ、石井咲子を演じる竹内都子さん。このドラマが初主演とあって、思い入れはひとしお。石井咲子役についてお話をお伺いしました。

―最初にこのドラマの主演の話を聞かれた時はどう思われましたか?
正直、うれしかったです。これまではOLの1人とか、主婦Aとか役割的にも「笑わせる」ことを求められることが多かったんですが、今回の石井咲子役はシリアスなお芝居もありますし、コメディな部分もあり、とてもやりがいがある役です。でも、特に自分が主役という構えた気持ちはないんですよ。このお話は家族の物語なんで、主役はあくまで家族なんだと思っています。

―高校生になるというところは?
34歳でしょう?普通は定時制に行くか、通信講座で勉強するとかいろいろやり方があると思うんですよね。でも、この咲子さんは「高校へ行く」。その一本気具合が好きでとても好感が持てました。コントなどでほんの10年前くらいまでは制服を着ることがあったので、制服を着ることにはそんなに抵抗はありませんでしたね。実は私の出身高校は私服。今回が初制服なんで、感激しています。3か月の収録の間に高校1年分くらい制服をきてたんじゃないかなあっていうくらい、着てましたね。

―周囲の反応はいかがでした?
思ったより似合っていて面白くない、と(笑)。私自身は単体でみると結構イケてるんじゃないかと思います。でも、実際の高校生の間に入ると、キツーイです。やっぱり。友達にも今回の役柄のことを話して、制服の写真をメールで送ったりしたんですが、友達が「娘の制服を着てみました」「昔の制服を着てみました」って写真メールを送ってくるんですよ。「なあんだ、みんな着てみたかったんだ!」って思いました(笑)。

―撮影の雰囲気はいかがですか?
夫の紘太郎役の嶋さんはじめ、加藤登紀子さん、愛川欽也さん、それに小さい頃からテレビの吉本新喜劇で見ていた池乃めだかさん!そんな方たちと一緒にお芝居が出来て、感激です。特にめだか師匠が強烈なんです。石井家はゲラ(笑い上戸)が多いんですよ。新哉は特にそう。笑っちゃいけない時に、師匠の芝居に笑ってしまいそうになるんです。笑うシーンじゃ決してないんですよ。新哉なんか身体をつねって耐えていたみたいですから。そんなシーンにもご注目ください。

―竹内さんは「ピンクの電話」としてお笑いコンビという印象が強いのですが、もともとは女優志望だったとお聞きしました。
実は女優になりたくて、単身上京したんです。下北沢の俳優養成所でレッスンを積んで、レオナルド熊さんが主宰する劇団七曜日のオーディションに合格しました。その時の劇団の創設者で、今の事務所の会長でもある石井光三が「どんな形でもまず舞台に立つことが大事」という方針で、大阪から出てきた娘が3人いたんですが、「お前たち、3人でコントやれ。大阪出身やから、大阪シスターズで行け」と。それで「ピンクの電話」の前身のコントユニットを組まされたんです。その中の1人が抜けて2人になって「大阪シスターズもなあ」と思っていた時に、劇団に当時置いてあった黒電話がピンク電話に変わったんですね。そしたら今度は渡辺正行さんが「名前はピンクの電話にしよう」と、「ピンクの電話」に決まったんです。そして舞台に立つうちにテレビにでも出るようになって…。今では「ピンクの電話」として活動するのは年に1、2回しかありませんが、コンビ別れしたわけでもなく、解散する理由もないし、「ピンクの電話」はずっと「ピンクの電話」でいようと思っています。

―それから約20年、今回昼ドラのヒロインに。
昼ドラはスケジュールが大変で「やせた?」とよく聞かれるんですが、全然。普段より健康なくらいです。睡眠時間は少ないんですが、朝は早起きだし、3度の食事もきっちり取るし。逆に言えば普段どれだけ不規則で不健康な生活をしているかって、ことなんですけど(笑)。

―竹内さんといえば、「お取り寄せ」の本を書いていらっしゃるほど、食べることにこだわっていらっしゃいますね。
実は楽屋でも作ったりしているんです。食堂のメニューを見ながら、ざるそばがあるなと思うと、うどん鉢にそばを注文して持参した納豆とめかぶと温泉卵で「納豆めかぶそば」にしたり、パスタだけを注文してカップスープをかけてサーモンを並べて「スープスパゲティー」にしたり。楽屋では使えるものがお湯か水だけなので、そこをどう工夫するか、いろいろ考えるのがまた楽しいんです。普通に注文して食べて休むだけじゃ、「負けた」気がするんです。これだけ食べることにこだわりがあると、痩せられないですね〜(苦笑)。

―最後に、咲子のように高校に入ったり、もう一度やり直したいことがありますか?
そういわれるとやり直したいことだらけかもしれませんが、やり直したところでそれが幸せにつながるかどうかわかりませんから…。今で十分かな。でも、咲子のように自分で自分にダメ出しせず、年齢に関係なく、チャレンジ出来るのはすばらしいことだと思います。私も見習わないとダメですね。咲子が自分の意志を通して高校に行こうとする姿に、私も家族の反対を押し切って、ただ「舞台がやりたい」という強い思いだけで東京へ出てきた時のことを思い出してしまいました。


竹内さんのご主人は俳優の菅原大吉さん。今年、夫婦印プロデュース「満月〜平成親馬鹿物語」(シアタートップス06)で初の夫婦舞台を。「来年はこの舞台で全国を回りたいと思っています」という竹内さん。「役者に出来ることはセリフを覚えることと健康維持」と、どんなに長いセリフのシーン(とくに12月8日放送の台本13ページに及ぶシーンは圧巻)でもスタジオに台本を持ち込まない姿勢に、本当に「お芝居が好き」という一本気さを感じます。まさに、石井咲子そのもの!です。