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■特命調査班 〜マル調〜「保証人ビジネスの闇」 2011/12/21 放送

 ある会社の新入社員が入社にあたって提出する書類。

 「新入社員が会社に損害を与えた場合、身元保証人となる人が本人と連帯して賠償責任を負うことを保証する」と書かれています。

 こうした「保証人」、就職に限らず病院への入院や住宅ローン、借金の連帯保証など生活のあらゆる場面で必要なんですが、なかなか見つからない場合、保証人を紹介するビジネスがあります。

 しかし、この「保証人ビジネス」、保証を依頼する側にも、保証人になる側にもトラブルが多発しています。

 「マル調」はある業者の問題を徹底追及しました。




 神奈川県に住む山田さん(34・仮名)。

 現在、資格を取ろうと勉強の傍ら仕事を探している。

 しかし、就職活動をしていて心配なことがあった。

 <山田さん(仮名)>
 「就職ですね。就職の時の保証人です」

 「身元保証人」が見つからないのだ。

 就職や賃貸住宅への入居などの際に求められる「保証人」。

 しかし単身世帯が増え家族関係が希薄化する中、近年、保証人を見つけられない人が増えている。

 山田さんの場合、両親が亡くなり、親戚とのつきあいもほとんどないという。

 このため以前も、就職が決まりかけた時に困ったことがあった。

 <山田さん(仮名)>
 「それまでは親に頼んでいたが、両親がいなくなって。姉も非正規(雇用)なので頼めない状態ですし、親戚にも頼めなかったので」

 そんな時、山田さんが見つけたのがA社のホームページ。 

 保証人を有料で紹介するという。

 <山田さん(仮名)>
 「保証人になる会社なんて怪しいなとは思ったが、頼らざるを得なかったんで」

 会社に書類を提出する期日が迫っていたため、山田さんはA社に登録料として5万円を振り込んだ。

 しかし、いつまで経っても保証人が紹介されない。

 そこで山田さんがA社に電話すると、信じられない返事が返ってきた。

 <山田さん(仮名)>
 「『保証人になる人がゴネてるから、こちらとしてはどうしようもない』と言われた。
『追加で5万円から10万円出すのを条件に、今度こそ紹介します」と」

 怪しいと思った山田さんは、A社に契約解除を伝えた。

 結局、保証人は見つからず、山田さんは就職をあきらめざるを得なかった。

 実は今、こうした「保証人紹介ビジネス」を巡ってトラブルが増えている。

 「保証人紹介ビジネス」とは、業者が報酬を支払うといってインターネットで保証人を募集、そして保証人が必要な人に有料で紹介するというものだ。

 ところが国民生活センターには、「料金を払っても保証人が紹介されない」といった 苦情が相次ぐようになった。

 7年前から急速に増え始め、毎年100件以上寄せられた相談は、のべ1,000件を超える。

 そしてその6割を占めるのが、先ほどの山田さんが申し込んだA社だった。

 そのA社とは一体、どんな会社なのだろうかー

 <マル調>
 「カラフルなホームページですね。『保証人をお探しでしょうか?』『来店不要』『全国対応』というふうになっています。種類としては『賃貸保証』『身元保証』『融資』『その他の保証サービス』といろいろな種類の保証人を見つけることができるようになっています」

 たとえば就職の保証人の場合、職種によって違うが、紹介料はおよそ4万円から6万円だ。

 さらにA社は同時に保証人の募集も行っていた。

 応募すると「保証人バンク」に登録され、契約が成立すると報酬が支払われるという。

 しかし、果たして見ず知らずの人の保証人になって大丈夫なんだろうか?

 <マル調>
 「『万が一のトラブルには、保証人様に変わってこの会社が一切の責任を対処します』ということで、何かトラブルがあった場合は会社が一切の責任を負って対応します、というふうにホームページでは明記されてますね」

 A社は「保証した人が、仮に家賃を滞納したり借金返済が出来なくなっても、A社が代わりに支払う『代位弁済』という制度がある」としている。

 要は「保証人側に金銭的負担は、一切生じない」という。

 ところがー

 保証人に登録して、とんでもない事態に巻き込まれた男性がいた。

 <保証人になった人>
 「1円も入ってないです。一切入ってこずに、責任だけ負わされている」


 賃貸住宅の入居や融資の申し込みで必要となる保証人。

 その保証人を有料で紹介するA社は、インターネットで保証人バンクへの登録者を募集していた。

 保証人になれば、報酬も出すという。

 福岡でアルバイトで生活していた川田さん(24・仮名)、去年7月、どうしてもお金が必要で保証人バンクに登録した。

 <川田さん・仮名>
 「お金がすぐ入るということで登録してしまいました。保証人というのは危ないということは知っていたが、会社がホームページ上で『全面に責任はかぶります』と書いてあったので」

 その後、川田さんはA社からの依頼で賃貸物件や融資申し込みなど4件の保証人となった。

 しかし、1件5,000円から1万円の報酬は、一切入ってこなかったという。

 <川田さん・仮名>
 「保証人(契約が)成立して報酬が入りますよー、ということだったので、入って来ていないということは成立していないものだと」

 ところが先月になって突然、あるマンションの管理会社から連絡が入ったー。

 <川田さん・仮名>
 「『実は退去してるが、荷物があるから片付けてもらわないと困ると』と言われてます」
 <マル調> 
 「賃料が発生している?」
 <川田さん・仮名>
 「そうですね。2か月半くらいの賃料」

 それは川田さんが去年、保証人になった福岡の賃貸マンションだった。

 部屋の借り主は9月に退去したが、中には家財道具が残ったまま。

 管理会社は、借り主と連絡が取れないため、保証人の川田さんに対応するよう求めてきたのだ。

 川田さんは、A社に何度も問い合わせたが…。

 <物件の保証人 川田さん・仮名>
 「『こういうことが起きてます』と(A社に)言ったら、『まずは確認します』と言って電話を切られたので大丈夫だなと。ほうっていたらまた管理会社からかかってきたので電話したらまた『確認します』と言われたので、『問題がもう起きてるんですよ』と言ったら『問題が起きてないから、うちは動けない』と言われた」

 一向に対応してくれないという。

 保証人に金銭的負担が降りかかりそうな場合は、会社が「代位弁済」するので返済義務はないとしていたA社。

 しかし、こうした相談を受けている酒井弁護士は、そもそも「代位弁済」で返済を逃れるのは難しいという。

 <酒井恵介弁護士>
 「金融業者とか賃貸人、債権者との間の契約は契約上は(紹介業者)一切表には出ていない状態。いくら保証人紹介業者と何らかの約束をしていても、直接請求を受けるのは保証人になった人が責任を追及される」

 つまり、自分が保証している人が借金を返済できなくなったり家賃を滞納した場合、紹介業者による代位弁済のあるなしに拘らず、債権者は保証人に支払いを求めるのだ。

 困り果てた川田さんが、マンションの借り主を調べてみると、さらに不可解なことが分かった。

 <保証人となっている 川田さん・仮名>
 「調べてみたら○○という名前が上がってたので、おそらく社長だろうなと」

 問題の物件の借り主が、なんとA社の社長だったのだ。

 A社の社長自身が、自分の会社に登録した保証人を利用していたことになる。


 「マル調」は、真相を確かめるべく川田さん、弁護士とともにA社のある福岡へと向かった。

 住所地は意外にも静かな住宅街。

 その一角にある店舗兼住宅が、A社の本社だった。

 そして中にいる若い男性ー。

 この人物こそ、A社の社長、本人だった。

 社長は本当に、マンションの保証人を川田さんにしていたのか。

 (Q.社長本人が保証人を必要とされた?)
 <A社 社長>
 「ええ。こういう仕事をしているので、別に活用してもいいのではないか」

 悪びれずに認める社長。

 酒井弁護士は管理会社から川田さんに請求が来て困っていると、社長に詰め寄った。

 <酒井弁護士>
 「賃借人が○○さんであるマンションの連帯保証人になっています。賃料滞納されていて保証人の方に請求が来てる」
 <A社 社長>
 「もともとそれは明け渡している物件ですよ」

 <酒井弁護士>
 「物が残っている訳ですよ?」
 <A社 社長>
 「物が残っているかどうかまだ確認はしていない」
 <酒井弁護士>
 「要らないものということですか?」
 <A社 社長>
 「要らない物かどうかわからない。何も来てないので」
 <酒井弁護士>
 「退去したつもり?」
 <A社 社長>
 「明け渡している」
 <酒井弁護士>
 「もし残っていても処分しても構わない?」
 <A社 社長>
 「それが残ってるかどうか確認せんといかん」
 <酒井弁護士>
 「いつ確認するんですか」
 <A社 社長>
 「それはわかりません」
 <酒井弁護士>
 「急いでください」
 <A社 社長>
 「なぜですか?」
 <酒井弁護士>
 「迷惑がかかるからです」
 <A社 社長>
 「どういう迷惑ですか?」
 <酒井弁護士>
 「物が残っているとその分の賃料相当の損害金が発生する」
 <A社 社長>
 「うん」
 <酒井弁護士>
 「○○さんが全部払ってくれるならいいが、おそらく請求がこちらに来ますんで」
 <A社 社長>
 「だから何も来てませんて、通知も何も」
 <酒井弁護士>
 「こちらには来てた訳です」
 <A社 社長>
 「僕の方には来てません」
 <酒井弁護士>
 「こちらには来てる訳なんです」

 社長は「管理会社から通知がないから分からない」と、繰り返すばかりで 一切非を認めようとしない。

 <川田さん・仮名>
 「報酬の話があったが、僕は一切振り込まれていない。いつまでに振り込んでいただけますか?」
 <A社 社長>
 「確認してみます」
 <川田さん・仮名>
 「いつまでに確認していただけますか?」
 <A社 社長>
 「年内は忙しいので来年になるんじゃないですか?」
 <川田さん・仮名>
 「来年の何月何日までって明確に答えてください」
 <A社 社長>
 「わかりませんそれは」
 <川田さん・仮名>
 「それは仕事なんでやってくれないと困る」
 <A社 社長>
 「実際に依頼している内容を今、把握してませんから」
 <川田さん・仮名>
 「なんで把握出来ないんですか?お宅から依頼が来てるのに」
 <A社 社長>
 「今さきほど突然来られた分に関してこちらが調べないと分からない」

 そこで「マル調」は、金を払ったのに保証人が紹介されないという苦情について、社長を問いただした。

 <マル調>
 「保証人はちゃんと紹介している?」
 <A社 社長>
 「もちろんですね。紹介されないということは まずないですね。あり得ない。その人がどういう風にとらえているかによるんじゃないですか?こちらは紹介する期間を設けてませんから。こちらが紹介出来るという状態になった人じゃないと登録を促さない。それを待たずに連絡を取らないようになった人がもし仮にいればそういう可能性もあるのではないか」

 決して、紹介しない訳ではなく条件に合う保証人が見つからない場合、時間がかかることもあると釈明した。

 しかし今年3月、消費者庁はホームページの内容が、実際の業務内容に比べ誇大広告にあたるとして3か月間の業務停止命令を出した。


   
 保証人が必要なのに見つからないー

 そんな人が増える現代。

 今も誰かがインターネットで保証人を探している。




『Voice』では、あなたの情報を募集中です。 → voice@mbs.jp または06-6359-3622(FAX)まで。

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