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| メキシコシティーの屋台の野放図に大きなタコス。 |
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25年といえば四半世紀であって、必ずしも短い歳月とはいえない。その間にわたしが得たもの、とりわけメキシコに関する知識となると、橋幸夫氏の「恋のメキシカン
ロック」それのみであり、面目ないことこの上ない(誤解のないように言おう、「恋の…」は日本歌謡史に燦然と輝く名曲である。メキシコオリンピック開催を記念し、その前年に発表されたと聞く。但しあの曲は「ロック」ではなかった。「柳ヶ瀬ブルース」がブルースではなかったように)。36年前の歌謡曲は知っていても、肝心要のメキシコ合衆国については極めて無知な、アシスタントディレクターの、わたしは、今こそ幻のメキシカンロックスピリッツを世に知らしめんと、彼の地に挑んだ。そりゃ強行スケジュールでのロケ道中、楽しいことばかりではなかったぜ、それが人生だ。しかし放送を御覧になった皆さんならお解りのことでしょうが、全篇に通底する陽のグルーヴ。これをもたらしてくれたのは、メキシコの過剰な太陽。そして。
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MR. KATSUHIKO
HIBINO ,an artist, UNDER HEAT WAVE |

| 日比野さんの描画風景。 |
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オアハカ州ティオティトランで晴れだった。雨期はもうそこまで来ており晴れだった。メキシコが1年で一番暑い季節。高地のメキシコシティなどは別として、日中の気温は摂氏35℃を大きく上回る。各人の頭の中に宿る人生幸朗がぼやき漫才を始める。
「日陰に入ってもこない暑いてどういうこっちゃ、責任者出てこい」と。
しかししばらく経つと、まあどうしたことでしょう、暑さの中に親密さを覚え始めるではありませんか。この灼けつくような日差しは決して我々の敵ではない。なればこそビールがうまい、辛い食べ物がうまい、気温よ上がれ。異国の地の旅の空。精神をやや絆されていることを差し引いても、これは悪くない感興です。
日比野さんも好調である。この地で織物を織るベニートさんのお宅に於いて絶好調である。使用する染料は伝統の製法に則って作られる天然のもの。中でも赤色はサボテンの表面に付く、コチニージャというカイガラ虫からできる。純白のこの虫の体液は、驚くほど鮮やかな紅色。これらを乾燥させ、すりつぶし、水で溶き、染料とする。そこにレモンを搾る。果汁の加減で橙色から紫色までのグラデーションを帯びる。泣かす。早速日比野さんも、前日メキシコシティーで購入した、マヤの古代紙を取り出し、この染料に絵筆を浸し、眼前のサボテン畑を描く。ワオー、もう止まらない。
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MR. MINORU
YAMOOKA ,a cameraman, AT BAR |

| 空港内のバーにて日比野さん。4時間にも及ぶトランジットの時間つぶしのつもりが、時の経つのを忘れて盛り上がり、慌てて搭乗。(中央:谷茂岡カメラマン 右:AD大澤) |
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これを書いているADのわたし、テレビマンの「端くれ」を主に担当している。ネクタイも締めず、革靴も履かず、着たい衣服だけを着、挙げ句の果てにモヒカンだ。たとえ業務中といえども、何をして口を糊している人間なのか、周囲から見ても一切分からない、況や海外ロケ中のわたしをや、である。その点、カメラマンという生業は誰がどこから見てもカメラマンである。シルエットクイズでもすぐ分かる。大きな特徴はカメラを肩に担いでいる点であろう。今回のメキシコ篇、撮影を担当したのは谷茂岡カメラマン。自身4度目のメキシコでのロケということで、レストランやバーでの注文も実にスマート。何がいいって声がいい。ザ・ヴォイス、百万弗のバリトン、様々な称号。その低音を響かせ得意のスペイン語でオーダー。なのに何故、一度で注文が通らないの?。
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