サントリー株式会社

放送日: 1月10日 水曜日


製  品

        

小ぶりで厚めのグラスに注がれた琥珀色のウイスキー。実はブレンダーという守人がその味を 守り続けているという事実を、人はあまり意識していないかもしれません。何千、何万とある原酒を混ぜ合わ せ、常に一定の味に仕上げる。樽詰めの年数が違えばもちろんのこと、貯蔵庫の中でどこに置かれていたかで、 ウイスキーの味は微妙にその様相を変えます。ブレンダーは己の感性と経験を駆使して、その違いを読み分け る。これはまさに職人技です。そしてもう一つ、ブレンダーの大切な仕事として新しいブランドを生み出すこ とがあります。頭に描いたイメージに、その味を近づけていく。画家がそのイメージを色とりどりの絵の具を 用いてキャンバスの上に表すように、ブレンダーは原酒という絵の具を材料にして、グラスに中にその作品を 注ぎ込みます。舌の上を転がるテイストと、鼻腔を抜ける香りに全神経を集中させるとき、ブレンダーは一人 のアーティストとなるのです。

出演者:日本推理作家協会常任理事 作家 大沢在昌氏

取材後記

大沢先生がブレンドされた日本推理作家協会オリジナルブレンドウイスキー「謎」。その記念 すべきウイスキーの樽払いの日にインタビューは行われました。おなじみの取材場所となった貯蔵庫。ウイス キーの香り立ち込める静謐な空間に、低音の効いた艶のある大沢先生の美声が響き渡りました(聞くところに よると昔CMのナレーションなどもされたことがあるそうです)。取材の合間、思いついて樽の一つに耳をつ けてみました。もしかしたら、ひんやりとしたその感触の先に何か長い歳月の響きのようなものが聞き取れる かも、そんな淡い期待がありました。さて結果はいかに?そんなの何も聞こえるはずがない?いやいや、なん となく一枚のオークの板を隔てた向こうで、何かが眠っているような気配が伝わってきました。静かで濃密な 眠りの時間が、確かにそこにある。ふと「熟成の時間だけは技術ではどうしようもない」というブレンダーの 方のお話を思い出しました。


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