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木のぬくもりを活かす達人のこと知っとこ! 2010/05/22

目に青葉。五月の今、一年で最も新緑がまぶしい季節。日本は、国土の3分の2が森林に抱かれた、緑豊かな国。
古来よりその恩恵を授かってきました。今日はそんな、木と生きる達人をご紹介!
日本一との呼び声高い職人、60年の経験と思いがこもった椅子とは?
森を知るプロが生んだ、山を元気にするキッチンツール。
北の町の匠が丹精込めた、木で出来た贈り物とは?
木のぬくもりを活かす達人のこと知っとこ!

木のぬくもりを活かす達人のこと知っとこ!(1)家具モデラー宮本茂紀さん ボスコ

早速ですが皆さん、家具モデラーっていう職業、知ってますか?家具のデザインから、実際に試作品を作ってみる仕事なんです。
その家具モデラーの第一人者が宮本茂紀(しげき)さん。東京都五反田にある「ミネルバ」の総帥です。
家具職人だった宮本さん、モデラーになったきっかけは30数年前に訪れたイタリア。
デザイナーと対等の立場でものづくりが出来るその仕事を知り惹かれました。
すべてを一人で作り上げるモデラー、幅広い技術と知識が必要。確実で工夫にとんだ仕事振りで、ヨーロッパの老舗から日本の人気デザイナーまで、幅広い信頼を得ています。
その腕を見込まれて、新車の内装開発にも頻繁に声がかかります。名だたる店やホテルの、椅子やテーブルも手がけます。
仕事のジャンルは最先端のものから伝統的なものまで。修理や張替えも手がけます。
宮内庁からのオーダーもしばしば引き受けます。まさにオールラウンド。時には一般のお宅から入った家具の修復も。
ポリシーなく引き受けるのがポリシー。注文する人を選ばないのが職人だと言います。
宮本さん、ライフワークがあります。ボスコ、と名づけられた椅子、宮本さん自らデザインしました。
ボスコとはイタリア語で「森」という意味。まったく同じデザインの椅子は、すべて木の種類が違います。
30年前からはじめた試み、今では200脚を数えるまでになりました。
しかし今では、効率を重視した結果、家具作りには数種類の木しか使われなくなってしまいました。
無難で均一なものを求めるそんな時代だからこそ、あえて様々な木の特徴を知ろうとしたのです。
かつては普通に使われていた木も、たくさんあります。例えば九州に生えている、チシャという木。
作りやすさだけを優先して、個性ある木が廃れていくのは寂しいこと。
ボスコの取り組みを通じて、木にはどの種類、どの1本をとっても同じ表情はないということを知って欲しい。
200を超えてこれからも、ボスコの数はまだまだ増えそうです。奥が深い木の世界にいざなってくれる椅子です。

VTRでご紹介した 家具モデラー宮本茂紀さん ボスコ のお問い合わせ先

「ミネルバ」

住所 東京都品川区平塚1−10−7
電話 03-3785-2337

「国立新美術館」
「森から始まるリレートーク――暮らし、環境、デザイン、そしてアートと「木」」

住所 東京都港区六本木7-22-2
電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
※講演等の募集は終了しましたがボスコの展示はご覧いただけます。

木のぬくもりを活かす達人のこと知っとこ!(2)土佐龍 四万十ヒノキまな板

続いての木で出来た品は、まな板。この商品、ある工夫で今注目されています。
この部品をちょいとまわすとスタンドに、気軽に立てることが出来るんです。
作ったのは高知県のメーカー、土佐龍。社長の池さん、まな板に使う木の種類は決まっています。
ヒノキ、その訳は、オイルを多く含むため、水を弾き乾きが早く、また殺菌力が高いため、カビや黒ずみも防ぎます。
中でも高知のヒノキは特に油分が多いそう。その訳は台風。年間を通じて台風が多い土地柄、折れてしまわぬようオイルの力でしなりを良くしているのだそう。
そんな高知県、実は日本中で最も森林面積が大きい県なんです。豊かな森からの恵み、使うに当たって心がけていることがあります。
ヒノキの丸太、一番良いところは一枚板のまな板になります。
大きさや木目の都合で、一枚板として取れる部分はごくわずか。残りの部分は角材にします。
これを削って隙間なく合わせ、糊付けしていきます。プレスして表面を削ったら、張り合わせたとはとても思えない、まな板が出来上がります。
似た木目の角材を選んで張り合わせる、というひと手間があるからこそできる逸品です。
まな板には邪魔になる節の部分。これも土佐龍では無駄にしません、丁寧に削って磨いて…。オイルをたくさん含む節、お風呂に入れるアロマのブロックに。
更に端材は丁寧に砕いてチップにし、ヒノキがらの枕や、香りが楽しめるお風呂用のティーバッグに変身します。
おがくずすら捨てず、燃料として再利用します。商品はまな板だけにとどまりません、最近意外な人気だという品が洗濯板、どうして今売れているんでしょう。
クリーニングのプロ、の秘密兵器にもなっているそう。更にアメリカ在住のデザイナーにお願いしたおしゃれなラインナップも充実、寿司プレートなど、海外でも好評です。
世界的刃物メーカー、ヘンケルの最高級まな板も手がけます。
間伐とは、適当な間隔で木を伐採し、残した木をより大きく育てるための作業。残す木と切る木を決め、通常樹齢40年ほどのタイミングで切っていきます。
間伐は、良い材木を育てるだけでなく、健全な森を作るためにも欠かせないといいます。
間伐が日当たりを良くすることで、様々な植物の発育が促されます。本来あった森の姿に近づいていくことになります。
切り捨て間伐、お金にならないため間伐した木をそのまま放置することをそう呼びます。
この木が将来、流木になって谷の水をせきとめ、最後には決壊して鉄砲水を引き起こす恐れがあるといいます。
大事なのは間伐材を放置せず、無駄なく使うこと、そして需要のある魅力的な品物に変身させること、だといいます

VTRでご紹介した 土佐龍 四万十ヒノキまな板 のお問い合わせ先

「土佐龍」

住所 高知県須崎市浦の内東分2830
電話 0889-49-0111

木のぬくもりを活かす達人のこと知っとこ!(3)家具作家 大門嚴さん

続いては元々の木の形、を大事にして作られた家具。普通なら製材するところを、あえそのまま主役に仕立てた品々、もちろん1点ものです。
作ったのは大門さん、北海道は旭川のお隣、東川にあるバウ工房で日々家具作りに励んでいます。
独立したときに、それまでは規格に合わないと捨てられてきた、個性的な木の部分に惹かれるようになったといいます。
割れや腐れ、節なども木のひとつひとつが持つ個性だと、とらえます。手に入れた板の形や表情を見て、どんな品物にしようかというのを逆算するのだとか。
木の持ち味を最大限に生かした大門さんの作品、個性豊かなのに、どこか周りと調和します。
そんな大門さんが去年手がけたある椅子があります。
子どもサイズのこの椅子は、「君の椅子」という、実はプロジェクトの名前。ここ東川町では、その年に生まれた子どもに、町が椅子をプレゼントしています。
その取り組みの名が「君の椅子」。東川は昔から家具作りが盛んな町、そんな町の誇りを子どもにも肌で知って欲しいと旭川大学の磯田教授が提案したプロジェクト。
町長がそれぞれの家を回って手渡しています。この試み、はじまったのは4年前。これまでおよそ200人の子どもに贈られました。
デザイナーと職人は毎年変わります。大門さんとタッグを組んだ去年のデザイナーは、小泉誠さん。
デザインのコンセプトがあります。いつでも一緒。その思いを形にするため、頑丈なつくりを心がけました。
はじめはお母さんが授乳のときに腰掛けたり、次にはつかまり立ちの補助になったり、といつもそばにいて付き合っていく椅子になりそうです。
大門さんと一緒に去年の椅子を手がけたのは息子の和真(かずま)さん。
6年前に同じ仕事をはじめ、父親譲りのセンスで木で出来た品物を作り出しています。
父の世代の手仕事を更に発展させようと、若手作家のグループに参加、木の良さを活かしながら若い感性ならではの品を作るべく、日々、切磋琢磨しています。
そんな和真さん、実は去年子どもが産まれ、自分が手がけた君の椅子が家にやってきました。
自分の椅子を自分の子どもに贈る、喜びもひとしお、だったそう。木が育む、町の誇りです。

VTRでご紹介した 家具作家 大門嚴さん のお問い合わせ先

「バウ工房」

住所 北海道東川町西町9丁目4-1
電話 0166-82-2213

「若手クリエイターユニット ミクル」

電話 050-5523-8814 (北嶺工匠 to-mo-ni事業部内)

※君の椅子については
「旭川大学事務局 庶務課」

住所 北海道旭川市永山3条23丁目1−9
電話 0166-48-3121(代表)