知っとこ!
今週コレ知っとこ!

親子で紡ぐ匠の品 知っとこ! 2010/01/30

やってきました、知っとこ!匠の世界。これまで数々のモノづくりのプロを見てきました。
今回は親子で作り出す逸品をご紹介。親から子へ受け継がれる技と心。
400年の伝統、日本でただ1軒だけの手仕事が作る文様は今、オシャレな空間にぴったりはまると評判。
硬い石を柔らかく変える魔法で作る品は、お客の気持ちを考え抜いた結晶です。
美味しいご飯を更に美味しくさせる東北の知恵と工夫が生んだ優しい木の器。
親子で紡ぐ匠の品のこと、知っとこ!

親子で紡ぐ匠の品(1)リアルペット

こちらを見つめる可愛らしい猫、これ、本物じゃないんです。この犬も…こちらは本物ですが、それをモデルにしたものがこれ。
リアルペット、という今ペット好きに注目の像。素材は御影石です。作るのは上野梓さん、日本でただ一人の女性石職人です。
家業でもある上新石材店で毎日、汗を流しています。石造りは、愛知県、岡崎市の伝統工芸。
岡崎城築城の際、腕のいい石工(いしく)が集められたことから栄えました。代表的な品物が、灯篭。
梓さんの父、上野房男さんはこの道44年の石職人。灯篭だけでなく、石で作った、庭などの灯りも手がけます。
そんな品物に欠かせない技術が、透かし彫り。使うのは電動のコンプレッサー。
少しでも手元が狂うと削りすぎてしまう石、機械を見事にコントロールしながら同じ寸法に形どって行きます。
手仕事のみで作り上げたとは思えない見事な出来栄えです。そんな梓さん、3人姉妹の末っ子です。
今ではすっかり石の魅力に取り付かれている梓さん。そんな娘の仕事に、父は、あえて何も言いません。
父とは違う新しい表現を求めてたどり着いたのがリアルペットでした。
6年前に1体目を手がけてから、じわじわと評判が広がり今では2ヶ月待ちの人気。
ペットを失った飼い主がその出来を見て涙を流すこともしばしば、なんだそう。
誇り高き石屋の技と心。これだけは忘れたくない心得があります。

VTRでご紹介した リアルペット 上新石材店 のお問い合わせ先

「リアルペット 上新石材店」

住所 愛知県岡崎市小呂町新志1ー1
電話 0564-24-0434

親子で紡ぐ匠の品(2)唐紙・唐長

続いての匠は…住まいをさりげなく彩るランプシェードやインテリア。
京都の中心に店を構えるこのお店に置かれている、これらのカラフルでありながらシックな品々。
どれも様々な文様が描かれています。
唐紙は、千年以上も前に当時の中国、唐から日本に伝えられました。この唐紙を、現代風に大胆にアレンジするのが、千田愛子さん。
伝統の手仕事が多く残る京都でも、唐紙作りは特別。京都はおろか日本で手がけるのはただ1軒のみ。
創業400年を誇る唐長(からちょう)の手仕事です。父は、11代目の暖簾を守る堅吉さん。
日本の宝、二条城や、桂離宮の修復にも携わりました。唐紙作りで肝心なのが、色、を作る工程。
目指す色の調合を、乳鉢で行います。わずか1滴で変わってくる色合い、慎重に混ぜ合わせていきます。
どんな色を作るのも、元になるのは赤、青、黄の3色のみ。
3色の組合わせで色は無限に作ることが出来るそう。これを刷毛で直接塗るのではなく、一旦ふるいの表面に移します。
こうすることでムラのない仕上がりになるのです。昔から変わらぬやり方。
中でも一番大事なのが、文様が彫られた、板木(はんぎ)。千田さんが使う板木は皆、江戸時代に作られたもの。
650種類の板木、温度や湿度が一定に保たれた蔵の中で大切に保管されています。使うにはルールがあります。
デリケートな板木、蔵から出してもすぐには使えません。作業場の空気に馴染ませるために置いておきます。
時には使えるようになるまで3ヶ月かかることもあると言います。
紙に色を写していきます。使う道具は、手。その時々の温度や湿度の違いを汲み取るのには、手の加減が一番、なんだそう。
どんな時でも同じように仕上げられる、熟練の経験がなせる技です。こうして出来上がる唐紙。主に襖などに使われます。
一見派手に思いがちな柄が、住まいに置いて見ると、意外に主張しないのは、板木から優しく写し取ったものだから。
直接描いたものや、プリントしたものとは違う、控えめな表現。しかし時には自然な光が作る陰影が、はっとする表情を映し出します。
例えば、このキラ押し。雲母という石の粉で描いた文様、一見無地にも見える柄、光の具合でふいにその存在を浮かび上がらせます。
400年積み重ねられて完成してきた技法。その伝統を守る父、すごいと思うことがあります。
伝統の文様を現代のセンスに合うよう移し変えている娘。その取り組みには訳があります。
唐長の世界を知らない若い世代に、少しでも興味を持ってもらいたい。奥深い唐紙の世界に触れてもらいたい。
そんな気持ちが、着るものや器など、これまでと違った形になって表れているのです。
京都の街中にあるビルの外壁にも、唐長の文様がお目見えしています。
父から譲り受けた歴史の重みを感じながら更に大きく羽ばたこうとする娘。400年淘汰されてきた、日本の美です。

VTRでご紹介した 唐紙 唐長 のお問い合わせ先

「唐紙 唐長」

住所 京都市左京区修学院水川原町36−9
電話 075-721-4422
※娘さんの愛子さんがプロデュースする

「KIRA KARACHO」

住所 京都市下京区水銀屋町630 COCON烏丸1F
電話 075-353-5885

親子で紡ぐ匠の品(3)曲げわっぱ

最後の品は、今ひそかな人気の、白木で作ったパン皿。バターケースとともに、評判になっている訳があります。
普通の皿と違い、木が湿気を吸ってくれるのでカラッとしたままで食べられるのです。
作ったのは柴田昌正さん、ある伝統の技法で作られています。
曲げわっぱ。杉などを薄い板にし、手で曲げて作る器を曲げ物と呼びます。
中でも、秋田大館地方に伝わるのが曲げわっぱ。質の良い秋田杉の産地だったことからこの地一帯で作られてきました。
今では天然の良いものは限られてきていると言いますが、あくまでも天然杉にこだわる柴田さん、父、慶信(よしのぶ)さんと同じやり方です。
御歳70になる今も現役の慶信さん。曲げわっぱは時には、へぎと呼ばれる工程で板にしていきます。
きれいな木目を持つ最高の杉は、縦に裂いていくことが出来ます。
曲げられる薄さにまで、最後は手だけで裂いていきます。これが出来るのは、大館では柴田さん一人だけ、なんだそう。
薄く割った杉の板、端の部分だけを、さらに薄くそいでいきます。
後に曲げたとき合わさる部分だけを削っておき、他の部分との厚みを均一にするためです。
隙間なく密着する合わせ目、50年の経験なればこそ、です。その板を一晩水につけた後、煮ていきます。
板が柔らかくなり、曲げやすくなるのです。いよいよ曲げの工程。
目が揃ったいい板でないと、途中で割れてしまうこともしばしば。慎重に型に沿って曲げていきます。
木の器の中で、最も古い作り方の一つだといわれる曲げ物、理にかなったやり方だと言います。
最後には一つ一つ手作業で縫い合わせていきます。使うのは樺(かば)と呼ばれる桜の皮。昔から伝わるやり方、変えないのが誇りです。
先人の知恵と工夫が生んだ曲げわっぱの弁当箱。天然杉ならではの真っ直ぐで美しい木目、上品な仕上がりです。
植林した杉で作ったものとは目の細かさがまったく違います。天然杉で作る他にも柴田さんにはもうひとつのこだわりがあります。
まったくの無塗装だということ、白木そのままの状態で仕上げることで、中に入れた食べ物の水分を吸収し、日持ちを良くするのです。
更殺菌作用もあり杉の香りがご飯に移ることで風味も増すと言います。
ご飯が立つ、と評判の白木のお櫃です。そんな父の姿を幼いころから見てきた昌正さん。
その跡を追いたいとはじめた曲げわっぱの仕事。少しでも父の力になりたいという思いもありました。
息子が跡を継ぎたいと言ったとき、思ったことがあります。
心配だったのは、この仕事をするための一番大切な思いがあるのか、ということ。
十分に楽しんで仕事をしている昌正さん。その遊び心と実用を兼ね備えているのがつくし弁当箱。
娘さんの弁当箱を作るときに思いついたアイデア。成長が早い子供のことを考え、小さいときは1段でたくさん食べられるようになったら2段にお弁当を詰めれるよう工夫しました。
デザインはその時々で変えても材料と作り方は変えないのが柴田家のやり方。
その信念は、真っ直ぐな秋田杉のように揺るぎありません。父から子どもへ、その技とともに伝えたい心があります。
確かに渡されていく、モノづくりの思いです。

VTRでご紹介した 曲げわっぱ 柴田慶信商店 のお問い合わせ先

「曲げわっぱ 柴田慶信商店」

住所 秋田県大館市清水3丁目2-65-12
電話 0186-42-6123
※東京でも柴田慶信商店の曲げわっぱが手に入ります

「Jスピリッツ(日本橋三越本店5F)」

住所 東京都中央区日本橋室町1-4-1
電話 03-3274-8533