桜咲くまで日記 :#6 竹園元
6週目、7週目、最終週の第41話、43話、45話の演出を担当しました。6週目、7週目はストーリーが動きますので、ここではあえて触れません。今回は私たちの仲間のお仕事特集です。主題歌が流れる映像にテロップ表記されていますが、これって何する仕事?と疑問に思われることもしばしばあることでしょう。「わかりそうでわからないお仕事」をご紹介します。

(1)「演出」・・・なぜ、何人も演出担当の人間が替わるかといいますと、撮りあげた分から編集や音入れ作業(MAといいます)が次々に入ってきて、物理的に収録に参加できないことがあるからです。演出家といっても、演技もできませんし、照明をあてたりすることもできません。つまりひとりでは「何も」できないのです(舞台や映画ではいろんな方がいらっしゃいますが)。オーケストラの指揮者がバイオリンを弾いたりラッパを吹いたりしないのと同じようなことでしょうか。日々是精進。

(2)「プロデューサー」・・・いわゆる「言いだしっぺ」。こんなドラマをやりたいと手を挙げ、そのためにあらゆる手段を尽くす人。レストランのオーナー(経営者)といったところでしょうか。私たち演出スタッフはコック(料理人)みたいなものなので、オーナーに細かい味付けのことをとやかく言われるとムッツリする者もいますし、「はいはい。じゃあ、こんな感じでいかが?」と味付けを器用に変える者もいます。すべてはお客さんのためなのですが。
類似語に「制作」というのもあります。

(3)「記録」・・・「つながってないじゃーん!」が口癖になってしまうかも。撮影カット・シーンに関するあらゆることを「記録」しますが、なかでも、役者さんのお芝居の一挙一動を見極める「動体視力」の素晴らしさには舌を巻きます。右手で握ったはずドアノブが、玄関外では左手で・・・なんてことが起こったらもう大変。皆さん気をつけましょう!(何を?) 苦手なものは、予想外の「のんびりとした芝居」や「テンポの良過ぎる芝居」(ドラマの放送予定分数にはまらなくなってしまう恐れが生じる場合)。そんな時私たちは平静を装います。気の小さい演出スタッフの力強い相談相手になってくれることもしばしば。

(4)「スイッチャー」・・・主に「技術」「TD」「SW」などと表記されています。スタジオ収録の場合同時に何台ものカメラでお芝居を撮っていきますが、その際にカメラから上がってきたいくつもの画を切り替える人のことをそう呼びます。役者さんの微妙なニュアンスの表情を大切にします。特に長い芝居場では腕の見せ所!現場経験の豊富な方が多く、若い助監督(同義語=演出補・AD)に一喝!なんてことは日常茶飯事です。いつか「生(なま)ドラマ」なんてものをやってみたいなどと甘いことを考えたりしますが・・・。

次週は、具体的なシーンを取り上げて、いろんな「お仕事」がどのようにシーンを盛り上げているのか見てみましょう。尚、ここにあげているお仕事内容はあくまでも主観に基づいたごくごく一部です。詳しくは他の何かでお調べいただくか、もっと業界歴の長い方にお聞きいただくことをお勧めします。悪しからずご了承ください。