第97回全国高等学校ラグビーフットボール大会

決勝 東海大仰星27-20大阪桐蔭 激闘、大阪対決 仰星、走って奪冠 大阪桐蔭、力尽く(その2止)

中盤まで押し込む

 試合終了間際、7点を追う大阪桐蔭は得意のFW戦にかけたが、相手に阻まれて無情のノーサイド。それでも、フランカー奥井は悔し涙に暮れながら「自分たちのプレーは60分間貫き通せた」と振り返った。

 序盤は優勢に試合を進めた。雨でボールが手に付かない相手に対し、プレッシャーを掛けた。同点の前半終了間際には、相手陣22メートル付近のスクラムからボールを奪って連続攻撃。ゴール前中央10メートル付近からモールを押し込み、最後は奥井が左中間に勝ち越しトライを挙げた。

 後半8分にはCTB江良楓のPGでリードを10点に広げ、綾部監督が「後半15分までは予定通りの形だった」という通り、自分たちのペースで試合を進めていた。だが、雨脚が弱まるにつれて出足が良くなる相手に押された。準決勝まで4トライを挙げていたWTB美登路が右肩負傷で欠場した影響で、バックスへの展開も少なかった。前半はタックルで相手の攻撃の芽をつぶしていた奥井も突破を許し、「もっと動いていればよかった」。終盤はチーム全体が息切れしてしまった。

 初めて臨んだ決勝の舞台を振り返り、「本当に勝つのは難しい」と綾部監督。全試合にフル出場した奥井は「この悔しさをばねにして、次は優勝したい」。新たな挑戦が始まる。【村社拓信】

自信の密集、先制トライ 上山黎哉(うえやま・れいや)(3年) 大阪桐蔭・フランカー

 最初の当たりで相手に力負けしていないと確信した。だからこそ、迷わず突き進んだ。

 前半5分、相手陣5メートルの左中間スクラムから抜けだすと、FB杉原からつながれたボールを受け取った。「密集からのトライには自信があった」。激しいタックルを受けながらもインゴールに飛び込み、先制点を挙げた。

 一昨年2月に右膝半月板を損傷。半年以上プレーできなかったが、「けがをする前より良くなった」と言われようと体作りに人一倍こだわり、ウエートトレーニングと食事管理を徹底した。今大会計5トライを奪ったプレーだけでなく、綾部監督が「チーム上山」と評するほどのキャプテンシーでもチームを引っ張った。

 自宅から徒歩約10分の花園ラグビー場は「ずっと近くて遠い場所だった」。小さい頃からの夢の場所で、チームとして初めて臨んだ決勝の舞台。「試合中は本当に楽しかった」という。チームが掲げる「しんどいことを笑顔でやりきる」というテーマを貫き通したが、最後は涙が止まらなかった。【長田舞子】

キックきっちり

 ○…大阪桐蔭のCTB江良楓がぬかるんだ芝の影響を受けず、2PG、2ゴールとキッカーとしての役割を果たした。後半8分には短い助走から右足を振り抜き、ゴール前10メートルのPGを決めてリードを10点に広げた。「自分のキックが勝ち負けを左右すると思った」と得点源として活躍した。弟の颯は1年生ながらも決勝でベンチ入りしており、「僕らはあと一歩で敗れた。弟や後輩たちに日本一を取ってほしい」と夢を託した。

 ■ホイッスル

出場枠3、自覚と役割

 19大会ぶりに実現した決勝での大阪対決。悪天候にもかかわらずメインスタンドはほぼ埋まり、9300人の歓声がスタジアムにこだました。

 「『競技人口の多い大阪の代表』という自覚を両校の選手たちが持ってくれている。ラグビーのおもしろさが分かる試合をしてくれた」。一進一退の白熱した攻防を、大阪府高体連ラグビー専門部の榎本孝二委員長は満足そうに振り返った。

 大阪の出場枠が3に固定されたのは、第63回大会(1983年度)。それまでは加盟数の多い地区として2枠が与えられていたが、大会が全国高校総体を兼ねていることから、他の総体競技と同様に開催地枠も割り当てられるようになった。

 大阪にはラグビースクールの数が多く、今回の代表3校の選手は、ほとんどが中学時代から競技経験がある。地域のラグビー熱にも底上げされたレベルの高さを肌で知るだけに、初優勝にあと一歩に迫った大阪桐蔭の綾部正史監督は「大阪の一番は、全国の一番だと思っている」と言う。

 出場校の多さは、それに見合う結果を残さなければという重圧も伴う。榎本委員長は「今後も切磋琢磨(せっさたくま)して高いレベルになってほしい」と、大阪勢が全国を引っ張る存在であり続けることを期待している。【生野貴紀】

関連記事
記事(提供:毎日新聞/2018/1/9 16:15)

毎日新聞

Copyright (C) 2017 毎日新聞社 記事の無断転載を禁じます。

高校ラグビーニュース

毎日新聞