全国高校ラグビー大会 HANAZONO LIVE

聞こえた、亡き父の拍手 誓った日本一、挑戦は続く 東海大仰星・田中選手

(2017/1/8 16:07)

 第96回全国高校ラグビーフットボール大会で準優勝した東海大仰星(大阪)の田中利輝(りき)選手(3年)は、亡き父浩さん(享年50)への思いを胸に躍動した。高校進学直後に心筋梗塞(こうそく)で倒れた浩さんに花園での雄姿を見せることはできなかった。東福岡に21-28で敗れたが、「父は拍手してくれたと思う。グラウンドで思い切り泣いたので、墓前では笑って報告したい」と話した。

 ラグビーを始めたのは小1の時。病弱だったため「体を強くしてほしい」と願う浩さんや母紀子さん(51)に勧められた。トライした時の爽快さが好きで、のめり込んだ。

 グラウンドを駆け回る姿を浩さんはカメラを手に追いかけ、にこにこしながらシャッターを切った。部屋中に並ぶ写真からは息子への期待と愛情がにじみ出ている。

 突然だった。入学直後の2014年5月、浩さんは救急車で運ばれ、意識不明に。紀子さんが撮った練習試合のビデオを病室で再生し続けた。「リキが出ているよ」。回復を祈ったが、意識が戻らないまま同年9月に亡くなった。葬儀の際、ひつぎに入った父の顔をなでながら叫んだ。「絶対に日本一になるからな」

 喪失感は大きかった。腰の不調もあって練習に身が入らなかった。「一緒にがんばろな」という仲間の声が身にしみた。この年の冬、花園でプレーする先輩を見て気持ちが高ぶった。「次はこの舞台に立ったる」。視界が開けた。

 練習に打ち込んだ。湯浅大智監督(35)は「ロックとしてはやや小柄だが、インパクトのあるプレーに好感を持てる。男気にあふれ、同級生、下級生の信頼も厚い」と評価する。

 決勝では、相手からボールを奪い、最初のトライの起点を作った。紀子さんも浩さんの遺影を手に声援を送った。夢見てきた3年生としての頂点には届かなかったが、ノーサイドの笛にはまだ遠い。大学でラグビーを続けながら経営学を学び、父が運営していた印刷会社を継ぎたいと考えている。【大森治幸】

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