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決勝 東福岡28-21東海大仰星 東福岡、3冠への独走

(2017/1/8 16:09)

 (7日・東大阪市花園ラグビー場)

 高校ラグビー界をけん引する両雄の激突は、前々回王者の東福岡が前回覇者の東海大仰星(大阪第1)を28-21で振り切り、「高校3冠」に輝いた。計5試合を戦った東福岡は自チームが前々回大会でマークした大会最多総得点298を更新する311点を挙げた。歴代6位の通算大会勝利数は節目の70に伸ばし、都道府県別で5位の福岡県勢の優勝回数は10となった。東海大仰星は東福岡との決勝では第91回大会(2011年度)に続いて敗れ、初の連覇を逃した。

東海大仰星(大阪第1) 反2

 0 0 0 0 0 3 3 0 0 21 21

 T G P D 前 T G P D  後  計

 1 1 0 0 7 3 3 0 0 21 28

東福岡(福岡) 反2

 ▽主審=加藤真也

取り戻した展開ラグビー 大会最多311点

 東福岡は後半13分、自陣22メートル付近からボールを回し、CTB堀川が約50メートルを独走して勝ち越しトライ。16分にも堀川のトライで突き放し、防御でも再三のターンオーバーなど接点での強さで上回った。東海大仰星は後半10分にフランカー山村のトライ、CTB松本のゴールで追い付いたが、ゴール前でミスが多かったのが響いた。

 ■ノーサイド

 右側からタックルされながらも、左手のみで放り投げた。東福岡のWTB焼山のオフロードパス。防御にきた相手選手の頭上を通り越してCTB堀川の手にすっぽりと収まると、約50メートルを駆け抜けた。決勝点となった後半13分のトライに、「あの1本が大きかった」と藤田監督。勝利を確信する得点だった。

 最大の勝因は、本来の持ち味である展開ラグビーを取り戻したことだ。この得点を演出したのも、自陣ゴール前でのノックオンによるターンオーバーからの攻撃。FWの縦突破ではなく、SH隠塚がすかさずボールを回して左へ展開。バックス陣を走らせたことが成功した。

 準決勝までを振り返り、堀川は「足を引っ張っていた」と言う。バックス陣はタックル後のボール争奪戦でターンオーバーされることが多く、準々決勝、準決勝はいったんリードされる展開に。主将のロック箸本らの体格を生かしたFWの突破力に頼っていた。

 だが、焼山らは「東海大仰星の防御は、外のWTBが前に詰めてくるのが特徴」と分析。相手バックス陣にスペースが生まれやすいことを頭に入れ、温存していたサインプレーも駆使して、展開ラグビーに転じた。

 2季ぶりの高校3冠だけでなく、その時の大会最多得点記録を13点更新した。堀川は「2年前の先輩は強かったので、そこを目指していた。塗り替えることができた」と喜ぶ。原点回帰のラグビーで王者に輝いた。【藤田健志】

大けがに耐え

 ○…東福岡のFB古賀は大けがに耐え、奮闘した。昨年11月末の練習中に右足甲を骨折し、入院して手術を受けた。大会中も薬、テーピングが欠かせず、「仲間に助けられた」と感謝する。全治2カ月半から3カ月と診断され、花園はぶっつけ本番で臨み、2回戦は終盤の10分、3回戦は前半のみの出場だった。準々決勝以降はフル出場したが、この日はノートライ。「悔いはあるけれど、優勝して反省できるのは幸せ」

 ■マイボール

痛みこらえ先制トライ 森勇登(3年) 東福岡・CTB

 左足の痛みを感じさせない約60メートルの独走トライだった。前半19分。自陣10メートルでロック箸本からのパスをこぼしたが、すぐさま拾い上げると一気に走り出した。ジグザグと軽快なステップを刻んで1人、2人とかわし、最後はタックルしてきた相手を右手で押しのけてインゴールに飛び込んだ。

 相手の防御網を破れない苦しい展開の中、主導権を握る貴重な先制トライ。ただ、体は悲鳴を上げていた。準決勝で左足首を捻挫。左膝も痛めて途中交代した。初めての大きなけがだったが、藤田監督からは「決勝は死んでも出す」と絶大な信頼の言葉を贈られ、意地を呼び起こした。

 痛み止めの注射、薬と手を尽くし、前日は負傷した膝を狙われないように「けがは右膝」と、けむに巻いていた。グラウンドに立つことも危うい状態からの復活。「グラウンドでノーサイドを聞きたい」との思いを、最高の形でかなえた。

 安定感抜群のプレースキッカーとしても活躍。今大会は39本中36本を成功させた。「確実に決めてこそ、チームを勇気づけられる」。誇らしげに振り返った。【浅妻博之】

 ■ホイッスル

特別な相手と最高の戦い

 4大会連続8度目となった東福岡と東海大仰星の一戦は、8300人の観衆を魅了した。地を揺らすような歓声が起こり、記者席でも感嘆の声が上がるほどだった。高校ラグビー界の最高峰でのライバル対決だった。

 球際で激しくぶつかり、終盤まで足を止めなかった両チームの発奮を見れば、特別な間柄とよく分かった。第83回大会(2003年度)以降に決勝3回、準決勝2回、準々決勝3回と対戦し、うち7回は、勝者が大会を制している。対戦成績も、この日で4勝4敗の五分となった。

 東海大仰星の湯浅大智監督は「特別な場所で何度も戦ってきた思い入れがある」。東福岡の藤田雄一郎監督は「仰星は特別だ。選手が最もリスペクトしている」と語る。培った力、誇りや意地。全てをぶつけられる相手を目標に高め合い、成長してきた。

 日本ラグビー協会の坂田好弘副会長は「他チームも引っ張られ、ラグビー界全体が盛り上がっていることを、今大会は証明できた」と評した。準々決勝以降で接戦が続いたのは、各チームの実力が向上しているからだ。

 プロ野球で「伝統の一戦」と呼ばれる巨人-阪神をはじめ、ライバル対決はスポーツの華だ。ファンに訴えかけるものがあり、人気拡大にもつながる。歴史を紡ぐような激しいつばぜり合いに、これからも期待したい。【谷口拓未】

東海大仰星、阻む壁 攻めきれず焦り

 インゴールにあおむけに倒れた相手の体の上に、ボールは残っていた。0-7の前半ロスタイム。東海大仰星はゴール直前まで攻め込み、粘り強く十数回にわたって連続攻撃を仕掛けたが、得点できなかった。勝負の明暗を分けた場面だった。

 中央のモールから右に展開。ゴール前5メートル付近でパスを受けたWTB根塚が一気に走り込んだが、ゴールライン上で組み止められ、前半終了のホイッスルが鳴った。「自分たちで焦って(トライを)取り急いでしまった。甘さが出た」と根塚。一方、湯浅監督は「(東福岡の選手には)おのおのが身に着けたラグビーに対する嗅覚がある」と、要所をしのいだ勝負強さに脱帽した。

 高い身体能力を誇る東福岡に対し、課題だった防御は成長を見せ、激しいタックルで思い通りにさせなかった。ただ、攻撃ではノックオンなどのミスを繰り返した。後半6分と10分にトライを奪って追い付いた後も、相手陣で回したパスを大きく前にはじいてターンオーバーを許した。これをきっかけに決勝点を奪われ、一度傾いた流れを呼び戻すことはできなかった。

 連覇に注目が集まる中、主将のフランカー山田は「自分たちが積み上げたもので優勝したい」と願っていた。もう一歩が及ばなかった。「日本一以外は、やり切ったとは言えない。やり切れなかったことを一生背負っていく」【坂本太郎】

積んだ経験、来季へ 宮崎佑基(2年) 東海大仰星・WTB

 反撃ののろしを上げるトライだった。14点を追う後半6分、相手陣30メートル付近の左中間ラックからブラインドサイドへ展開攻撃。左タッチライン沿いでパスを受けると、そのまま駆け上がって左隅へトライを決めた。

 普段からWTBの面白さを「相手選手が多くいても、トライを決めるところ」と思っている。50メートル6秒2の俊足を飛ばして相手を振り切り、まさに理想通りのプレーだった。これでチームも勢いを取り戻し、4分後に同点。最後は東福岡に屈したものの、「思い切りプレーができた」と充実感を漂わせた。

 幼稚園のころ、幼なじみで前回大会優勝メンバーのWTB中孝祐(現関学大)に誘われてラグビーを始めた。予選ではリザーブにも入っていなかったが、今大会直前の校内合宿での気迫あふれるプレーが湯浅監督の目に留まって抜てきされた。2、3回戦は途中出場、準々決勝以降はフル出場でチームの準優勝に貢献した。

 「いろいろな経験を積めた。来年は優勝を狙いたい」。未来への希望と自信をつかんだ花園だった。【来住哲司】

反撃Tも涙

 ○…東海大仰星の反撃ムードを高めたのはフランカー山村だった。7点を追う後半10分にチーム2本目のトライ。連続攻撃でゴール前まで迫り、最後は密集の右サイドを突いてインゴールに飛び込んだ。「全員で(ゴール前まで)持って行ったボール。結果的に僕が取っただけ」と控えめに振り返ったが、ゴールも成功して試合を振り出しに戻した。ただ、その後は立て続けの失点で突き放され、「(同点後も)焦らずにいこうとしたが、やり切れなかった」。泣きはらした目が、悔しさを物語っていた。

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