全国高校ラグビー大会 HANAZONO LIVE

和歌山工・山野永遠選手 走る、君の分まで 筋ジスで死去、いとこのスパイクが翼

(2016/12/27 17:08)

 第96回全国高校ラグビーフットボール大会の27日1回戦に登場する和歌山工のフランカー、山野永遠(とわ)選手(2年)は、難病のため今月、亡くなったいとこから贈られたスパイクを履いて花園に立つ。「きっとどこかで見てくれているはず。全力のタックルを決めて、感謝の気持ちを届けたい」と願う。

 いとこの畑中健太さん(29)は子供の頃、全身の筋肉が衰える筋ジストロフィーと診断された。小学校高学年で車椅子生活になり、3年前から寝たきりに。気管を切開して人工呼吸器を取り付け、声が出せなくなった。周囲には息遣いや唇の動きで意思を伝えた。長男の山野選手にとって畑中さんは年の離れた兄のような存在。「健ちゃん」と呼んで慕った。週末のたびに遊びに行った。

 和歌山工で花園に出場した父に勧められ、高校でラグビーを始めた。飽きっぽく、小中学校時代に習ったテニスなどは続かなかった。ラグビーも楽しかったが練習は嫌いだった。トイレでサボり、走り込みも手を抜いた。

 昨年秋のこと。畑中さんが口を動かして伝えてきた。「スパイク欲しい?」

 一緒にパソコンを見ながら約1時間かけて白いスパイクを選んだ。「いつも休まず頑張っているから」と畑中さん。山野選手は「習い事が続かない僕への応援だったと思う。体が自由に動かせない健ちゃんの代わりにラグビーを頑張ろうと思った」と振り返る。練習で手を抜かなくなった。

 スパイクは3年生まで大切に履き続けるため、公式戦だけ使うことにした。

 11月にあった県予選の準決勝と決勝。畑中さんはテレビ中継を食い入るように見つめていたという。贈ったスパイクを履いてプレーする山野選手を見るのは初めて。「頑張れ」。試合後も録画を何度も見返した。

 「次は花園や」。花園出場を祝ってもう一足贈ろうとしていたが、今月10日に亡くなった。26日は30歳の誕生日。山野選手の花園出場と一緒に祝う予定だった。山野選手は「健ちゃんの気持ちにプレーで応えたい」と誓った。【石川裕士】

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