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第6章 80年代のアメリカン・ロック

(その2)アメリカンロックの復権
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 MTVの出現で最初においしい思いをしたのは、イギ
リス勢でしたが、そのあとにはアメリカンロックの逆襲
がまっていたのでした。

 イギリス勢の成功例と同じく、プロモーションビデオ
を多用したアメリカ勢が次々とデビュー、83年頃には
MTVもアメリカ中心のプログラムへと変化していき、
ヒット曲、ヒットアルバムがうまれていく。

 しかもこの時点を境にアルバムの売れ方や、枚数が、
大幅に変わっていったのでした。まずは売れ方ですが、
ロングセラー、つまり長期間売れつづける、というもの
が多くなったのです。

 その理由は、やはりMTVです。一枚のアルバムから
何枚ものシングルを切り、それに合わせてビデオクリッ
プも創る。そしてMTVでヘビーローテーションさせる
ことにより、アルバムのセールスにつなげる、といった
図式が一般的になったのです。

 もちろん、その他に大規模なツアーも不可欠なもので
したが、なにはともあれ、この方法で売れ方が変わった
のは事実です。このロングセラーの代表的なものは、

♪ヒューイ・ルイス&ザ ニュース
 /ハート・アンド・ソウル('83年)

 83年に“スポーツ”というアルバムをリリース。そ
こからコンスタントにシングルを切り、ビデオクリップ、
そしてツアーを続け、じわじわと売り上げをのばす。結
局、このアルバムは2年間チャートインするという、ロ
ングセラーになったのでした。

 ちなみに全部で9曲入っていたこのアルバムからのシ
ングルは、5曲!そのうち4曲はTOP10に入ったの
だ。

♪ZZトップ/レッグス('83年)

 83年発表の“イリミネイター”から。このアルバム
からのシングルヒットは4曲。中でもこの曲はビデオ・
クリップも話題になった。3人のキャラクターと、セク
シーな女性のユーモラスなビデオで、ZZトップのイメ
ージも決定づけられた作品です。このアルバムも次の“
ターミネーター”がリリースされるまで売れ続けたロン
グセラーアルバムとなりました。

 とまあ、このようにアメリカ勢がどんどん元気になっ
ていっていきつつあった中、これぞアメリカンロックだ
!といわんばかりに最大のシンボルとなったアルバムが
リリースされました。

♪ブルース・スプリングスティーン
 /ボーン・イン・ザ・USA(84年)

 通算7枚目のこのアルバムは、まさに80年代のアメ
リカンロックの代表作として語りつがれていくでしょう。
この当時のアメリカというものをそのままロックンロー
ルにのせて歌った曲の数々はアメリカ人のほとんどを共
感させたと言っても良いのだ。もちろん、MTVの利点
も最大限にいかしつつ、大ヒットになったのは言うまで
もない。( トータルで7曲がTOP10入り !! )

 他にもいろいろとロングセラーアルバムはありますが、
いずれも手法は同じだったのです。このシステムの導入
により、アーティストの作品のリリースタームはだいた
い2〜3年に1枚のペースになっていった。これは現在
でもうけつがれているシステムなのです。

 このMTVを利用したシステムはいわゆるハードなロ
ック界にも飛び火したのでした。それまでのロックバン
ドのフィルムといえば、必ずLIVE録りしたものと決
まっていましたが、この頃から、ハードロック、ヘヴィ
ーメタル系のグループもストーリーをもったものや、イ
メージを前に出した、いわゆるビデオ・クリップをつく
り、ファンを広げていったのです。そんな中で忘れちゃ
ならない大ヒット曲といえばバン・ヘイレンのジャンプ
でしょう。この曲の全米NO.1ヒットのおかげで、そ
の後のLAメタルブームや、ボン・ジョビの大ヒットが
あったと言えますな。

 その他、それまで不在であった女性ポップボーカルの
スーパースターもMTVの申し子として出現。まずは8
3年にシンディローパーが注目を集め、84年にはマド
ンナが“ライク・ア・ヴァージン”で全米NO.1を獲
得。相反する2人のキャラクターはライバルとして火花
をちらしていく。もちろん2人ともヒットのきっかけは
MTVのビデオクリップが大反響を呼んだことに他なら
ないのです。

 という具合に80年代のアメリカの音楽はMTVとい
う、新しいメディアを中心に動いていたということはま
ちがいない所でしょう。

 そして、このMTV、ビデオクリップはさらなる進化
をとげていきます。いわゆる曲中心のビデオクリップだ
けではあきたらず、映像を中心としたストーリーのある
長編もの、映画じたてのビデオクリップへと変化してい
くのでありました。

 次回はそんな「ムービー系」ビデオクリップで話題に
なったアーチストを紹介します。

(次回は「ビデオクリップ長編作品」)



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