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第4章 60年代のアメリカン・ロック

(その3)フォーク・ロック
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 1964年頃から、ビートルズをはじめとする、イギ
リスのグループが次々とアメリカ進出を果たしていたの
はイギリス編で言っていたとうり。と、同時に、アメリ
カのグループやミュージシャン、特にフォーク・ソング
を主にしていたアーチストは、逆にイギリスに公演旅行
にでかけるようになっていたのです。

 その中でも、フォークのプリンスと呼ばれたボブ・デ
ィランは、この渡英によって、その思考までも影響を受
けることになったのでした。ビートルズや、ローリング
・ストーンズのメンバーと交流を持ち、イギリスのロッ
クンロールの大ブームが秘めている力をまのあたりに実
感したボブ・ディランは、音楽を政治の道具とみなすグ
リニッジ・ヴィレッジ風プロテスト・フォークというも
のに限界を感じたのです。

 そして次第に歌による内面の探求へと関心を移し、自
ら、エレキ・ギターに持ち変え、パフォーマンスにはバ
ンドを起用していくようになるのでした。サウンドと同
時に歌詞も変化しはじめ、特に、主語が「我々」から「
私」になっていったのもこの頃からです。

 当然、この変化には批判が集中、許しがたい裏切り行
為だとして、コンサートでは野次が飛び中断になる騒ぎ
まで起こったのだ。

 でも、時代はディランに味方しました。

 エレキギターにバンド・サウンド、そしてロックンロ
ールや、ブルースの要素をふんだんに取り入れたディラ
ンのアルバムは、LPチャートでトップ3に入る大ヒッ
トとなり、これによりフォーク・ロックは確立の道へと
歩き出したのです。これを機に同じような手法を用いた
グループが次々と出現してきます。

♪ザ・バーズ/ミスター・タンブリン・マン(65年)

 ロサンゼルス出身の無名フォーク・シンガーの集合体
であった彼らが、ボブ・ディランの曲をエレクトリック
化して大ヒットさせた。

 でも、裏話として、メンバーの演奏があまりにも未熟
なため、この曲は、スタジオ・ミュージシャンが起用さ
れたそうな。この手のズルはいつの時代にもあってんね
ー。

♪ママス&パパス/カリフォルニア・ドリーミン
(66年)

 男2人、女2人の4人グループ。65年結成。その後
のウエスト・コーストロックにとって重要な存在となる
べくデビューから数々のヒット曲を放った売れっ子グル
ープです。

♪ラヴィン・スプーンフル/
  DO YOU BELIEVE IN MAGIC(65年)

 65年、ニューヨークで結成された4人組。デビュー
・シングルから大ヒットを飛ばし、その後も数曲のヒッ
ト曲を持つ。“サマー・イン・ザ・ライ”なんか有名で
すね。

♪サイモン&ガーファンクル/
  サウンド・オブ・サイレンス(65年)

 これは日本でも超有名なデュオです。実は57年にト
ム&ジェリーという名でデビューしていたのだ。64年
に改名、この曲でフォーク・ロック・デュオとして有名
になっていく。

 でも、この曲は、実は、本人たちの知らない所で、勝
手にリズム・トラックがつけ加えられて、フォーク・ロ
ックにされてしまったそうです。まぁ、売れたから良か
ったやん、とは言うものの、フォーク・ロック・ブーム
をコマーシャル的にビジネス化していたという業界の裏
側が見えてくるような、ありがちな話ですな。

    +    +    +

 それでは、ボブ・ディランの変化を基本にもう一度、
よく考えてみよう。

 アメリカで起こったフォーク・ソング・ブーム。中で
もプロテスト・フォークは確かに人の心にうったえるだ
けのものはありますが、その表現はあくまでも政治的な
批判の歌が中心でありました。悪く言えば、人のことを
とやかく言っている、自分ではなく、何か他のもののせ
いにしたものです。

 一方、イギリスで起こったロックンロールのブームに
は、アメリカと同じある種のアンチテイズは存在するも
のの、他のものにあたるのではなく、自分の内面をさら
けだすことにより、若者のストレスや怒りを表現してい
たのです。

 問題の種類や、背景はちがうにしろ、このイギリスの
ロックンロールが持っていたエモーショナルな力にボブ
・ディランは、一番早く気が付いて、自分の持つ、フォ
ークに、この力の部分を取り入れようと思ったのでしょ
う。このボブ・ディランの自然な変化が、フォーク・ロ
ックを誕生させたと言っても良いと思います。

 そして、このフォーク・ロックの大ブームはおもしろ
いことに今度は逆にイギリスに飛び火し、ビートルズが
変化したり、イギリスのフォーク・ロックバンドが出現
したりしたのです。

 当時のヒットの方程式は“プロテスト+フォーク+ロ
ック=ヒット”だったそうな。

 来週は アシッド・ロックのお話。だんだんロックが
ぶっ飛んできます。

(次回は「アシッド・ロック/サイケデリック・ロック」)



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