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第3章 80年代のブリティッシュ・ロック

(その3)プロデューサー/エンジニア
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 ニューウェイヴ以降のめまぐるしい変化とともに、次
々と新しいアーチストが出現してきましたが、これに対
して、60年代からのキャリアを持つベテラン達はとい
うと・・・実はけっして消え去ってはいなかったのです。

 70年代からの流動的な音楽シーンと時代の流れをた
くみにすくい取り、ニューウェイヴ的要素を前面に出し
ながら、大逆襲をはじめるのです。これも80年代に入
っての動きである、例えばスティーヴ・ウィンウッド、
ローリングストーンズ、そして中でもデビット・ボウイ
の変化と復活は特筆すべきものであります。

◆デビット・ボウイ

 ’83リリースの“レッツ・ダンス”はニューロマン
ティック以降のアメリカ進出に成功したイギリス風ダン
スミュージックが、ふんだんに取り入れられている。自
らも活動の本拠地をアメリカに移し、レコーディングか
らすべてアメリカで行なったところなど、若手がひらい
た道をうまく利用しているのだ。

 そして、今日の本題、プロデューサーには、シックで
有名なナイル・ロジャース、エンジニアには、当時飛ぶ
鳥をおとす勢いのボブ・クリアマウンテン(NYのダン
スミュージックといえばこの人(シック)。他にローリ
ング・ストーンズなどで有名)いずれもアメリカ人を起
用しているのだ。

 このあたりが、いかにもデビッド・ボウイらしいとこ
ろである。単にニュー・ウェイヴ連中が成功したやり方
をまねるのではなく、ダンス音楽なら、ブラック・アー
チストと、新しい音を創るなら、その技術を持つエンジ
ニアを・・・という具合に、イギリスにこだわらず“餅
はモチ屋”にまかせるいわゆる本物と仕事をして、勝負
したのであった。結果は大成功だった。

    +    +    +

 話は前後しますが、こんな具合にベテランが次々と復
活できた裏側には、名プロデューサー/エンジニアの存
在があったというのが、また見逃せないところなのです。
そして、このプロデューサー、エンジニア達は、実は、
ニューウェイヴ以降の新人を育てた張本人であった。ゆ
えに、ベテラン達の音楽づくりに大きな役割を果たした
のです。

◆ヒュー・パジャム

→ピックアップ曲:フィル・コリンズ

 81年リリースの初ソロアルバムで、プロデューサー
/エンジニアにポリスやXTCを手がけたヒュー・パジ
ャムを起用。中でも、2人で考案した“ゲート・リバー
ブ”のドラム・サウンドは注目を集めた。

 その他、大胆なホーンセクションの導入や、チープな
リズム・マシンを使用するなど、新しい音楽を創ってき
たヒューのアイデアがあらゆる所にいかされている。そ
してこのインパクトは、後のジェネシスにも多大な影響
を与えていると言える。

◆トレバーホーン

→ピックアップ曲:ビデオスターの悲劇/バグルス

 バグルスのメンバーとしてヒット曲を出す。その後、
自らのレーベル「ZTT」を設立。彼のサウンドづくり
は、最新テクノロジーをフルに活用したもの。特に、シ
ーケンサーやサンプリングを多用した音楽は、へたをす
ると、ミュージシャンがいなくても、または誰でもよい
!というところまで行ってしまう勢いであった。(打ち
込み系のソロ・アーティストが増えたのもこの頃から)

 そんな彼がプロデュースして、ヒットしたアーティス
トがフランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドとか、アー
ト・オブ・ノイズです。

→ピックアップ曲:
リラックス/フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド

 アマチュア時代にTV出演していたところを、トレバ
ーホーンに見出され、ZTTレーベルと契約、83年に
デビュー。彼の見事なプロデュースにより、次々とヒッ
ト曲を出す。過激な歌詞とビデオ・クリップが話題にな
る。

 そしてトレバーホーンは、これらのグループのリミッ
クス・バージョンも数多くつくり、発表。最新のプロデ
ューサー/エンジニアとして、知名度をあげる。後にイ
エスの再結成にも参加、プロデュースも行なう。

 とまぁ、このように、80年代の音楽は、アーティス
トよりも、プロデューサー/エンジニアのアイデアが注
目されるという動きも出てきた時代でした。これは、変
化の内容が、今までのように、ビートであったり、パフ
ォーマンスであったり、スタイルであったりしたのに対
し、音面そのもの、つまり、音そのものをを変化させた
い、という流れが起こったからでしょう。

 そこには、レコーディングテクノロジーの進歩という
種が存在し、よりエレクトロニクスを使ったサウンドが
作れるようになったという背景があります。だからこそ、
それらをフルに使いこなし、またアイデアも豊富なプロ
デューサー/エンジニアが重要視されたのです。

 ただ、この分野の音楽は、さっきも言いましたが、へ
たをすればミュージシャンがいなくても出来てしまう・
・・別にだれでも良い・・・てなところが問題ですね。
(日本もヤバイか・・・?)

 来週は、その他の地域から出てきたブリティッシュ・
ロック・アーティストのお話です。

(次回は「ロンドン以外のローカル・シーン」)



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