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第2章 70年代のブリティッシュ・ロック

(その4)スカ、レゲエ
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 起こるべくして起こったパンク、そしてニューウェイ
ヴへの変化。ただし、ニュー・ウェイヴとは単にくくり
の表現であり、その音楽の幅はすごく広い。たとえば、
モッズ・リバイバル、ネオ・サイケデリック、ネオ・ロ
カビリー、エレクトロ・ポップなどなど、いろんな音楽
のことを総合してニュー・ウェイヴと表現したにすぎな
いのです。

 そして、その幅広い中の1つとして、レゲエやスカの
ビートをとり入れた音楽が登場、注目を集めるようにな
ったのだ。

    +    +    +

 レゲエの本場はジャマイカ。これ当たり前。そのジャ
マイカは1962年までイギリス領であったため、50
年代の頃から、イギリスにはジャマイカから安い労働力
として多くの移民が迎え入れられていたのです。そして
イギリスから独立して以降も、ジャマイカの社会は安定
せず、失業した若者はあふれかえっていたのです。

 こういう低所得者や、安い労働者の背景は同じ問題を
かかえていたイギリスのミュージシャンたち、特にパン
ク、ニューウェイヴの人たちに大きな共感をあたえたの
です。

 そしてその共通点から、次々とレゲエのビートをとり
入れたニューウェイヴのバンドが出現したのだ。

◆ポリス

‘78デビュー当時から、レゲエのビートをたくみにと
り入れたサウンドでまたたく間に人気を得る。シングル
“ロクサーヌ”の大ヒットにより、一躍スターダムにの
し上がった。

 スティング本人も、ボブ・マーリーから大きな影響を
うけたこと、そして、パンクのスピリットに注目してい
たことをこう語っている。

“僕は ジョニー ロットンヤ、シド・ヴィシャスよりも
ずっと年上で、ソフィストケイトされたミュージシャン
である。彼らより角のとれた人間でもあったけれど、彼
らの反体制精神には共感を持っていた。あのエネルギー、
攻撃性にもね。”

 このようにパンクの持つ精神と、レゲエの音楽性をみ
ごとにミックスしたのがポリス・サウンドの源になって
いたのです。

 もしかすると、最近、パフ・ダディに「見つめていた
い」のサンプリング許可を出したのも、アメリカが今か
かえている問題に対してのラッパー達の考え方に共感を
持っていたからかもしれません。

 いずれにしても、ポリスの登場はイギリスの音楽に大
きな影響を与えたのだった。(レゲエをポピュラーにし
た)

◆スペシャルズ

‘79年に起こったトゥー・トーンによるスカ・リバイ
バルブームの代表格。いろんな意味で、このトゥー・ト
ーン、そしてスペシャルズの出現は大きい。

 まずひとつにスペシャルズ以降のスカ・レゲエ・グル
ープは白人、黒人の混合グループである、ということ。
経済不振からくる大量の失業者問題は、人種差別問題ま
でもを助長し、大変なことになっていた。

 特にカラードに対する差別は説明するまでもなく想像
がつく状態。コンサート会場などでは、カメラチェック
ではなく、凶器のボディーチェックがされていた、とい
うくらい、乱れきっていたのだ。

 そんな中、スペシャルズが堂々と人種混合グループと
してヒットを出した。そして同じようにトゥー・トーン
・レーベルから次々と混合グループがデビュー、またた
く間にスカ・レゲエは大ブームになったのです。だから、
スカ・リバイバルと呼ばれるブームは社会的にも大きな
意味があるのです。

 これにより、ジャマイカンをはじめとする、黒人のミ
ュージシャンたちが、活動の場を広げ、もはや肌の色で
音楽を分けるということも無意味になっていくのだ。

 トゥー・トーン以外でもUB40など、このブームの
流れをくんでデビューしたグループは数知れず。イギリ
スの音楽シーンとレゲエの関係は思ったより深い!影響
の与え方、背景など社会的なつながりがあるのだ。

    +    +    +

 このようにグラム・ロックから始まったイギリスの7
0年代ロック史は、社会の状況に応じて変化をしてきた。
音楽のブーム=カルチャームーヴメンントと言えるほど、
生活に密着した形で必然的に姿を変えていったのです。

 ゆえに70年代のブリティッシュ・ロックをふり返っ
たり、また歌詞を読みかえしたりすると、教科書にはな
い、より現実的なイギリスの歴史を垣間見ることができ
ます。

 70年代のトリとして登場したニューウェイヴは、そ
の名のとおり新しい波として常に最新の音楽として変化
を続け、そのまま80年代へと突入していきます。

 来週はその変化のひとつ、ニュー・ロマンティック系
のお話です。

(次回は「ニュー・ロマンティック」)




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