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第1章 60年代のブリティッシュ・ロック

(その4)プログレッシヴ・ロック
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 ブルース、R&Bからブルース・ロック、そしてハー
ド・ロックへと、よりエネルギッシュなものへと変化し
ていった60年代のブリティッシュ・ロック。そしても
う70年代へと突入する頃、ハード・ロックとはまたち
がう表現で人気を得たロック、それがプログレッシヴ・
ロックである。

 プログレとは・・・一口では説明できないと思う。し
かし、あえて言うなら、まず当時でいう音楽、ジャズや
クラシック、ロック、はたまたポップスに至るまであら
ゆる音楽を融合させ、そこにエレクトロニクスなどを駆
使した知的で芸術的なエッセンスを取り入れて追求した
音楽だ、そうです。

 ちなみに、プログレの代表選手キング・クリムゾンの
ロバート・フリップ氏によると、プログレとは“底の浅
い神話的なコンセプトに意味不明の歌詞、怪奇なアルバ
ム・ジャケット。そして馬鹿げた衣装。まとまりの無い
ダラダラした音楽、長いソロ、けっして誰も踊れない。
でもクスリでトリップしている者にとってはとても踊り
たくなってしまう奇妙なリズム。”などと解説していま
す。(ドラッグとのかかわり)

 よくわかるようで、よくわからん定義ですが、それが
いったいどんな音楽なのか、とりあえず聴いてみよう。

◆キング・クリムゾン

 69年デビュー。“プログレッシブの金字塔”といわ
れている“宮殿”から。全英チャートではビートルズの
「アビイ・ロード」を追い落とし、No.1を獲得。こ
のアルバムではメンバーであったグレッグ・レイクは後
にエマーソン・レイク&パーマーを結成、70年にはデ
ビューしている。その他、ムーディーブルース、ジェス
ロ・タル、イエスなどがプログレ時代をささえていく。

 そして忘れちゃいけない代表選手がもう1つ。

◆ピンク・フロイド

 73年リリースの“狂気”。発売20周年を記念して
わざわざリマスタリングしてスペシャル・パッケージに
て再発。しかも、これがまた売れまくっているというか
らすごい。全米チャートでは何と750週間チャートイ
ン(15年 !! )して、ギネスブックにも登録されてい
るのだ(ちなみに第2位はキャロル・キングの“つづれ
おり”で302週)

 まさに歴史的な名作です。これだけじゃないよ。79
年に発売した“ザ・ウォール”は2枚組で1000万枚
以上を売り、もちろん2枚組で全米No.1もとるとい
う、破格の大記録ももっているのだった。

    +    +    +

 では、あらためてこのプログレなるものの定義のおさ
らいと、なぜこんなにもブームになったのかを考えてみ
ましょう。

 この音楽が生まれた60年代末期頃は“アート・ロッ
ク”という呼び方がされていたらしい。これは、ジャケ
ットなんかでもそういう感じがしますが、その理由はサ
ウンドにあり。

 当時での最先端の楽器、メロトロンやシンセサイザー
をどんどん使い、いろんな音楽を融合させたその新しい
音は芸術的、すなわちアーティスティックだったのだ。

 もちろん、演奏者もハンパなテクニックではなく、と
にかくうまい。そして何よりも、その考え方がぶっとん
でいる“天才”型の人がやっていた所もアーティスティ
ックなのだ。

 だから歌詞もすごい。それまでのロックの歌詞といえ
ば、“いってまえー!!”“オレは突っ走るぜー!!”
“踊ってハッピー!!”のような実に平和的なものだっ
たが、この人たちはより哲学的、現実的に未来を見つめ
た“詩”というより、論文を発表していたのだ。大きな
テーマは現実の否定だ。

例)
混沌こそが墓碑銘
袋小路の出口にあるのは深い闇
(キング・クリムゾン)

人の心には月の裏側と同じ不安感が渦巻いている
(ピンク・フロイド)

↓
人間の内面性を追求。

 この他、イエスは“ここではないどこか”をテーマに
現実を否定、究極の逃避願望をうたい、逆にEL&Pは
今をこわす破壊衝動をうたい、現実を否定したのだ。

 まぁ、このように音楽という手段で、哲学を追求した
のがプログレの源といっていいでしょう。

 こういうアプローチは、人間の根の部分に直接入り込
んできます。だからいつの時代であっても、人に何らか
の刺激を与えるのでしょう。ゆえに、時間を飛びこして
うけるのだ。その時代背景によって聴き方は違うけどね。

 そういう意味で、プログレは音楽の中ではいちばん芸
術的であると言っても良いでしょう。こういうアーティ
ストはすばらしい画家の発想と、すばらしい哲学者の思
想の両面を持っているのだから、歴史的にももっと評価
されるべきだし、発表されている作品は人類の宝物なの
です。

(次回は「グラム・ロック」)



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