第4章《浴女と裸婦》
Chapter4 : Bathers and Nudes

 ルノワールは「神の創造した最も美しい創造物、人間の身体を眺めることによって到達する恩恵に満ちた状態」について語り、次のように付け加えている。「個人的な趣味で言えば、(最も美しいのは)女性の身体だ!」。ルノワールの作品では、絵具が肉体になり、撫でるような筆遣いを感じさせる。女性は裸体であろうと衣服を身につけていようと、光と創造力の源となった。画家人生のごく初期から最晩年期まで、裸婦はルノワールの創作の原動力であった。女性の裸体が、理想的曲線や彼が夢描いた色彩を探求するための理想的な題材であったからだ。うねる曲線は人間の完璧な美しさや人生を象徴し、また、それを見るものが感じる快楽をも昇華させるものであった。アングルの影響が時折感じられる女性の豊満な形状に加えて、筆遣いがもたらす絵画的効果も見るものに感動を与える必要があった。ルノワールにとって、絵とは夢を見させるべきものであったからだ。そのために、選ばれた色を用いて、非常に薄い絵具の層をカンバスに重ねることで、陶器や桃の皮のような効果を出した。これらの絵を見ていると、描かれている女性に触れてみたくなる。ルノワールの裸婦は官能性、女性的かつ母性的な優しさ、人生や美しさの象徴なのである。

ピエール=オーギュスト・ルノワール
《風景の中の座る浴女 またはエウリディケ》
1895-1900年
油彩・カンヴァス、116.0×89.0cm
ピカソ美術館
© RMN-Grand Palais (musée Picasso de Paris) / René-Gabriel Ojéda / distributed by AMF
ピエール=オーギュスト・ルノワール
《水浴の後》
1912-1914年
油彩・カンヴァス、67.0×52.5cm
ヴィンタートゥール美術館