尾崎麿基さんインタビュー


癒し系?「かたつむり」の忍さんを演じる尾崎麿基さん。忍さんのこと、最終週のみどころに加え、今回は役者・尾崎麿基を語っていただきました。(1、2のホームページにもインタビューがあります)

―パート3まで忍を演じてこられて、ご自身の中で変わってきたところはありますか?
「最初は演じることに窮々としていたんですが、最近はモードを切り替えるとすぐに忍さんになれるように。パート3だから、ですね。演技をしていない瞬間でも歩き方が小股になっていたり、自然に出るようになりました。役者は自然ではなく、作り上げるものですが、パート3になって自然になってきたのが、自分でも不思議です」

―今回苦労なさったシーンは?
「ひな人形作りのシーンでは気を失いましたね(笑)元々不器用なタイプなので(「こんな手ですから、不器用に決まってるじゃないですか!」と、手を見せる)人形を作りつつ、しゃべったりすると、ちゃんとやっているんですけど、振り返ると記憶がないんですよ〜。戸ノ山さんに助けてもらいました」

―どんなところで助かったんですか?
「段取りとかをちゃんと役者の視線で注意して見てくれているんです。自分では出来ているつもりだったのに、監督からダメ出しが来て、その理由を教えてもらったり…さっきより動きの方が先行していたと思う、とか。戸ノ山さん役の楠見さんとは10年来の知り合いなので、とても助かっています」

―パート3では、ちづると真夫婦が深く関わって来ましたね。
「家族の関係が、真君が加わったことで、緩和されたと思います。他人が入ったことによって違う見方が出来る。忍とちづるの関係も変わってくる。家族が増えるってことはこういうことなんだなあ、と」

―パート3もあとわずかです。言えないことも多いと思いますが、尾崎さん的に最終週の見どころは?
「最終週では忍を演じていて、演技じゃなく、この『ピュア・ラブ』の世界が違う次元で本当に存在しているような気分になりましたね。小田さんにも「本当に木里子さんがそこにいる」というのを感じました」

―どんなシーンか楽しみですね〜。
劇団五期会の代表でもある尾崎さん、「ピュア・ラブ」の収録が終わってからは?

「11月末に劇団の公演があるので、劇団員を叱咤激励する毎日です」
(尾崎さんは演出を担当)

―叱咤激励ってどんなことを?
「若い劇団員にやりたいことと出来ることの違いを客観的に見てあげる。役者にとって人の目は大切です。人からどう見られているのか。自分も若い頃からプロ・アマ交じった中で生活してきて、プロとアマの違いというのは、演技を武器に生活していくかどうかの違いなんです。自分も芝居を選んだ葛藤の中で、先輩が何もできていない≠ニいうことを自分にわからせてくれた。それには客観的な目が必要。素直に(人の話を)聞けることも大切です。やりたい役が自分を活かすとは限らないし、望まない役が自分を殺すとは限らない。プロにとって要求されることを出来る≠アとが大事なんです。わからない役を理解するために努力する、そこから開けてくるものがある。つまらない役だと、役をつまらなくするのは他でもない役者なんです。役者は役がなければ何者でもないんですよ。監督に応じることも役者としての目標ですね。(演技の)答えはいくつもあるんですから…」

―ひえ〜なんか圧倒されました・・・
「僕がいつもお酒を飲みながら劇団員に言っていることを言っただけなんですけどね」(私、劇団員じゃないんですが・・・)

―では、今の尾崎さんにとって忍役とは?
「役とは出会いですよね。忍という役に出会って僕は幸せだったと思います。こういう役のイメージがついて回るんじゃないか思われる方もいるでしょうが、イメージがついたら壊せばいいだけのことでしょう」

―最後にご自身のピュアなところを教えてください。
「取り立てて信仰心が深い訳ではないのですが、先祖の墓石に手を合わせるたびごとに、顔も知らない眠っている人たちの息吹を感じるのです。連綿と自分につながる命!!などと言えば大げさなのですが、つまり、その人たちが生きていたから自分が存在するのだということを事実として感じる瞬間!!殊に21歳で戦死したという親戚の満雄くんの墓碑を見る度に、とてもピュアな気持ちになります」
(文章で寄せていただきました)

楠見さんとともにムードメーカーであるだけでなく、役者の視点からスタッフにもアドバイスをくださった尾崎さん。さすが劇団を率いているだけに、全体を見てらっしゃる方だなあと思いました。実は「頼まれたら断われない」「人のためについ時間を使ってしまう」ところもあるとか。そんなところはやっぱり忍さ
ん、ですね。