『ピュア・ラブIII』監督の解説


第36話
この回には龍雲寺・陽春の部屋での10分を超す一人芝居があり、この場面は「ピュア・ラブ」第3部作中、屈指のシーンだと思います。正確には一人芝居とは言えないのですが、このニュアンスは実際に放送をご覧になって得していただくとして、ここでは、勘違いされている方もいましたので、いくつかの情報を整理しておきましょう。まだ陽春は木里子が妊娠できないことを知りません。医師である白井が陽春に話すはずもないし、木里子ももちろん話していません。また筒井みつるは長門義明氏とは直接関係ありません。それから「ピュア・ラブ3」の主題歌「また あした」は3のストーリーの結末をすべてELTサイドのスタッフに話した上で、作詞・作曲していただいたものなのです。このことが一つのヒントになると思いますよ。

第37話
まず、放送最初の木里子の部屋のシーンに注目してください。木里子は陽春にもらった○○○○を身に着けます。その時の木里子の気持ち、何故なのかを想像してみてください。解答は放送の中盤のかたつむりのシーンで示されます。木里子とはこういう心根の女性であり、陽春への気持ちがどれほどのものなのかがよくわかると思います。と、同時に、最終回のあるエピソードに繋がっているので、そういう脚本上の構成も楽しんでください。それから副住職になって部屋に電話があることが、この回で活きてきます。

第38話
訪ねてきた陽春の言葉を受けて、木里子の気持ちが噴出す、麻生家の和室のシーンが見どころと言ってしまえば簡単なのですが、宮内さんの脚本はヒネリが利かせてあり、ここから木里子が言葉を交わす何人か(この流れは39話まで続いていきます)の人たちとの会話が見どころ、聞きどころであって、おのおののキャラクターがうまく活きていると思います。(書けないことが多すぎて、まわりくどい言い方ですみません)

第39話
畳の部屋に四角いテーブルが一つあって、二人の人間座って話す時、その二人をどこへどう座らせればよいか、習慣で座り位置が決まっている場合は別にして、話の内容によって、演出担当者が頭を悩ませる点のひとつです。
シーン11「かたつむり・奥の部屋」での木里子と忍の木里子の一生を決定付けた会話も、木里子が忍と向かい合って座ったのでは感じが出なかったのではないでしょうか?人物の位置関係に注目してドラマを観てみるのも、面白い見方だと思います。

第40話
龍雲寺の山門前の石畳の道の長さをどう活かすかが1つのポイントでした。何といってもあのシーンがピュア・ラブ史上、最高のシーンでしょうから。