『ピュア・ラブIII』監督の解説


第21話
 陽春と木里子の長いシーンがありますが、ここはお芝居の構成が難しいところです。
「ルナの不在」と「木里子と陽春自身の問題」が介在するからです。ある回想シーンが挿入されることで自然な流れになっています。脚本上の工夫といえると思います。
 また、ちづるの病室での過ごし方に彼女の性格が反映されていると思います。余談ですが、「ちづるの病名」は最近、大手新聞にも特集で取り上げられていました。

第22話
 いよいよ陽春の副住職入寺式が近づきます。
 その一方で、ちづる、真、麻友のせつないシーンが続きます。麻友も含めていいお芝居が続きますが、一箇所だけ、台本の設定を変えざるをえないところがありました。麻友が「寝ていた」ためにこうなりましたが、ちづるさんも真君も見事な対応で乗り切りました。いかがでしょう?

第23話
 この週の山場、陽春の入寺式です。
 幸いロケ日は晴天に恵まれましたが、冬のシーンを残暑の厳しい時に撮らざるをえないため、「蝉の鳴き声」の処理が大変です。ドラマは、撮影→編集→MA(たくさんの音を整理して、音付けをし、音楽をのせてバランスをとる)という作業を経ますが、ここでは、撮影現場もさることながら、MA作業が大変です。
 「お経」「鐘」だけを別に録音したり…。さて、陽春の晴れ舞台、木里子とみつるはどんな気持ちで迎えるのでしょうか。

第24話
 この回は、「裕太のお芝居」に注目していただきたいと思います。ちづるの病、ルナの事など、小学6年生の彼にとっては、過酷な現実が次から次へと襲ってきます。だからこそ育まれた裕太の優しさ…。裕太役の窪田翔太くんは、しっかりと台本を読みこんだ上で演技プランをたて、あとは現場での感情のおもむくままにお芝居ができる稀有な役者さんだと思います。
 副住職になった陽春の「思い」が語られます。

第25話
 陽春の強い思いが木里子に伝わります。なかなか素敵な「恋のかたち」だと思います。寺にいる陽春と学校での木里子…。このような時、単純にシーンを繋いでいくだけでなく、劇伴の音楽をブリッジ的(シーンとシーンを橋渡しする)に使うことで、より一層ドラマのムードを高め、方向付けをします。
 そのことを知ったみつるは…?気になるところです。