特別企画 ドラマを120%楽しむ特別企画。【監督自らの解説】 〜監督からドラマが大好きなあなたへ〜 「ピュア・ラブ」をもっと楽しく見ていただくために、ドラマ作りの裏側をチョッピリ公開。 |
ネタバレする可能性があります。ご注意ください。 | →[ この週のあらすじ ] |
第6話 5話から引き続き、天寧僧堂の山門前での木里子と陽春の大芝居があります。この僧堂(正式には専門道場)は箱根山麓にあるという設定ですが、実際には京都府福知山市の郊外にある臨済宗の名刹、天寧寺で撮影を行いました。このお寺は専門道場ではありませんが信者のための研修用の禅堂があり、そこをお借りしたわけです。それから僧堂近くのバス停の設定にはちょっとしたアイデアを取り入れてみました。こういうプラスαがドラマには大切で、表現に厚味が出たと思います。どういう事なのかは放送で確かめて下さい。 |
第7話 5話、6話と重い芝居が続いたのでこの回は脚本をふくらませて軽くユーモラスな味付けをする事を心がけたつもりです。それから僧堂のシーンでは「うどん供養」という珍しい食事風景が出てきます。通常の三度の食事では飯びつとして使われるたらい型の飯器にお湯を張ってうどんを入れ、やかんでつけ汁を用意して湯だめうどんの形で食する。年に数回、信者の施しによって行なわれる特別な食事で撮影では雲水役の10人中、本物の僧が6人いたのですが、30人前のうどんをほとんど噛まずにすすり込むという独特の食べ方で平らげてしまいました。 |
第8話 裕太の母親、忍の妹の青柳ちづる(みや なおこ)と、その新しい恋人、柳田真(福田 賢二)の二人の個性的な演技と、宗達老師と忍の、赤ん坊をはさんでの芝居が見所の回ですが、ちょっと趣きをかえて、隠寮(老師の部屋)での老師と客達のすわり位置について説明しましょう。 |
第9話 「役をつかむ」という言葉があります。役者が与えられた役に、意識しなくても自然になり切ってしまえるような心境に達することを言う言葉です。「U」から参加した役の中で、特に難しい演技を要求される佐竹亨役の林泰文君はこの役をどう演じるのか、かなり悩んでいたようでしたが、この回の9シーン「かたつむり・表の道」で、木里子を「一緒に龍雲寺に老師のお話を聞きにいきませんか」と誘うセリフがあって、その時、劇的効果をねらって中央線の高架に電車を走らせてその通過音を彼のセリフにかぶせる段どりで芝居を組んでみました。すると自然と佐竹は声をはりあげてセリフを言わなければならないので、佐竹のきまじめさがよく出て、一石二鳥の結果となりました。その時、林君は「役をつかんだ!」という顔をしたのです。セリフを普通に言うのではなく大声でどなる様に言うことでその時、自分がしている表情や声の調子で佐竹という人物の本質をつかんだのです。こういう場に立ち会うとドラマとは本当に面白いと感じます。 |
第10話 ここまでで出てきた仏教用語を整理してみましょう。 ・大悟(たいご)…大きな悟り(そのままですが禅宗にかかわる人達の最終最高の心境) ・専門道場(せんもんどうじょう)…雲水達が一人前になるための修業道場・通称僧堂 臨済宗の僧堂は全国にあるそうです。 ・禅堂(ぜんどう)…僧堂の中の雲水が生活したり坐禅を組んだりする建物。 ・解定(かいちん)…就寝のこと。開枕ともいう。 ・公案(こうあん)…僧堂の老師から与えられる修行のための問題。非常に抽象的なものが多い。 ・夜坐(やざ)…決められた以外により厳しく自分を鍛えるため野外で深夜に行う坐禅。・朝課(ちょうか)…朝の読経。 ・二便往来(にべんおうらい)…トイレへ行くこと。 ・托鉢(たくはつ)…雲水が鉢を持って市中に食を乞うて歩く修行。 ・釈尊(しゃくそん)…お釈迦様のこと。 ・臘八大接心(ろうはつおおぜっしん)…冬に行われる最も重要な接心(集中的な坐禅行) ・坐睡(ざすい)…坐禅の形でとる仮眠。 ・経行(きんひん)…坐禅の途中で行う歩行運動。 ・俗世(ぞくせ)…普通一般の世の中。 ・作務(さむ)…労働。 |