「ピュア・ラブ」もクライマックスに近づき、8週、9週(最終週)は見どころいっぱいで、あらすじにはとても書ききれません。
中でも今週はルナちゃんの変化がみもの。木里子先生とルナちゃんの間がどのような形で解決してゆくのか、ぜひご注目ください。


特別企画 ドラマを120%楽しむあらすじ
「ピュア・ラブ」をもっと楽しく見ていただくために、ドラマ作りの裏側もチョッピリ教えちゃいます。
第35回(3月18日 月曜)
翔(真栄田和之)が肺炎を起こし、眠り続けている。木里子(小田茜)は約束のセーターの完成を急ぐ。
一方、陽春(猪野学)のところにルナ(樋井明日香)が訪れ、家の片付け方をたずねる。そして父親の俊也(藤本幸広)と一緒に部屋を片付けにかかる。
翔のセーターが編み上がった。が、翔はそのセーターを見ることなく息を引き取る…。

第36回(3月19日 火曜)
翔の死は木里子にとって大きなショックだった。陽春に翔の死を伝えに行った木里子は、自分も同じ病気であることを初めて告白する。その日から陽春は、白血病に関する本を読みはじめる。
一方、ルナと裕太(窪田翔太)が美幸(塚本加成子)の見舞いに病院を訪ねる。そして翔がいるはずの小児病棟へ行くが、翔の姿はない。家に帰ったルナは、俊也が業者に依頼して、部屋がきれいになっているのに驚く。

第37回(3月20日 水曜)
陽春に白血病のことを告白した木里子は、改めて彼への強い思いを感じる。
一方、美幸は18万円を超すクリーニング代の領収書に驚く。そしてルナが洋服の一部をリサイクル・ショップに売ってその金を寄付したと聞き、よけいにビックリする。
年が明け、周作(篠田三郎)と木里子、忍(尾崎麿基)が龍雲寺に年始に訪れた。陽春の部屋に入った木里子は、白血病の本を見つけ、彼の思いを知る…。

第38回(3月21日 木曜)
体調がいい木里子は新学期を迎え、4年生から5年生の担任になったが、木里子の身体は再び白血球が増え始め、移植を考えなければならなくなっていた。
そんな中、木里子は日供米を集めに回る陽春と学校に行く前に「かたつむり」で待ち合わせを始める。月に一度の逢瀬だった。
やがて担当医の白井(石倉三郎)から木里子に骨髄移植の話が…。

第39回(3月22日 金曜)
白井と周作(篠田三郎)から骨髄移植を勧められた木里子は不安でいっぱいだ。木里子は龍雲寺に陽春を訪ねる。陽春は自分がドナーになるといって彼女を励ます。
ルナが木里子の家を訪ねて来た。そして、セクハラメールのことで、素直に木里子に謝るのだった。
わずかな確率に賭け、陽春は骨髄バンクのドナーになるために血液検査を受ける。

特別企画 ドラマを120%楽しむ特別企画。【監督自らの解説】
〜監督からドラマが大好きなあなたへ〜 「ピュア・ラブ」をもっと楽しく見ていただくために、ドラマ作りの裏側をチョッピリ公開。
第35話
目ざとい人は気付かれたと思いますが、このドラマでは木里子の桜町小学校の職員室のシーンは出てきません。
小学校の教師が何かに悩んで同僚の教師に相談したり、教頭や校長とのやりとりでも普通、職員室があると便利なので、たいていの学校ドラマには職員室が登場します。
ではなぜ「ピュア・ラブ」には職員室が出てこないのか?こういうところがドラマ作りの工夫の一つで、白血病にかかる木里子の親友の教師が保健室にいて医学の知識があった方がストーリー上、面白く展開できるし、職員室では出来ない二人だけの会話も組みやすいので、職員室をなくして保健室の中での芝居にかえた訳です。その結果、やや木里子がさぼっているように見えてしまう欠点もあるのですが、プラスの方が多いと判断した訳です。同じような理由と予算上の問題のため、聖ヨハネ病院の成田牧子婦長の婦長室は出てきませんし(婦長はいつも周作の医長室で仕事をしていますね!)、たいちゃんたち3人組とルナや裕太は・・・いつも「かたつむり」の前で・・偶然出会うようにわざとパターン化されています。これで見る側にシラケさせてしまうと作る側の負けなので、そのパターンを逆に楽しみになるように、あるいは意識させないように作っているつもりですが、いかがでしょうか?

第36話
この「ピュア・ラブ」では茶の湯の作法に従って、陽春や宗達がお茶を客にふるまうシーンが頻繁に出てきて、そのシーンのリズム、テンポがドラマ全体のテンポを決めてしまう程で、これは中国から臨済宗を日本に持ち込んだ栄西が同時にお茶も伝えたといわれている所からきているのですが、この36話でも陽春の4畳半(この広さが、特に畳の敷き方が重要)で、陽春の木里子がいつものように茶道の時の座り位置で、木里子が初めて陽春に恋心を打ち明けようとするクライマックスのシーンがあるのですが、ここで茶道の心得のある人ならニヤリとするような1カットが出てきます。
興味のある方は1カット1カット注意してご覧ください。

第37話
この回は何といってもシーンNo.9・聖ヨハネ病院・整形外科病室・416号室での元木ルナと元木美幸の母娘喧嘩でしょう。
ルナのある告白に激怒した美幸が脚本の表現をかりると『そばにあったティッシュの箱から始まり、枕を、雑誌を、タオルを、廻りにあるものを手当たり次第投げつける。と、ルナはそれをかわしながら又、言い返す』というシーンで、芝居の性格と広い画面で見せたいので美幸役の俳優に、ルナにわざと当たらないように投げてもらったのでは、見ていてすぐに分かってしまうので、ルナ役の子の付き添いに来ていたおばあちゃんに、本人は運動神経が鈍い方ではないと確認した上で、美幸役の人に本気でぶつけてくださいとお願いをして、ルナに本気で
よけろと言って撮影した訳ですが…。結果は放送をご覧ください。

第38話
この回での見所はシーンNo.12〜19の間の木里子と陽春の3度のデートですが、これはテレビドラマで描かれた男女のデートとしては極めてユニークなものだと思います。
(毎月1回、その月の10日に30分程、日本茶を飲みながら話し合うだけのデートなのですから)
なぜそんなデートしか出来ないのかというと、陽春が師匠の宗達老師の病気の世話をするために龍雲寺に来ている訳ですから、檀家の人の為にお経をあげに行くとか、日供米などのお寺の用事以外では外出が認められない(常に老師の目の届く所にいなければばらばい)ので、毎月10日の日供米の時に少し時間を作って二人で会うしかない訳で、それだけでも陽春のような修行僧の生活が普通の人たちと違うことがよく分かると思います。

第39話
今回は小道具として度々出てくる木里子のママのソフィさんの写真についてお話しましょう。
留学中の麻生周作とアメリカで知り合い、数年の結婚生活を送って木里子を出産した後、26歳で亡くなったオランダ系アメリカ人の女性という設定ですから、その写真を作るのがなかなか難しい。
なにせ20数年前の写真ですから、その当時の流行の服と髪型をして、しかも木里子に似た古い写真でないといけない訳ですから。昔の写真を作るというのは案外と難しく、かなりの制作費を掛けた劇場用映画でも昔の写真がスクリーンに映った瞬間、違和感を感じた経験のある方も多いと思います。ピュア・ラブでも篠田三郎さんとソフィ役の女性の二人が写った写真が欲しかったのですが、技術的に無理と判断して仕方なく現在日本に住んでいる40代の欧米人の女性の20数年前の写真の中から木里子に似た人を選びました。それもウェディングドレスを着た……。うまくドラマを盛り上げてくれていると思います。