特別企画 ドラマを120%楽しむ特別企画。【監督自らの解説】
〜監督からドラマが大好きなあなたへ〜 「ピュア・ラブ」をもっと楽しく見ていただくために、ドラマ作りの裏側をチョッピリ公開。
第6話
この回では、木里子と陽春が周作の聖ヨハネ病院で3度目の出会いをしたり、元木ルナの家庭内での奇妙な(可愛そうな)生活ぶり― なにせルナの夕食は1年中コンビニの弁当かハンバーガーなのですから、麻生家の食卓と比べて大変な違いです―
が紹介されますが、ここでは白井昭彦に注目してみましょう。木里子の父、麻生周作(篠田三郎)の親友で口が悪くてぶっきらぼうだが腕は一流という白井医師(石倉三郎)は周作の部屋を訪ねての帰りに、成田牧子婦長(衣通真由美)が周作のためにおいておいたキャンディBOXからヌガーキャラメルをごっそりと失敬したりします。コントで鍛えた石倉さんの「間」が笑えるシーンです。
第7話
主人公の麻生木里子(小田茜)のかかる病気は慢性骨髄性白血病(CML)、血液のガンといわれる死亡率の高い難病で、血液中の白血球が異常に増えることにより赤血球や血小板が減り、致命的な病気にかかりやすくなるというもので、血液を固める血小板が減ることにより出血が止まらなくなったり(第1話)、この第7話のようにちょっとして打ち身でも内出血してしまうことになります。
治療するにはいろいろな方法がありますが(例えば抗ガン剤の服用など)、どれも完全とはいかず、そのうちの有効な一方法がこのドラマに出てくる骨髄移植という白血病に侵された自分の骨髄を抗ガン剤で殺してしまい、他人の骨髄をもらうことでまた正常な血液をつくることが出来、生きのびていくという方法なわけですが、この自分の骨髄と合う(血液学的に、かつ遺伝子的に)骨髄をみつけるのが大変なわけです。
第8話
ドラマの舞台の1つである龍雲寺についてお話しましょう。
元々は森本宗達という徳の高い僧がすんでいたわけですが、ぜん息をわずらって一人では生活できなくなって、別のお寺(雲水が修業する禅道坊)で修業中だった弟子の陽春を世話してもらうため呼びよせて2人ですんでいるわけですが、勿論架空のお寺で禅宗の中の臨済宗のお寺ということで、京都の花園にある臨済宗妙心寺派の本山、妙心寺の境内にある大法院というお寺で撮影しました。お庭のきれいな寺で、茶室もあります。この庭で木里子と陽春の初めてのデート(?)を撮影しました。
桜と紅葉の季節には特に見事なので是非一度訪ねてみて下さい。
第9話
この回で陽春が4畳半の自室で写している「臨済録」について説明しておきましょう。陽春の住んでいる龍雲寺は臨済宗のお寺ですが、元々この臨済宗とは中国の臨済という名前の禅僧が起こした宗派で、それが日本にわたってきて色々な派にわかれていったわけで、宗達も陽春も臨済宗妙心寺派の僧というわけですが、「臨済録」とはその臨済が弟子たちに説いた教えを弟子が書きとめたもので陽春がもっているのは勿論その複写本ですが、ドラマの中で陽春の書く「壁立萬仭」という言葉は「禅の修業とは高くそびえる断崖のようにきびしくのぼりつめるのが困難なものだ」という禅の心を読んだ部分です。
第10話
前回が固い話になってしまったので、今回は明石焼の話。
全国的には聞いたことのない方も多いと思いますが、たこ焼の玉子を多めにして軟らかく作ったものをすまし汁の濃い目のだし汁につけてたべるというもので、兵庫県の明石市の店で初めてつくられたといわれているので「明石焼」という名前がついていて、神戸や大阪など関西方面で扱う店の多い食べ物です。おやつ感覚のものなので「かたつむり」では別にたこ飯定食などを出していますが、本場の明石では15個1人前で500〜600円というのが普通ですが、「かたつむり」では東京ということもあって10個500円ということにしました。それでも東京では安すぎないか?という声もあって、結局「かたつむり」は超良心的な店と評判をとったかわりにオーナーの吉住忍は休日なしで働かなくてはならないという設定になったわけです。
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