わずか61分のドキュメンタリーだが、あまりに衝撃的で、私は何度ものけぞってしまった。息苦しくさえあった。
1986年のチェルノブイリ原発事故後、汚染地域で子どもの重篤な心臓病のケースが増えている。チェルノブイリ・ハートとはそうした心臓のことだ。チェルノブイリ・ハートを持って生まれてきた子どもたちは手術しないと生存できない。順番待ちの子どもたちの大多数が、2年から5年で命を落とすのだという。
これは2003年にアカデミー賞短編ドキュメンタリー賞を受賞した作品だ。広大な汚染地域で、子どもたちにどのような悲劇がもたらされているのか、を丹念に取材して、一人一人の姿を映し出していく。驚くのは、放射能の影響でがんになる危険が増すばかりでなく、心臓をはじめ、様々な臓器を病むリスクが高まっていることだ。精神病院の小さなベッドで横たわることしかできない子どもたちや、遺伝子レベルで傷ついて生まれてきている子どもたちの姿。毎日ケアしている医療スタッフが涙している場面もある。
原発がひとたび事故を起こしたら、もうどうしようもなく取り返しがつかないことになってしまうこと、子どもたちに詫びても詫びても詫びきれない事態になることが、具体的な事実として私たちの目の前に現われる。
その映像は、私が想像していたものをはるかに超えていた。
映画館を出たとき、観客の一人の女性が、私に声をかけてきた。目を真っ赤にしながら、言った。「福島の子どもたちの将来が、こんなふうにならないために、私には一体何ができるのでしょう」
福島第一原発から放出された放射性物質の量は、チェルノブイリの1割だといわれる。
同じようことは起こらない、と信じたい。ただ、原子炉の核燃料が今どこにどんな状態で存在しているのかさえ、私たちにはわからないのが現状だ。
とにかく、観てほしい。あなたの1時間を、この映画に、どうか与えてほしい。まず、知ることから始めなければ、いくら議論したって不毛じゃないか。