京都 町家 徒然散歩


かつて応仁の乱に山名宗全が陣をかまえたことから発した西陣。織物の町として栄えたこの町も、着物離れ・職人の高齢化などから少しずつ過疎化が進んでいました。そんな中、1995年に"ネットワーク西陣"という組織が発足しました。空き町家や空き工場の有効活用を促進する事が目的のグループでした。その活動をきっかけに、多くのアーティスト達が職住一体の機能(LIVE & WORK)を持った町家に興味を示し入居を始めました。その数は130件以上にも至り、彼らの作品展が開催されました。その活動はやがてニューヨーク州ピークスキル市との交流に発展し、現在は住民レベルでの国際交流にまで至っています。
その活動の火付け役となったのが、佐野充照さんと、その相棒のフリーカメラマン小針剛さんでした。
佐野充照さんに、それらの活動を通して入居したアーティストの活動やエピソード、町の風景などを織り交ぜて、お話を聞いていきたいと思います。

 第17回『西陣北座旗揚げ』




新聞の一面に大きく「西陣北座旗揚げ」の記事が載った。千切屋工場跡地の大きい方の体育館のような建物だ。

京都南座に対して、北座。何の設備もない、ただの空き工場が北座と呼ばれることに関しては、批判的な電話もあったという。が、そもそも、何もない大きな空間こそが、アーティストにとっては、創造力をかきたてるカンバスであったのである。

ここには、昔、南座に匹敵する規模の岩上座という芝居小屋があったそうだ。そのルーツとなった岩神神社が今も千切屋敷地内にある。(現在、千切屋工場跡地は解体され、(株)渡文の手によって、町並みが形成されている)

(株)渡文や手織り振興財団「織成館」の事務局長である日下部栄介や大黒町まちづくり協議会のメンバーたちが中心となって、北座を旗揚げしたのだが、その前から、演劇集団・白虎舎がスタジオとして使っていたり、演劇関係者の間では、けっこう、練習会場として利用されていたのである。

西陣北座の様々な利用を可能にしたのは、西陣織りの織元である株式会社 渡文の社長であり、西陣織工業組合理事長でもある渡辺隆夫さんである。

この工場跡地を千切屋から借り受け、まず、「建築少年」という京都大学の学生を中心とした建築家集団がそこに事務所を設けた。

そして、手織り振興財団である「織成館」の事務局長や地元・大黒町まちづくり協議会などによって、この工場跡地を「西陣北座」と名付けて、多目的ホールとしてアーティストに提供するという試みが行われるようになった。

それ以後、ここは、演劇、ファッションショー、カフェ、コンサート、ギャラリー、会議、映画など、あらゆるアート表現や発表の場となった。

さて、わたしたちも、この「北座」において、さまざまな取り組みを行ってきた。

わたしたちは、西陣活性化実顕地をつくる会(ネットワーク西陣)という「この指とまれ方式」の集まりを運営しており、種々の取り組みを行ってきた。

代表的なものとしては、そのメンバーによる「おどりBAR」開催や、「アート イン 西陣」展覧会の開催などがある。

「おどりBAR」は、鏡敏彦プロデュースするところのパフォーマンスを見ながら飲み食いできるという催しで、毎月第土曜日に行い、1年半ぐらい続いた。普段、劇場でしか見ることのできないパフォーマンスをリラックスして見ることができるいう点でも画期的な出来事であったのではないかと思っている。

「アート イン 西陣」は、ネットワーク西陣のメンバーによる展覧会で、3年連続して行われた。(千切屋工場跡地取り壊しの後は、1年のブランクを経て、アーティストの自宅を回るという形で継続している)

特にこの展覧会は、芸術文化振興基金の助成対象となり、海外のアーティスト参加の時には、交際交流基金などの助成対象にもなった。まちづくり国際フォーラムやコミュニティーを論議する場は、トヨタ財団の助成対象となった経緯がある。

10人から20人ほどのアーティストが参加し、作品を展示したもので、キュレートしていないぶん、統一性がなく、ばらばらなジャンル作品になったが、方向性を持った展覧会として成功さすというような性格のものではなくて、こんな種々のアーティストたちが西陣に集まって来ているんですよ、という意味を持つものであった。

そのため、ここでの展示をきっかけに作品の注文や商業展開に至ったものもある。
記:佐野充照

■佐野充照(さの じゅうしょう)
法華宗僧侶。本門法華宗妙蓮寺塔頭円常院住職。
住職の仕事をするかたわら、「町家倶楽部ネットワーク」の代表としても京都の町家
を活用していく取り組みをおこなっている。

人と人、人とモノ、人とまちを結ぶ仲人「町家倶楽部ネットワーク」
http://www.machiya.or.jp


当ホームページのすべての著作権は毎日放送に帰属します。記事・写真の一切の転用を禁じます。 Copyright©1995-2012, Mainichi Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.