京都 町家 徒然散歩


かつて応仁の乱に山名宗全が陣をかまえたことから発した西陣。織物の町として栄えたこの町も、着物離れ・職人の高齢化などから少しずつ過疎化が進んでいました。そんな中、1995年に"ネットワーク西陣"という組織が発足しました。空き町家や空き工場の有効活用を促進する事が目的のグループでした。その活動をきっかけに、多くのアーティスト達が職住一体の機能(LIVE & WORK)を持った町家に興味を示し入居を始めました。その数は130件以上にも至り、彼らの作品展が開催されました。その活動はやがてニューヨーク州ピークスキル市との交流に発展し、現在は住民レベルでの国際交流にまで至っています。
その活動の火付け役となったのが、佐野充照さんと、その相棒のフリーカメラマン小針剛さんでした。
佐野充照さんに、それらの活動を通して入居したアーティストの活動やエピソード、町の風景などを織り交ぜて、お話を聞いていきたいと思います。

 第8回『がんこおやじ(旧組織)の説得は難題』



佐野充照氏の講演

西陣視察に対応する佐野充照氏

西陣での出来事が報道されるにつれて、私たちの活動が注目されるようになった。そうすると、いろんな場面に呼ばれるようになる。

ある「まちづくり」に関する集まりで、意見を述べたりもした。しかし、今から思い起こすと、若気の至りで冷や汗ものだった。何故なら、真剣に聞く耳を持っている人たちの前でなければ通用しないようなことを、場所柄も弁えずに口をすっぱくして言ったりもしたからだ。

 今でもその主張は変わっていないのだが、場所と時と人を弁えなければ、いくらいい案であっても採用されないし振り向いてももらえない。振り向かない方にも問題があるのだが、TPOをわきまえるとはよくいったものだ。

たとえば、西陣における商店街の衰退は、西陣織産業の従事者人口の減少を原因とするところが大きい。町並み保全問題も放置空き家の増加も西陣織産業の衰退による人口減少が大きな原因である。それなのに、それぞれが部会に別れ無関係な形で議論をするというのは、縦割り行政と構造が同じで横の繋がりがなく、とうてい総合的に物事を判断しうるとは考えられなかったのである。そこで、縦割り案には、一人反対したのだが、その意見は初めから無視され、会議は、決まった線路の上を何ごともなかったかのように進んでゆくのであった。その上会議そのものの雰囲気がいやいや集められた集団のようで、だれも発言をしようとしない。なんら具体的な意見を言うことのない説明会のようであった。これが大抵の旧組織の実体である。

その後、当初の私の意見である「4部会が合同で意見交換しないとだめだ」という時期がきたのであるが、私は、二度と参加しないで現在に至っている。

組織改革に五年も十年もかかるのなら、最初から改革を諦めて違う組織を立ち上げたほうが早いというのが私の持論である。これは政治にも言えることで、政治家や国会の改革を目指すより、さっさと国でも造る気概で新党結成するか自治区宣言でもして、物議をかもすほうが支持を得られるのではないだろうかというのが私の意見である。

これを極論ととるか発想の転換ととるかは自由だが、私はやりがいのある面白い方を選んだ。それが西陣活性化実顕地をつくる会(ネットワーク西陣)であった。

実際、地域の地縁や旧組織とは別に多くのNPO組織が出来つつある背景には、旧組織側に「暖簾に腕押し」「ぬかに釘」「馬の耳に念仏」という現実があるからだと思っている。

それからというもの、なにかにつけて、地域や旧組織とかかわらなければならないことが度々あり、その度にやる気のなさや旧組織の惰性で動いているような活動が目につき出したのである。

そのことについていちいちここで言うつもりはないが、少なくともこちらが社会的な動きをするようになって、さまざまな形態を持つ団体とかかわることになった結果、判明した事実はたくさんあった。また、行政といやがおうでも関わらなければならないということもわかってきたのである。

それらのことは、政治に無関心であった私にとってはいい経験であり、いい勉強でもあった。

結論は、「頑固おやじ(旧組織)は説得できない」ということ。

力ずくとはいわないが、現証利益を見せつけないとわからないので、勝手にこちらサイドで事を始める。そして結果をもって勝負する。それしかない。


記:佐野充照

■佐野充照(さの じゅうしょう)
法華宗僧侶。本門法華宗妙蓮寺塔頭円常院住職。
住職の仕事をするかたわら、「町家倶楽部ネットワーク」の代表としても京都の町家
を活用していく取り組みをおこなっている。

人と人、人とモノ、人とまちを結ぶ仲人「町家倶楽部ネットワーク」
http://www.machiya.or.jp


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