伝統だって最先端!  〜京都今昔物語〜



京都は、「伝統工芸」「伝統産業」の宝庫です。京都府から指定されているもの以外にも、多種多様な伝統が存在しております。
その全ては、日本の歴史を現在に伝える貴重な財産といっても過言ではないです。
そして何より、21世紀の現代文明をしっかりと活用しながら、その伝統はますます進化していっております。
その背景には、20代〜30代といった若い世代の人々に、40代の先輩世代がチャンスを与え、50代〜60代のベテラン世代がその活動に対して理解を示しているという姿勢にあります。
ここではそんな、時代を越えて変わることのない「文化」と時代と共に進化し続ける「文明」が見事に調和した「伝統」をご紹介していきたいと思います。

第1回 金銀糸(きんぎんし)


今回は、恐縮なのですが、自己紹介も兼ねて、私が創っている「金銀糸(きんぎんし)」の話を致します。

☆ヨーロッパのセレブから発展?



そもそも金銀糸のニーズは、ヨーロッパの貴族が金塊・銀塊をなめして糸として使用していた素材を、より合理的で安価なものに発展させよう!
という動きから生まれました。そして!そのニーズに応えたのが日本の知恵と技術だったのです。

歴史は、江戸時代に生産が始まったとされており、漆を乾かすという製造工程に「湿度」が不可欠なことから、宇治川と木津川の合流地点である、京都の山城地方で発達してきました。

昔は、金銀の「箔」と「和紙」を押すという手工業だったのですが、1960年頃から機械化が進み、ポリエステル等のフィルムに蒸着する技術を使って製造するようになりました。

☆金銀ラメ糸は現代シーンでも大活躍!


着物や帯に使われている金糸というイメージが最も強い金銀ラメ糸ですが、21世紀の現代でもたくさんのシーンで使われており、生活の一部としての素材役割を担っております。例えば、

・ファッション全般
 (ラメが入ったシャツやかばん)

・民族衣装
 (インドのサリー等)

・抗菌性のタオルや靴下
 (純銀糸による輝きプラス機能性)

・商品券等のホログラム
 (セキュリティマーク)

このようなグッズにも「金銀糸」が使われております。


☆城陽市の金銀糸生産量は全国TOP!


京都南部の「城陽市」は、金銀糸の国内生産量の60%を占めております。
さらに、城陽市を中心とする「山城地域」でみると、国内生産量の80%!現在でも城陽市の特産物として、金銀糸の製造は受け継がれており、雅な美的センスは世界的な評価を得ております。
当社「泉工業株式会社」も、金銀糸の街・城陽市に位置し、歴史ある伝統文化と、現代ファッショに必要な独自性を融合させ、「21世紀の伝統」を創る会社を目指しております。


☆まだまだあった!金銀糸の技術!

それでは、更に意外な所にも使われている技術をご紹介します。
金銀糸メーカーに勤めている私だからこそお伝えできる、すごくレアな情報です!!

・F1マシンのシートベルトに入るロゴ刺繍
 (世界基準の厳しい審査を通過した素材しか使わないF1の世界で見事にその輝きをベルトに宿しております。)

・化粧品関連
 (ファンデーション、ネイル、アイライン等の粉[グリッター]は金銀糸製造の応用から創るものです。)

・百人一首、花札の裏地
 (キラキラした装飾では無いですが、漆風のしっとりした質感は金銀糸製造の技術を使って創っております。)

・和傘のかざり糸
 (傘を広げた内部の糸にもキラキラした糸を使っております。)

・ぬいぐるみの生地
 (キャラクター系のぬいぐるみには、お子様が好むキラキラ感が不可欠です。ラメを多様した生地は良く使われます。)


まだまだお伝えしたい事だらけなのですが、手前味噌になる前に、一区切り致します(笑)。

私が2005年から父の仕事である「金銀糸」創りをスタートし、まだ4年弱ですが、まだまだ勉強不足で、毎日が発見の連続です。
そして、お客様の声を聞かせ頂く度に、この業界は絶対に継続させないといけない!と強く思います。

たとえば、当社には ─────────
金銀糸創りが、ポリエステルフィルムや接着剤という石油製品を使用した産業化となった今だからこそ、和紙や漆といった天然の風味でしか出せない「味」が求められており、そのニーズに応えて開発されたという、伝統を継承している商品がたくさんあります。

金銀糸の進化は、まさに今からがはじまりなのです。


文・写真 : 福永 順



■福永 順(ふくなが じゅん)

1974年 京都府生まれ。大学卒業後、就職先の先輩3名とITベンチャー会社を起業。
2004年に泉工業初代社長である父が他界し、2005年1月より、「泉工業株式会社」に入社。
2代目社長である長男をサポートする専務取締役として金銀糸創りをしながら、繊維業界以外の異業種コラボレーションを積極的に進め、金銀糸の可能性を更に拡げようという広報活動を行っている。


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