
| 観光の最新情報に注目 京都初!ポニー馬車で行く糺の森 |

糺の森

ゴマちゃん

カペラ君が引くクラシカルな馬車はイタリア製

「馬車に乗りに来て、糺の森の大自然に
感動してもらいたい」と北村さん |
森の中に一歩足を踏み入れると、唐突に凛とした空気が漂う。特に信心深くない人でも、この場の神聖さ、厳粛さに身が引き締まるような想いがすることだろう。ほんの数メートル外は車が飛び交う都会だというのに……。
京阪出町柳駅からほど近く、市街地の真ん中に36000坪もの森があることを、知らない人もいるかもしれない。ここは「下鴨神社(しもがもじんじゃ)」の名で親しまれる、京都最古の神社の一つで、正式名称は「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」。境内に広がる広大な森の名は「糺の森(ただすのもり)」といい、太古の原生林の姿をそのままに留めた様子は世界文化遺産にも指定されているほど貴重なものである。
京都市民にとっては神社というだけではなく、犬の散歩やジョギングに日々使える身近な緑地。この豊かな大自然を新しい方法で堪能できる試みが始まったと聞きつけて、我が見聞録はどこよりも早く取材に訪れた。なんでも「人力車に次ぐ古典的な乗り物」が登場したとか?ということは……。
さて、下鴨神社といえば京都三大祭のひとつ「葵祭(あおいまつり)」が思い起こされる。毎年5月15日の行列は見聞録読者なら知っている行事だろう。しかし祇園祭が7月中ずっと続いているのと同様、葵祭も5月一杯を指すということは案外知られていないのではないだろうか。では毎年5月3日にこちらで開催される神事と言えば?テレビや新聞で報道される、由緒正しいあのスポーツ。答えはそう、「流鏑馬(やぶさめ)」だ。
流鏑馬とは、馬に乗りながら矢を射る競技。社会の教科書で見たなんて人もいるかもしれない。流派によって衣装もルールも違うそうで、下鴨神社では公家筋の「小笠原流」で開催している。上賀茂神社と同じくそもそもが馬に関わりの深い神社であることから、もっと馬に親しんでもらいたい、ということで考案されたのが、今回登場したポニー馬車なのだ。
もちろん流鏑馬にはサラブレッドが使われるけれど、競争馬として掛け合わされた馬だけに、観光用には使いにくいとのこと。森を案内する役目なので、お子様や初心者でも安心して触れ合えるポニーが採用されている。なんといっても、ほら、かわいい!馬舎に着くまでに、多くの観光の方々が待機中のポニーと記念撮影をするほほえましい姿に出会った。びっくりしておかあさんの後ろに隠れる子供に、ガイドの方が「怖くないよ」と声をかけている。馬の優しい目に見つめられると、流行のアニマルセラピー効果もあるのではないかと思えてくる。
今回馬車を引いてくれるのは、茶色の牡馬・カペラ君。元気いっぱいの3歳だ。もう一頭、ホルスタイン柄の牝馬・ゴマちゃんは、子馬かと思うほど小さくてかわいいけれど、実は13歳のおばあちゃん。カペラ君が引く、黒くてクラシカルな馬車はイタリア製だそうだ。流線型のデザインがヨーロピアンでおしゃれである。赤毛のアンが乗ってきたのも、こんな馬車だったのだろうか。きちんと馬具をつけてもらって、出発進行!御者がつく馬車なんてめったにないので、ワクワクしてしまう。
「ここは日本で最初にラグビーの国際試合が行われた場所でもあるんです。もうすぐ記念の石碑が見えますよ。ほら、これ」見ればそこに『第一蹴の地』と書かれた石碑が。知らなかった!こんな風に御者さんはガイドもしてくれるので、地元の人でも知らない情報がいろいろ聞けて楽しめる。
時折駆け足になったり、止まって見せてくれたりと、盛りだくさんの一周は約15分。秋の木漏れ日に照らされながら、途中小川が流れていたり、観光客の皆さんに撮影されたりと、かなりゆっくり周れた。カペラ君、ありがとう。また会おうね。
この馬車は葵祭の流鏑馬神事保存会が主催しており、御者を務めてくださった北村さんは、京都府馬術連盟からのボランティア。馬の扱いは難しいので、御者になれる人もごく少ないのだそうだ。「馬に親しんでもらうのは目的の一つ。馬車の乗りに来て、糺の森の大自然に感動してもらったり、ついでにお参りしてもらって神社にも親しんでもらえたらと思っています。」と北村さん。確かに初詣には来ても、緑の中で時間を過ごすことなんてなかなかないかもしれない。「馬車は道公法上、公道でも走れる存在なんです。ゆくゆくは葵祭のルートを走ったり、他の観光地でも利用していただけたらいいのですが……。まずは徐々に、ですね。」北村さんはもちろん、京北育成牧場から連れてきたというカペラ君やゴマちゃんも、多くの人と触れ合えることを楽しみにしているそうだ。
営業日は不定期なので、お出かけ前にホームページをチェックしてみよう。そして運良くカペラ君たちに出会えたら、緑の中をのんびり走る、スローな時間を体験してみてほしい。森が、馬が、京都が、もっと身近な愛すべきものに思えてくることだろう。
糺の森流鏑馬神事保存会(下鴨神社内)
住所:左京区下鴨泉川町59
電話:075-781-0010
営業時間:11:00頃〜夕方16:00頃
営業日:月2、3回、土日祝不定期(HPにて確認)
料金:大人1000円、子供(4歳〜小学生)500円
※3歳以下のお子様は保護者同伴
アクセス:京阪・叡山電鉄出町柳駅から北東へ、徒歩8分
駐車場:あり
http://www.shimogamo-jinja.or.jp/ |
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取材・文:藤田アキ
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