放送ライブラリ
≫2011年8月21日(日)の放送映像
ともに暮らす ~「おたっしゃハウス」の日々~
大阪市旭区にある「おたっしゃハウス」では、高齢の女性6人が共同生活をしている。高齢者住宅を運営しているNPOの代表、山王丸由紀子さん(64)は「認知症の父を自ら介護した経験から施設を作ろうと考えた」という。“出来ることは自分で、出来ないことは助け合いながら”をモットーに7年前、施設は誕生したが、入居者が年齢を重ねるごとにさまざまな問題が浮かび上がり、山王丸さんは、その対応に追われる日々を送っている。
2012年3月31日までご視聴いただけます。
編集後記
本編映像を見終わってからご覧ください。
映像‘11「ともに暮らす」の舞台は、大阪の下町「千林商店街」の近くにある小さな高齢者向け共同住宅です。私がこの共同住宅を撮影しようと考えたのは1年前、「映像‘10」で男性が在宅で母親を介護する日々を追った「母との暮らし」(2010年4月放送)を制作したためです。「母との暮らし」は、どうしようもなく、在宅での介護を選択せざるを得なかった男性の日々を撮影し、介護制度から抜け落ちた問題点を浮かび上がらせるのが狙いでした。
しかし、撮影中に介護施設に親や妻を預けている人たちとお会いする機会があったとき「施設に預けていることには、一種の罪悪感を持つ」という話を聞きました。放送後には、番組をご覧頂いた方々から「在宅介護を美化しすぎだ」との意見を頂くことがありました。私としましては、施設と在宅とのいわば「介護の両立」こそが、大切なのではないか、ということをひとつの視点として描いたつもりでしたが、なかなかうまく伝わらなかったのかも知れません。
そこで、特徴を持った高齢者施設を番組に出来ないか、と思い調べたところ「おたっしゃハウス」の存在を知りました。「おたっしゃハウス」は、父親の介護を通して、自らの手で高齢者住宅を作れないか、と思い立ったNPOの代表、山王丸由紀子さん(64)が7年前に立ち上げました。一人暮らしの不安や寂しさを感じた女性たちが「出来ることは自分で、出来ないことは助け合いながら」をモットーに共同生活する姿をみて、高齢者の暮らしのひとつの形として「可能性」を感じて撮影を始めました。入居した頃は、元気だった女性たちも年を重ねるごとに老いから逃れることが出来ません。しかもその「速度」はさまざまで、山王丸さんやハウスのスタッフたちにも想像できなかった事態が次々と起こり、それに対処しようと奮闘する姿をみているとなんだか、みんなが少しずつ家族になっていくような気がして、嬉しくなった撮影現場でした。
次回予告
≫次回放送は5月20日(日) 24時50分~25時50分

老いを支える ~フィリピンから介護の現場へ~
「映像'12」は、1980年4月に「映像80」のタイトルでスタートした関西初のローカル・ドキュメンタリー番組です。月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、放送開始から30年が過ぎました。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。