映像'17 毎月最終日曜日 24時50分~25時50分放送

映像'17

取材ディレクターより

福島県からの自主避難者への住宅無償提供打ち切りは、今から2年前の2015年6月に福島県と国が協議して、決まった。住宅の提供がほぼ唯一の公的支援だった自主避難者にとっては、国や福島県から“最後通告”を受けたようなもので、福島への「帰還」か避難先での「定住」かを、否応なく迫られることになった。
住宅無償提供打ち切りまで、あとひと月あまりとなった今月23日、福島県は、打ち切り対象となる世帯全体の9割超にあたる1万1300世帯で4月以降の住む家が決まった、と発表した。しかし、これは「住むところがなくなったら、どうしよう」と考えた自主避難者たちの「苦渋の選択」の結果であって、決して国や福島県のやり方が是認されたということではないだろう。
国や県など大きな組織機構に対して、声を上げられる人など、ほんのわずかだ。今回の番組の登場人物たちも、止むに止まれぬ思いで、声にならない声を代弁しているのだと思う。「誰も声を上げなければ、認めたのと同じになってしまう」と。
では、われわれメディアはどうだろう。やはり、そうした声を伝えることをしなければ、メディアとしても国や福島県のやり方を認めたことになってしまう。原子力災害からの復興には、長い時間がかかる。なのに、事故の原因究明も充分進んでいない中、全国各地でまたぞろ原発の再稼動が進められている。
今の福島の姿が、未来のどこかの姿であってはならない・・・。そんな思いで取材を進めた。

次回予告

≫次回放送は9月24日(日) 深夜0時50分~

がんとネット~患者を惑わす情報の渦~

がんとネット~患者を惑わす情報の渦~

「映像'17」は、1980年4月に「映像’80」のタイトルでスタートした関西初のローカル・ドキュメンタリー番組です。月1回、それも日曜日深夜の放送という地味な番組ながら、ドキュメンタリーファンからの根強い支持を頂いており、放送開始から30年余が過ぎました。
この間、番組は国内外のコンクールで高い評価を受け、芸術祭賞を始め、日本民間放送連盟賞、日本ジャーナリスト会議賞、更にはテレビ界のアカデミー賞といわれる国際エミー賞の最優秀賞を受賞するなど、輝かしい成果を上げてきました。また、こうした長年にわたる地道な活動と実績に対して、2003年には放送批評懇談会から「ギャラクシー特別賞」を受賞しています。
これからも「地域に密着したドキュメンタリー」という原点にたえず立ちかえりながら、より高い水準の作品をめざして“時代を映す”さまざまなメッセージを発信し続けてまいります。