ドラマの創り方、第5回はカメラマンの井上英之さんにお話を伺った。

カメラを担当して10年以上が経つという井上さん。ドラマ30シリーズは、5年以上担当しており、カメラマンとして携わったドラマは10本以上というベテランだ。

「中継カメラと違ってドラマのカメラは画を自分で作れるのが魅力ですね。ドラマではリハーサルから本番まで何度も同じシーンを撮影する。だから役者さんの動きや色をカメラを通して自分なりに作ることができるんです」

ドラマのカメラの醍醐味をそう語る井上さん。
ただ単にそこにあるモノを映しているだけではなく、カメラマンなりの演出が加えられてドラマの映像は生まれていたのである。しかしながらその実現のためには様々な努力が必要となる。

「当然ですが台本はきっちり読みます。それに他のカメラマンやスイッチャーさん、演出の方や役者さんなどたくさんの人との連携がないと思い通りの画は撮れません。演出家さんの意見を取り入れつつ、なおかつ自分の撮りたい画というのをうまくスタッフに伝えるのはやっぱり難しいですよ。でもその苦労の分、自分が満足いく画をOAでも使ってもらえると本当にうれしいです」

カメラには第2の演出家としてのこんな見えない苦労があったのである。
最後にプロとしてのカメラへの思いについて伺ってみた。

「あらゆる構図やカット割には意味があるんです。あるがまま撮るのではなく、そこに意味あいを持たせてやる。どうしてこの場面はこの角度から撮るのか?ということを常に考えないといけないですよ。やっぱりこだわれる部分にはすべてこだわっていきたいですね」