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森本 栄浩アナウンサーのブログ

森本栄浩の青春甲子園

更新:2016年6月29日
いよいよ、夏の甲子園をめざす戦いが始まりました。
沖縄では、秋の県大会優勝でセンバツ21世紀枠候補にも挙がった八重山が、同じ石垣島の八重山商工に初戦で敗退。
ベテラン・伊志嶺監督勇退が伝えられる商工のこのあとの戦いにも注目です。
近畿大会は、履正社(大阪)が、センバツ王者の智弁学園(奈良)に快勝して頂点に立ち、激戦・大阪の夏に向け、弾みをつけました。
組み合わせ抽選は、現段階で奈良を除いて終了しています。
それでは、近畿の展望を。


<滋賀>
センバツ8強・滋賀学園と北大津が2強昨秋の近畿大会とセンバツでの実績から、滋賀学園が全国レベルの力を持っていることははっきりしているが、秋、春とも県で敗れているのは気になる。
エース・神村(2年)に次ぐ投手が伸び悩み、主砲・馬越(3年)を外して臨んだ春の公式戦は打線が沈黙して公立の草津東に完敗した。
3回戦で対戦が予想される昨夏代表の比叡山が難敵だ。

北大津の竹村は、1年秋から主戦級の活躍。今チームは打線の迫力に欠けるだけに、彼の右腕に大きな期待がかかる
対する北大津は厳しいゾーンに入った。
長浜は昨秋の県4強で侮れない。
八幡商、彦根東、水口などの代表経験校も同じゾーンで息が抜けない。
1年秋から公式戦で完封しているエース・竹村(3年)を軸に、例年以上の試合巧者に仕上がっている。

常連の近江は、秋、春とも滋賀学園に敗れた。
エース・京山(3年)が復調し、心強い。
打線の奮起がカギではあるが、4強までは勝ち残れるだろう。

秋・春ともに県2位の近江兄弟社は、エース・阪部(3年)が牽引する。
春優勝の光泉は、投手力が際立つ。
エース左腕の山田(3年)と右腕・西条(3年)の大型投手リレーで春の再来を狙う。

滋賀学園、北大津とも県外試合に強く、いずれが出場しても甲子園での活躍が期待できる。
投手力のいいチームが多く、例年以上に終盤は熱戦が多くなるだろう。


<京都>
エース・市岡で甲子園通算100勝を狙う平安は、この男がいないと甲子園はない
龍谷大平安、甲子園100勝へセンバツ4強で、安定した戦いぶりの龍谷大平安が頭ひとつリードしている。
センバツ後は、エースで主将の左腕・市岡(3年)に次ぐ投手の育成を図ったが、安定感で市岡に及ぶ選手はいない。
やはり打線の奮起が予選突破には欠かせないだろう。
原田監督は、大器・岡田(2年)に対して、精神面も含めて厳しい指導をしているが、彼の爆発がなければ苦戦は免れない。
4回戦で当たる可能性がある福知山成美がまずは難関で、消耗少なく勝ち上がりたいところだ。

成美は、川上(3年)、北野(3年)らの投手陣が踏ん張れば平安と互角の勝負が期待できる。
春優勝の京都翔英は、昨夏、今春と平安に土をつけた「平安キラー」。
実戦派の投手を多数擁していて、太田・前監督からバトンを受けた浅井監督の起用もポイントになる。

強打の清水(3年)がいる京都国際、春2位の塔南も力があり、上位に進んでくるだろう。
昨夏代表の鳥羽は、初戦が京都国際相手で、厳しい組み合わせになった。

昨夏府4強の京都共栄学園は、春日丘(大阪)で甲子園出場経験のある神前俊彦監督(60)を招聘し、再度の旋風を狙う。


<大阪>
履正社リードも大阪桐蔭巻き返す昨夏、いきなり激突した2強が今年も軸になる。
春は決勝で当たり、両校ともエースを温存。
履正社が6−1で快勝し、近畿も制した。

近年の夏は、打力の差を見せつけられて桐蔭の軍門に下ることが多かった履正社は、4番・安田(2年)が大きく成長し、打線の力はひけをとらない。
エース左腕・寺島(3年)は、全国屈指の好投手で、最後のチャンスに燃える。
初戦が関大一で、次戦は公立の強豪・汎愛。
いい形で大会に入っていきたい。

大阪桐蔭の高山は夏の本番を前に復調。寺島(履正社)とのドラフト1位候補対決は実現するか
桐蔭は150キロ左腕の高山(3年)が、センバツ後腰痛で離脱したが、完全復帰したのは何より。
2年生の控え投手も成長し、スーパー1年の根尾は、投打に非凡な能力を備える「中田翔2世」。
打線の長打力は例年より落ちるが、野手レベルは全国屈指だ。
3回戦で対戦が予想される関大北陽がまずは強敵になる。

昨夏、府準優勝の原動力となった速球派の西田(3年)が健在の古豪・大体大浪商も楽しみ。
秋優勝しながらセンバツを逃した大商大堺や阪南大高も戦力は充実している。
また部員12人(記録員含む)で最後の夏(当面休部)に臨むPL学園は、初戦で5年前の代表校・東大阪大柏原と当たる厳しい組み合わせになった。
大阪はシード制をとらず、強豪といえども序盤から強敵との対戦を強いられたり、その後の抽選に左右されることもあって、波乱含みの展開も考えられる。


<兵庫>
県内無敗の明石商をどこが止めるか抜群の投手力で県内では負け知らずの明石商が一歩リードしている。
戦力的にも全国で通用することはセンバツで証明されていて、今夏は全てのチームが目標にしている。
エース・吉高に加え、速球右腕の山崎、制球のいい三浦(いずれも3年)と、公立とは思えない豪華な陣容で、機動力と犠打を駆使した攻撃と噛み合えば春夏連続も夢ではない。
ノーシードの関西学院が待ち受けるとみられる3回戦が最初のヤマ。

ポテンシャルの高さで唯一、明石商を上回る可能性があるのは神戸国際大付。
左腕・東郷(3年)と右腕・平内(3年)が力を発揮すれば、昨夏の雪辱もある。
東郷は、腰を痛めてから制球に苦しんでいて、昨春のような投球ができるか微妙だ。

秋、春とも明石商に敗れた報徳学園も、エース・主島(3年)が最後のチャンスに燃える。
期待の右腕・中本(3年)も復調していて投手陣は頼もしいが、明石商の投手陣に秋、春とも完封された攻撃力の強化がどこまで進んでいるか。
2回戦で対戦が予想される須磨翔風は好投手を擁していて、まずはこの試合が試金石になる。

シードの有力校では、育英のゾーンに昨夏代表の滝川二が入った。
育英が甲子園経験のある滝川二の友井(2年)を攻略できるか。

センバツで大器の片鱗を見せた長田の園田は、ヒジ痛から復活し、再度の大舞台を狙う
センバツ21世紀枠の長田の初戦は、秋に神戸国際大付を破っている六甲アイランドか。
ひじ痛から復調の園田に期待がかかる。
兵庫は4回戦後の16強による再抽選が優勝争いを左右する。



<奈良>
センバツで悲願の甲子園優勝を果たした智弁学園。春以降も好調を持続し、夏の甲子園へ視界は良好だ
センバツ覇者・智弁学園が独走か甲子園春夏連覇を狙う智弁学園が、村上(3年)に次ぐ松本大地(3年)ら投手陣の活躍で春も危なげなく県の頂点に立った。
近畿大会でも、松本大は完封勝ちを収めていて、村上も好調を維持。
打線は2年生の中軸・福元、太田らが力を伸ばし、甲子園出場へ死角はない。
ライバルの天理はどうか。

昨年の甲子園を経験した左腕の森浦(3年)は安定した投球を疲労しているが、伝統の強力打線はまだまだ
智弁に及ばない。春の県大会は、準決勝で奈良大付を延長13回のタイブレークで振り切って決勝で智弁と対戦。両校とも主戦級を温存
して、明らかに夏の本番を意識した投手起用になったが、4−6で打ち負けた。夏は初采配となる元近鉄の中村監督は、昭和61年、同
校初の甲子園優勝時の主将で、周囲の期待も大きい。2強を追うのは、秋2位で、春も天理と互角に渡り合った奈良大付か。秋は看板の
投手が崩れて近畿大会初戦敗退を喫したが、左腕・谷口(3年)が成長し、田中監督を喜ばせた。悲願の夏の大舞台を狙う。奈良は組み
合わせが決まっておらず、平城、関西中央、高田商、五條、郡山などの有力校が、智弁、天理をどこまで追い詰めるか。


<和歌山>
市和歌山と智弁和歌山が競り合うセンバツ出場の市和歌山が安定した投手力でこの世代をリードしてきたが、春は智弁和歌山が意地を見せ、近畿大会でも存在感を発揮した。
この2校が軸になると見られるが、同じブロックに入ったため、準々決勝でつぶし合う可能性がある。

和歌山屈指の右腕・市和歌山の赤羽。センバツ初戦敗退の悔しさを最後の夏にぶつける
市和歌山はエース右腕の赤羽と左腕の栗栖(ともに3年)が競い合って力をつけてきた。
センバツで南陽工(山口)に終盤崩れて敗れ、春の県では日高中津に逆転サヨナラ負けと、「勝負弱さ」を返上できるか。

智弁は今チームも多彩な投手陣で臨む。昨年の齋藤のような軸になる投手がおらず、エース左腕・橋(3年)のさらなる成長がカギ。
打線は主将の高垣(3年)を軸にハイレベルで、ここに文元、林の1年生の新戦力が加わった。
両校がこの大一番で消耗すると、他の有力校にもチャンスが出てくる。

まずは、前チームから有力視されながら、ここまで結果を残せていない名門・箕島が不気味だ。
力のあるタマを投げる右腕の福居(3年)、左の中村(3年)ら試合経験豊富な選手が多く、伝統の粘りがどこまで出せるか。

箕島のゾーンには、秋2位の高野山、シード校日高中津が入っている。
春3位の有田中央は初戦の和歌山商との対戦が重要。
このゾーンでは、古豪の桐蔭と実力派の和歌山東の1回戦も好試合が期待できる。
春2位の紀央館のゾーンには、新宮、南部、初芝橋本などの甲子園経験校がいて、混戦模様。

和歌山は4強が決まった段階で再抽選が行われる。

更新:2016年5月24日
お久しぶりです。
この時期は、夏に向けてどのチームも力を蓄えています。
冬からの厳しい練習の成果が形となって現れてきますから、劇的に強くなるチームも少なくありません。
春の府県大会も終わり、課題が見つかったチーム、手応えをつかんだチームも多いことでしょう。


さて、この時期に行われる地区大会は、甲子園とは関係がなく、出場校にとっては意義をどこに見出せばいいか難しいところではありますが、公式戦でもあり、夏に向けては無意味だとは思いません。

近畿大会は8校の出場で、開催地が3校。あとは予選優勝校が出場します。
今春近畿大会は、今週末の28日から和歌山市の紀三井寺球場で開催されます。

A紀央館(和歌山2位)−智弁学園(奈良)
B光泉(滋賀)−明石商(兵庫)
C智弁和歌山(和歌山1位)−京都翔英
D有田中央(和歌山3位)−履正社(大阪)
準決勝A−B、C−D

今センバツでは、近畿勢の活躍が目立ったため、それらのチームの動向が注目されましたが、それぞれの思惑もあったようで、予選では波乱も多かったようです。
では、各府県の情勢から振り返ってみましょう。


滋賀は、滋賀学園がセンバツ初出場で8強入り。
甲子園でも本塁打を放った主砲の馬越くんを外して臨みました。
3回戦で近江を2−1で破りましたが、準々決勝で伏兵の草津東に完敗。
秋優勝の北大津は、準決勝で光泉に完封負けを喫しました。
優勝の光泉は、秋も北大津と初戦で当たって惜敗していて、戦力は同等かと思います。
春に関しては、投手力が際立っていました。


京都は、センバツ4強の龍谷大平安が、準決勝で京都翔英に敗れる波乱。
エース・市岡くんを温存(試合最後に登板)しましたが、控え投手が粘りきれず、押し切られました。
昨夏も翔英に敗れて夏の甲子園を逃がしているだけに、苦手意識がなければいいのですが。
実際に夏を考えると、平安を追う有力校はかなり打力があり、原田監督としても、市岡くんに次ぐ投手の出現を心待ちにしているでしょう。


履正社の寺島くんは、高校球界屈指の左腕。183センチの恵まれた体から繰り出される速球は一級品で、甲子園最後のチャンスとなる夏の大会のためにも、弾みをつけたいところです。
大阪は、近年の2強から、大阪桐蔭独走に変わりつつある中、履正社が意地を見せて、決勝で桐蔭に快勝しました。
ただし、両校ともエースは登板しておらず、明らかに夏の本番を意識した起用。
今秋のドラフト1位候補、履正社の寺島くんは、準決勝の汎愛戦で完封するなど状態も良さそうで、他府県との対戦となる近畿大会では力を発揮しそうです。


兵庫はセンバツ8強の明石商が、秋に続き兵庫を制覇。
夏も本命視されるでしょう。
センバツで大活躍した吉高くんに加え、速球派右腕の山崎くんが台頭。
準々決勝と決勝を山崎くんが完封し、準決勝は吉高くんが完封と、投手力は万全です。
ライバルの報徳学園は、秋に続いて完封負けを喫し、打線強化が急務です。
明石商に土をつけるチームが出現するか、注目です。


奈良はセンバツ覇者の智弁学園が、エース・村上くんを温存しながらも打線が奮起して、夏に向け順調そのもの。
近畿大会で村上くんが登板するかはわかりませんが、天理との決勝で福元くんが本塁打を放つなど、下級生の中軸打者がさらに力をつけています。
ライバルの天理は、奈良大付との延長13回タイブレークを制して決勝に進みましたが、智弁との力の差はなかなか埋まっていないようです。
地元・和歌山は、智弁和歌山が貫禄を見せて優勝。
複数投手を駆使し、試合巧者ぶりは近年の傾向で、1年生の新戦力にも期待がかかります。
2位の紀央館はかつて御坊商工として、昭和56年センバツで8強の実績。
3位の有田中央も吉備時代にセンバツを経験しています。
センバツ出場の市和歌山は、準々決勝で日高中津に逆転サヨナラ負けしましたが、実力は最上位かと思います。


大会はやはりセンバツ上位の智弁学園、明石商の戦いに注目。
お互い初戦を突破すれば直接対決もあり、目が離せません。
履正社の寺島くんは、今大会注目度ナンバーワン。
夏に弾みをつけるためにも、他府県強豪をどこまで封じ込めるか、見ものですね。

更新:2016年4月4日
今大会は優勝候補と目されたチームの多くが準々決勝を前に敗退し、大混戦となりました。

その理由として、まず、近畿と双璧と見ていた関東勢の不振が挙げられます。
1回戦で、昨年の甲子園で活躍したエースが健在の常総学院(茨城)、東海大甲府(山梨)、花咲徳栄(埼玉)が敗退。
経験値が高く、その分だけでも有利なはずなのに、揃ってエースがつかまって敗れました。

逆に、大会前に不調が伝えられていた木更津総合(千葉)の早川くんが素晴らしい投球で大阪桐蔭を破ったのは見事でした。
彼は実力があるということでしょう。


第1回センバツ覇者の高松商は、56年ぶりの優勝こそ逃しましたが、名門復活を確かなものにしました。
さて、今大会の主役が優勝の智弁学園(奈良)だったとしても、大会を最高に盛り上げたのは高松商(香川)であったことは間違いありません。
昨年秋の神宮大会覇者でありながら、前評判はそれほどでもありませんでした。

その理由としては、エースの浦くんが、神宮大会中に病気で万全の投球をしておらず、彼の真の力を低く見ていたことが挙げられます。
しぶとくつなぐ打線の底力は評価できても、神宮での大阪桐蔭戦や決勝の敦賀気比(福井)戦は試合の流れが向いただけで、内容的には相手が上だったと見られたのだと思います。

実際に、神宮大会終盤戦で好投したのは、甲子園で投げなかった控えの多田くんでした。
改めて、甲子園での伝統の力を思い知らされましたが、高松商のここまでの快進撃は予想できませんでした。


智弁学園は、準々に残った近畿4校でも、そこまでの試合ぶりだけだと一番目立たないチームだと思っていました。
というのは、他の3校がチームの特長をよく出して勝っていたからです。

準々の相手、滋賀学園は打線好調で、かなり危ないとみていました。
エース村上くんが立ち上がりにやられたら、打線が挽回できないと思ったからです。
ただ、この試合では、甲子園経験の差がはっきり出ました。
2回に4点差をつけられた時点で、滋賀学園は戦意がガクッと落ち、智弁が楽勝しました。
ここで消耗少なく勝ち進めたことが智弁に勢いをつけたと思います。

秋の近畿では、守備の乱れから大阪桐蔭に完敗し、冬は「守りの練習ばかりしていた」という小坂監督の言葉通りだったのが準決勝の龍谷大平安(京都)戦です。
ホームで2度刺すなど守り合いで平安に引けをとりませんでした。

あとは、秋にケガで出られなかった主将の岡澤捕手が復帰でき、村上くんが安心して投げられたのも大きいです。
彼が入って打線もつながったですね。
村上くんは2回戦の鹿児島実戦の中盤くらいから本来の投球でした。
もともと、大会でもトップクラスだと思っていましたから、試合を重ねて良くなるのは好投手の条件。
スタミナも万全でしたが、何と言っても気迫が投球に出ていました。

守りでは、決勝初回の無死1、3塁で併殺を決めるなど、格段に進歩していました。
あそこで1点でも入っていたら全く違った展開だったでしょう。
後からできた兄弟校の智弁和歌山に先を越され、奈良県でのライバル天理の後塵を拝し続けてきただけに、卒業生も嬉しいでしょうね。

平安は、原田監督がおっしゃるように、「持ち駒不足」で、控えの選手が活躍する場がなく、最後は力尽きた感が強いです。
市岡投手は大崩れした秋からは成長していて、チームとして辛抱強い戦い方ができていました。
甲子園100勝という目標が残りましたから、このチームで達成してもらいたいものです。

目を見張る活躍だったのが初出場でベスト8の明石商(兵庫)です。
日南学園(宮崎)に、サヨナラスクイズで勝ち、本来の形を初陣で出せたのが、次の東邦(愛知)戦にもつながりました。
東邦の藤嶋くんには、バントと見せかけて脚でプレッシャーをかけ、正攻法で3本の長打を浴びせて快勝しました。

そして、エース吉高くんも大きく成長していましたね。
武器であるスプリットもカウント球と勝負球を使い分けていましたし、スライダーやカーブの制球も抜群でした。
平安にサヨナラ負けを喫した場面は、ちょうど雨が強かったので、吉高くんには気の毒でした。
余談ですが、狭間監督の母校、明石南は、わたしが高3時の兵庫代表で、初戦の安積商(福島)に、延長でサヨナラ勝ちしました。
この時の勝負手が奇しくも満塁からのサヨナラスクイズでしたが、当時中3だった狭間監督がこのシーンを覚えていたかどうか、聞きそびれてしまいました。


滋賀学園はヘリコプター打法の馬越くんらが活躍して打線爆発でいい面も出ましたが、バッテリー始めチームが若く、2つ勝って満足したのかなと思わせるような準々決勝の内容でした。
県内の近江や北大津に、水を開けるチャンスの大会でしたが、ライバルは、「夏はまだまだ」と巻き返してくるに違いありません。


大阪桐蔭は木更津総合の早川くんに打線が沈黙し、完敗しました。
秋の神宮では完勝していて、初回の吉澤くんの一発で、「いけるぞ」とスキが生まれたかもしれません。
逆に早川くんは「やはり手強い」と気合が入ったんでしょう。
本人も言っていましたが、冬の間、「打倒桐蔭」で頑張った結果だと思います。
去年も浦和学院(埼玉)が東海大四(北海道)に負けた時、「神宮で楽勝したから油断があった」と言っていましたが、本番である甲子園の前にやる神宮大会は実に罪作りな大会だと思います。

今大会を見ていると、智弁の村上くんは球威、制球とも申し分ありませんでしたが、さほど球威がなくても抑えている投手は、必ずストライクゾーンを広く使えていました。
とりわけ打者のインコースを厳しく攻められる高松商の浦くんのような投手が好結果を残しました。
さらに明石商の吉高くんは、高低と緩急も使って打者に的を絞らせず、実に素晴らしい能力だと感心しました。

智弁の村上くんは、決勝も延長を1失点の力投。見事、優勝投手に輝きました。
21世紀枠の長田(兵庫)は懸念された守備の乱れが出たのは残念でしたが、エース園田くんが全国で通用することがはっきりしました。
初戦で当たった21世紀枠同士の釜石(岩手)と小豆島(香川)は、両校力を出し切ったナイスゲームで、爽やかな風を運んでくれました。
3校とも、最後まで勝負を諦めない姿は、いつまでもファンの心に残るでしょう。
市和歌山はいい展開でしたが、最後に近畿大会と同じような崩れ方をしたので、チームとしての課題はわかりやすいはずです。

打線に厚みがあり、多彩な投手陣で優勝のチャンスだった秀岳館(熊本)は、高松商の一丸野球に屈しました。
夏は投手に軸ができると、再び躍進も期待できます。
連覇を狙った敦賀気比は大会前から調子が上がらず、青森山田には何とか勝ちましたが、意外な早期敗退。こんなに力を出せなかった気比も珍しく、やはり連覇の重圧がのしかかっていたのかもしれません。
秋からどの高校も大きく変貌し、成果を挙げたチーム、課題が見つかったチームも、最後の夏を目指して、悔いのない日々を送ってほしいと思います。

更新:2016年3月14日
長田の園田くんは、兵庫ナンバーワンの実力を大舞台でも発揮。自責0でしたが、惜しくも初戦で姿を消しました。
進行を務めた、左から、伊地知・毎日新聞阪神支局長、わたし、毎日新聞運動部・野村記者
いよいよ、センバツの開幕が近づいてきました。
10日の木曜日には恒例の「キャプテントーク」が行われ、翌日は朝から抽選会。
両日ともに司会をやらせていただきました。
毎年のことながら、身の引き締まる思いです。


さて、キャプテントークでは、東日本大震災発生から5年を迎え、今回はこれまでと違って震災に関連した報告が行われ、改めて野球のできる喜びを実感しました。

まず、毎日新聞の伊地知・阪神支局長が、現地での取材、報道経験を通して、「土壇場で力を発揮できるかどうかは、普段しっかりと鍛えているかにかかっています」と選手たちを励ましました。
津波被害が大きかった岩手の釜石では、中学、高校生たちが小学生の避難を手助けしましたが、「常に不測の事態に備えていたからです」と強調していました。

釜石の菊池主将は、震災当時を振り返って、「もうあんな思いは二度としたくないです」と訴えかけました
今大会に21世紀枠で出場する釜石の菊池主将は、当時を振り返って、「津波に襲われた日、自分たちが住んでいた町が海になり、その日の夜を一人で過ごしました。親が死んでいるかもしれないと思い、絶望感と不安にかられました。あんなにも家族に会いたいと思ったことはありませんでした」と生々しく話し、他校主将たちは真剣な表情で聞き入っていました。
菊池くんは、「全国から多くの支援をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。甲子園でいいプレーをして、被災地の人たちに勇気を与えたいです」と大舞台での活躍を誓っていました。

また、21年前の阪神・淡路大震災で大きな被害が出た神戸にある長田の三宅主将は、「生まれてからずっと震災教育を受けて過ごしてきました。どれだけすごい被害だったかは、身をもって知ることはできませんが、何度も聞いています。僕たちが次の世代に教訓として伝えないと。僕たちが選ばれたのも、震災教育を続けてきた周りの方々のおかげだと思っています」と自分の言葉で前を向いて語りかけました。

さらに震災発生直後のセンバツで、野山主将がすばらしい宣誓をした創志学園の野川主将は、「その宣誓の中にあった『生かされている命に感謝し』という言葉がありました。今、野球をやれているのが当たり前と思ってしまえば、そこまでの考え方しかできない人間になってしまうと思います。高校野球で元気と勇気を与えたい」と先輩に負けないはきはきとした口調で発言しました。

いつもと違った雰囲気で始まったトークですが、主将として苦労した点については、南陽工(山口)の山崎主将、明徳義塾(高知)の山本主将が揃って、「個性の強い同級生に、きついことを言うのは辛かった」と話し、今回もわたしのパートナーを務めてくれた毎日新聞の野村和史記者は、「時に憎まれ役、怒られ役をしないといけないので、キャプテンはしんどいですね」と同情していました。


毎年盛り上がるユニークな練習では、開星(島根)の門脇主将が、「ロングティーでどこまで飛ばすかを競争するんですが、監督がすごくてなかなか勝てませんでした。冬を越して、4〜5人勝てるようになってきましたが、僕はまだ勝てません」と言って笑いを誘っていました。

寮生活をしているチームが多い中で、関東一(東京)の村瀬主将は、「誕生月に食堂の店長さんがケーキを作ってくれるのが、とても楽しみです」と披露。
また「ご飯を多く食べなさい」と指導されているチームが多い中、秀岳館(熊本)の九鬼主将は、「一日、白飯だけで2000グラム食べるようにと指導されています。ですから一日、5〜6食です」と話していましたが、道理で九鬼くんは、181センチ、82キロの堂々たる体格なのもうなづけますね。

質問に答える敦賀気比の林中主将(マイクを持って立っている)と質問した花咲徳栄の岡崎主将(右で立っている)
また他校への質問では、花咲徳栄(埼玉)の岡崎主将が、敦賀気比(福井)の林中主将に、「冬場の一番辛い練習は難ですか?」と質問しました。
林中くんは、「一番キツいのは、打ち込みです。5か所でマシンを使って休みなく打ちます。バットも長いものや木のバットを使ってスイングスピードを上げる工夫もします」と紹介しました。

また、進学校で知られる長田の三宅主将が、文武両道の土佐(高知)の吉川主将に勉強との両立について尋ねました。
吉川くんは、「練習が終わった後、寮で1時間は勉強時間があります。補習もあります」と勉強との両立の大変さを話しました。
ちなみに三宅くんは、「帰ってからはあまり勉強する時間がないので、通学時のバスの中で単語帳を見たりしています」と話していました。

各校主将に優勝候補を尋ねたところ、大阪桐蔭が10票を集め、断然トップ。
吉澤主将は、「先輩方は優勝していますが、僕たちは、そこまでの実績は残していません。ただ、それだけ注目されているということですので、それは期待の表れでもあると思って優勝をめざしたいです」と言葉を選びつつ、自信をのぞかせていました。

野球を通して学んだこと、後輩に伝えたいことでは、昨夏も4番を打っていた鹿児島実の綿屋主将が、「仲間の大切さや周囲への感謝を学びました。甲子園では最高の一体感で戦いたいです」と落ち着いて話していました。


後半は駆け足で、32校の主将にしゃべってもらい、例年に比べるとあわただしいキャプテントークになりましたが、有意義な時間だったと確信しています。
翌日の抽選会では、釜石と小豆島(香川)の21世紀枠同士が当たるなど好カードが続出。
初日から実力伯仲のいい試合が見られそうです。

更新:2016年3月2日
3月になりました。
センバツ開幕も間近です。
1日は多くの高校で卒業式があり、3年生たちはそれぞれの新しい道へと巣立っていきました。
この日、わたしは縁あって彦根東(滋賀)3年生の「卒団(部)式」に招待を受けました。保護者の方も多くおいでになっていて、生徒たちの旅立ちを祝福しました。


わたしは、ヤフーの個人ページで、昨年の12月11日に、「21世紀枠の理想型は彦根東」と書かせていただいたものですから、誠に手前味噌ですが、そのことを挨拶で述べさせていただきました。
同校は7年前に21世紀枠でセンバツ出場。
3年前の夏には滋賀大会を勝ち抜いて代表になっています。

この日、卒業した3年生が1年生のときでした。
ご存知のように、21世紀枠は、部員不足や過疎などの困難を克服して頑張っているチーム。
地域の名門として文武両道を実践しているチームで、あと一歩で甲子園に届いてない学校に甲子園のチャンスを与えようという趣旨で導入されました。
導入初年度には、宜野座(沖縄)が4強に進出し、その夏や後年のセンバツにも出場するなど、いきなり21世紀枠の価値を高めました。
近年はあまり言われなくなりましたが、個人的には、この「出たあと」が大事と思っています。

宜野座は、21世紀枠で与えられたチャンスを生かし、その後、さらに力をつけて、「実力」で甲子園を掴むまでに成長しました。
このほかに、21世紀枠での出場後、甲子園に登場した学校は鵡川(北海道)、華陵(山口)、利府(宮城)、山形中央と今センバツに出場する土佐(高知)、それに彦根東と合計7校。
これが多いか少ないかはわかりませんが、その後も常に甲子園を狙える、あるいは21世紀出場時よりも力をつけたと思われる学校はこの彦根東など、ほんのわずかだと言わなければなりません。


彦根東は、進学名門ながら、常に滋賀では上位に顔を出し、県の決勝や近畿大会でも善戦していました。
それも加味されての21世紀枠でしたが、その後の活躍は目覚しいものがあります。
どの世代も県の上位に進出し、近江、北大津の2強に肉薄する力を維持していますが、安定した成績は21世紀出場時を上回っているほどです。

この日、卒業した3年生が1年のときは夏の甲子園出場。
次のチームも県3季の大会で全て8強以上。そして今の3年生が主力だった前チームは秋に4強。
春は県3位で近畿大会に出場し、大阪桐蔭を3−2で破って、全国の高校野球ファンを驚かせました。
わたしがこのチームの公式戦を観たのは、秋の滋賀大会準決勝の近江戦だけでしたが、佐々木投手の粘り強い投球をバックが堅守で支える好チームでした。
わたしが特に印象深かったのは、遊撃の百田くんの守備で、佐々木投手がサイドハンドから投げるため、三遊間に打球が飛ぶことが多く、彼の守りがチームを引き締めていたように思いました。
このことは、おいでになっていた百田くんのお父さんにもお伝えしましたし、ハイライト動画で上映された大阪桐蔭戦でも、やはり彼の美技がしばしばピンチを救っていて、そのシーンのたびに拍手が起こっていました。

桐蔭戦では、主将の篠原くんが、現桐蔭エースの高山投手から。
1番打者の森杉くんがエース・田中投手の代わり端にそれぞれホームランを放ちました。
親御さんにとっても、生涯の思い出になると思います。


この日は、高校野球番組のテーマソングでおなじみの西浦達雄さんもゲストで、はなむけの歌を披露してくださり、生徒、保護者一同、感激に浸っていました。
大半の生徒が、国公立大学前期試験の結果待ちでしたが、今後、どの道に進んでも、高校時代の頑張りを思い出して、難局を切り拓いていって欲しいものです。
わたしが選手たちに伝えたのは、「先輩として、常に後輩たちのことを思い、手を差し伸べて欲しいです。それが次の甲子園につながると思います」ということでした。
ひとりのお父さんがおっしゃいました。
「もう一回、このメンバーで夢を追いかけたいなぁ」。
このメンバーはこの日が最後ですが、それぞれが次の夢に向かってはばたく日でもあったはずです。
そして、このメンバーが築き上げた友情は永遠です。



プロフィール

森本 栄浩Photo
名前:森本 栄浩
生年月日:1961年10月4日
入社年:1985年
出身都道府県:滋賀県
出身大学:関西学院大学
趣味:商店街めぐり
何でもひとこと:高校野球の事なら何でも答えられます。甲子園常連校の校歌が歌えます。

担当番組


森本 栄浩アナが亀井 希生アナを30秒で紹介します!