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森本 栄浩アナウンサーのブログ

森本栄浩の青春甲子園

更新:2016年5月24日
お久しぶりです。
この時期は、夏に向けてどのチームも力を蓄えています。
冬からの厳しい練習の成果が形となって現れてきますから、劇的に強くなるチームも少なくありません。
春の府県大会も終わり、課題が見つかったチーム、手応えをつかんだチームも多いことでしょう。


さて、この時期に行われる地区大会は、甲子園とは関係がなく、出場校にとっては意義をどこに見出せばいいか難しいところではありますが、公式戦でもあり、夏に向けては無意味だとは思いません。

近畿大会は8校の出場で、開催地が3校。あとは予選優勝校が出場します。
今春近畿大会は、今週末の28日から和歌山市の紀三井寺球場で開催されます。

A紀央館(和歌山2位)−智弁学園(奈良)
B光泉(滋賀)−明石商(兵庫)
C智弁和歌山(和歌山1位)−京都翔英
D有田中央(和歌山3位)−履正社(大阪)
準決勝A−B、C−D

今センバツでは、近畿勢の活躍が目立ったため、それらのチームの動向が注目されましたが、それぞれの思惑もあったようで、予選では波乱も多かったようです。
では、各府県の情勢から振り返ってみましょう。


滋賀は、滋賀学園がセンバツ初出場で8強入り。
甲子園でも本塁打を放った主砲の馬越くんを外して臨みました。
3回戦で近江を2−1で破りましたが、準々決勝で伏兵の草津東に完敗。
秋優勝の北大津は、準決勝で光泉に完封負けを喫しました。
優勝の光泉は、秋も北大津と初戦で当たって惜敗していて、戦力は同等かと思います。
春に関しては、投手力が際立っていました。


京都は、センバツ4強の龍谷大平安が、準決勝で京都翔英に敗れる波乱。
エース・市岡くんを温存(試合最後に登板)しましたが、控え投手が粘りきれず、押し切られました。
昨夏も翔英に敗れて夏の甲子園を逃がしているだけに、苦手意識がなければいいのですが。
実際に夏を考えると、平安を追う有力校はかなり打力があり、原田監督としても、市岡くんに次ぐ投手の出現を心待ちにしているでしょう。


履正社の寺島くんは、高校球界屈指の左腕。183センチの恵まれた体から繰り出される速球は一級品で、甲子園最後のチャンスとなる夏の大会のためにも、弾みをつけたいところです。
大阪は、近年の2強から、大阪桐蔭独走に変わりつつある中、履正社が意地を見せて、決勝で桐蔭に快勝しました。
ただし、両校ともエースは登板しておらず、明らかに夏の本番を意識した起用。
今秋のドラフト1位候補、履正社の寺島くんは、準決勝の汎愛戦で完封するなど状態も良さそうで、他府県との対戦となる近畿大会では力を発揮しそうです。


兵庫はセンバツ8強の明石商が、秋に続き兵庫を制覇。
夏も本命視されるでしょう。
センバツで大活躍した吉高くんに加え、速球派右腕の山崎くんが台頭。
準々決勝と決勝を山崎くんが完封し、準決勝は吉高くんが完封と、投手力は万全です。
ライバルの報徳学園は、秋に続いて完封負けを喫し、打線強化が急務です。
明石商に土をつけるチームが出現するか、注目です。


奈良はセンバツ覇者の智弁学園が、エース・村上くんを温存しながらも打線が奮起して、夏に向け順調そのもの。
近畿大会で村上くんが登板するかはわかりませんが、天理との決勝で福元くんが本塁打を放つなど、下級生の中軸打者がさらに力をつけています。
ライバルの天理は、奈良大付との延長13回タイブレークを制して決勝に進みましたが、智弁との力の差はなかなか埋まっていないようです。
地元・和歌山は、智弁和歌山が貫禄を見せて優勝。
複数投手を駆使し、試合巧者ぶりは近年の傾向で、1年生の新戦力にも期待がかかります。
2位の紀央館はかつて御坊商工として、昭和56年センバツで8強の実績。
3位の有田中央も吉備時代にセンバツを経験しています。
センバツ出場の市和歌山は、準々決勝で日高中津に逆転サヨナラ負けしましたが、実力は最上位かと思います。


大会はやはりセンバツ上位の智弁学園、明石商の戦いに注目。
お互い初戦を突破すれば直接対決もあり、目が離せません。
履正社の寺島くんは、今大会注目度ナンバーワン。
夏に弾みをつけるためにも、他府県強豪をどこまで封じ込めるか、見ものですね。

更新:2016年4月4日
今大会は優勝候補と目されたチームの多くが準々決勝を前に敗退し、大混戦となりました。

その理由として、まず、近畿と双璧と見ていた関東勢の不振が挙げられます。
1回戦で、昨年の甲子園で活躍したエースが健在の常総学院(茨城)、東海大甲府(山梨)、花咲徳栄(埼玉)が敗退。
経験値が高く、その分だけでも有利なはずなのに、揃ってエースがつかまって敗れました。

逆に、大会前に不調が伝えられていた木更津総合(千葉)の早川くんが素晴らしい投球で大阪桐蔭を破ったのは見事でした。
彼は実力があるということでしょう。


第1回センバツ覇者の高松商は、56年ぶりの優勝こそ逃しましたが、名門復活を確かなものにしました。
さて、今大会の主役が優勝の智弁学園(奈良)だったとしても、大会を最高に盛り上げたのは高松商(香川)であったことは間違いありません。
昨年秋の神宮大会覇者でありながら、前評判はそれほどでもありませんでした。

その理由としては、エースの浦くんが、神宮大会中に病気で万全の投球をしておらず、彼の真の力を低く見ていたことが挙げられます。
しぶとくつなぐ打線の底力は評価できても、神宮での大阪桐蔭戦や決勝の敦賀気比(福井)戦は試合の流れが向いただけで、内容的には相手が上だったと見られたのだと思います。

実際に、神宮大会終盤戦で好投したのは、甲子園で投げなかった控えの多田くんでした。
改めて、甲子園での伝統の力を思い知らされましたが、高松商のここまでの快進撃は予想できませんでした。


智弁学園は、準々に残った近畿4校でも、そこまでの試合ぶりだけだと一番目立たないチームだと思っていました。
というのは、他の3校がチームの特長をよく出して勝っていたからです。

準々の相手、滋賀学園は打線好調で、かなり危ないとみていました。
エース村上くんが立ち上がりにやられたら、打線が挽回できないと思ったからです。
ただ、この試合では、甲子園経験の差がはっきり出ました。
2回に4点差をつけられた時点で、滋賀学園は戦意がガクッと落ち、智弁が楽勝しました。
ここで消耗少なく勝ち進めたことが智弁に勢いをつけたと思います。

秋の近畿では、守備の乱れから大阪桐蔭に完敗し、冬は「守りの練習ばかりしていた」という小坂監督の言葉通りだったのが準決勝の龍谷大平安(京都)戦です。
ホームで2度刺すなど守り合いで平安に引けをとりませんでした。

あとは、秋にケガで出られなかった主将の岡澤捕手が復帰でき、村上くんが安心して投げられたのも大きいです。
彼が入って打線もつながったですね。
村上くんは2回戦の鹿児島実戦の中盤くらいから本来の投球でした。
もともと、大会でもトップクラスだと思っていましたから、試合を重ねて良くなるのは好投手の条件。
スタミナも万全でしたが、何と言っても気迫が投球に出ていました。

守りでは、決勝初回の無死1、3塁で併殺を決めるなど、格段に進歩していました。
あそこで1点でも入っていたら全く違った展開だったでしょう。
後からできた兄弟校の智弁和歌山に先を越され、奈良県でのライバル天理の後塵を拝し続けてきただけに、卒業生も嬉しいでしょうね。

平安は、原田監督がおっしゃるように、「持ち駒不足」で、控えの選手が活躍する場がなく、最後は力尽きた感が強いです。
市岡投手は大崩れした秋からは成長していて、チームとして辛抱強い戦い方ができていました。
甲子園100勝という目標が残りましたから、このチームで達成してもらいたいものです。

目を見張る活躍だったのが初出場でベスト8の明石商(兵庫)です。
日南学園(宮崎)に、サヨナラスクイズで勝ち、本来の形を初陣で出せたのが、次の東邦(愛知)戦にもつながりました。
東邦の藤嶋くんには、バントと見せかけて脚でプレッシャーをかけ、正攻法で3本の長打を浴びせて快勝しました。

そして、エース吉高くんも大きく成長していましたね。
武器であるスプリットもカウント球と勝負球を使い分けていましたし、スライダーやカーブの制球も抜群でした。
平安にサヨナラ負けを喫した場面は、ちょうど雨が強かったので、吉高くんには気の毒でした。
余談ですが、狭間監督の母校、明石南は、わたしが高3時の兵庫代表で、初戦の安積商(福島)に、延長でサヨナラ勝ちしました。
この時の勝負手が奇しくも満塁からのサヨナラスクイズでしたが、当時中3だった狭間監督がこのシーンを覚えていたかどうか、聞きそびれてしまいました。


滋賀学園はヘリコプター打法の馬越くんらが活躍して打線爆発でいい面も出ましたが、バッテリー始めチームが若く、2つ勝って満足したのかなと思わせるような準々決勝の内容でした。
県内の近江や北大津に、水を開けるチャンスの大会でしたが、ライバルは、「夏はまだまだ」と巻き返してくるに違いありません。


大阪桐蔭は木更津総合の早川くんに打線が沈黙し、完敗しました。
秋の神宮では完勝していて、初回の吉澤くんの一発で、「いけるぞ」とスキが生まれたかもしれません。
逆に早川くんは「やはり手強い」と気合が入ったんでしょう。
本人も言っていましたが、冬の間、「打倒桐蔭」で頑張った結果だと思います。
去年も浦和学院(埼玉)が東海大四(北海道)に負けた時、「神宮で楽勝したから油断があった」と言っていましたが、本番である甲子園の前にやる神宮大会は実に罪作りな大会だと思います。

今大会を見ていると、智弁の村上くんは球威、制球とも申し分ありませんでしたが、さほど球威がなくても抑えている投手は、必ずストライクゾーンを広く使えていました。
とりわけ打者のインコースを厳しく攻められる高松商の浦くんのような投手が好結果を残しました。
さらに明石商の吉高くんは、高低と緩急も使って打者に的を絞らせず、実に素晴らしい能力だと感心しました。

智弁の村上くんは、決勝も延長を1失点の力投。見事、優勝投手に輝きました。
21世紀枠の長田(兵庫)は懸念された守備の乱れが出たのは残念でしたが、エース園田くんが全国で通用することがはっきりしました。
初戦で当たった21世紀枠同士の釜石(岩手)と小豆島(香川)は、両校力を出し切ったナイスゲームで、爽やかな風を運んでくれました。
3校とも、最後まで勝負を諦めない姿は、いつまでもファンの心に残るでしょう。
市和歌山はいい展開でしたが、最後に近畿大会と同じような崩れ方をしたので、チームとしての課題はわかりやすいはずです。

打線に厚みがあり、多彩な投手陣で優勝のチャンスだった秀岳館(熊本)は、高松商の一丸野球に屈しました。
夏は投手に軸ができると、再び躍進も期待できます。
連覇を狙った敦賀気比は大会前から調子が上がらず、青森山田には何とか勝ちましたが、意外な早期敗退。こんなに力を出せなかった気比も珍しく、やはり連覇の重圧がのしかかっていたのかもしれません。
秋からどの高校も大きく変貌し、成果を挙げたチーム、課題が見つかったチームも、最後の夏を目指して、悔いのない日々を送ってほしいと思います。

更新:2016年3月14日
長田の園田くんは、兵庫ナンバーワンの実力を大舞台でも発揮。自責0でしたが、惜しくも初戦で姿を消しました。
進行を務めた、左から、伊地知・毎日新聞阪神支局長、わたし、毎日新聞運動部・野村記者
いよいよ、センバツの開幕が近づいてきました。
10日の木曜日には恒例の「キャプテントーク」が行われ、翌日は朝から抽選会。
両日ともに司会をやらせていただきました。
毎年のことながら、身の引き締まる思いです。


さて、キャプテントークでは、東日本大震災発生から5年を迎え、今回はこれまでと違って震災に関連した報告が行われ、改めて野球のできる喜びを実感しました。

まず、毎日新聞の伊地知・阪神支局長が、現地での取材、報道経験を通して、「土壇場で力を発揮できるかどうかは、普段しっかりと鍛えているかにかかっています」と選手たちを励ましました。
津波被害が大きかった岩手の釜石では、中学、高校生たちが小学生の避難を手助けしましたが、「常に不測の事態に備えていたからです」と強調していました。

釜石の菊池主将は、震災当時を振り返って、「もうあんな思いは二度としたくないです」と訴えかけました
今大会に21世紀枠で出場する釜石の菊池主将は、当時を振り返って、「津波に襲われた日、自分たちが住んでいた町が海になり、その日の夜を一人で過ごしました。親が死んでいるかもしれないと思い、絶望感と不安にかられました。あんなにも家族に会いたいと思ったことはありませんでした」と生々しく話し、他校主将たちは真剣な表情で聞き入っていました。
菊池くんは、「全国から多くの支援をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。甲子園でいいプレーをして、被災地の人たちに勇気を与えたいです」と大舞台での活躍を誓っていました。

また、21年前の阪神・淡路大震災で大きな被害が出た神戸にある長田の三宅主将は、「生まれてからずっと震災教育を受けて過ごしてきました。どれだけすごい被害だったかは、身をもって知ることはできませんが、何度も聞いています。僕たちが次の世代に教訓として伝えないと。僕たちが選ばれたのも、震災教育を続けてきた周りの方々のおかげだと思っています」と自分の言葉で前を向いて語りかけました。

さらに震災発生直後のセンバツで、野山主将がすばらしい宣誓をした創志学園の野川主将は、「その宣誓の中にあった『生かされている命に感謝し』という言葉がありました。今、野球をやれているのが当たり前と思ってしまえば、そこまでの考え方しかできない人間になってしまうと思います。高校野球で元気と勇気を与えたい」と先輩に負けないはきはきとした口調で発言しました。

いつもと違った雰囲気で始まったトークですが、主将として苦労した点については、南陽工(山口)の山崎主将、明徳義塾(高知)の山本主将が揃って、「個性の強い同級生に、きついことを言うのは辛かった」と話し、今回もわたしのパートナーを務めてくれた毎日新聞の野村和史記者は、「時に憎まれ役、怒られ役をしないといけないので、キャプテンはしんどいですね」と同情していました。


毎年盛り上がるユニークな練習では、開星(島根)の門脇主将が、「ロングティーでどこまで飛ばすかを競争するんですが、監督がすごくてなかなか勝てませんでした。冬を越して、4〜5人勝てるようになってきましたが、僕はまだ勝てません」と言って笑いを誘っていました。

寮生活をしているチームが多い中で、関東一(東京)の村瀬主将は、「誕生月に食堂の店長さんがケーキを作ってくれるのが、とても楽しみです」と披露。
また「ご飯を多く食べなさい」と指導されているチームが多い中、秀岳館(熊本)の九鬼主将は、「一日、白飯だけで2000グラム食べるようにと指導されています。ですから一日、5〜6食です」と話していましたが、道理で九鬼くんは、181センチ、82キロの堂々たる体格なのもうなづけますね。

質問に答える敦賀気比の林中主将(マイクを持って立っている)と質問した花咲徳栄の岡崎主将(右で立っている)
また他校への質問では、花咲徳栄(埼玉)の岡崎主将が、敦賀気比(福井)の林中主将に、「冬場の一番辛い練習は難ですか?」と質問しました。
林中くんは、「一番キツいのは、打ち込みです。5か所でマシンを使って休みなく打ちます。バットも長いものや木のバットを使ってスイングスピードを上げる工夫もします」と紹介しました。

また、進学校で知られる長田の三宅主将が、文武両道の土佐(高知)の吉川主将に勉強との両立について尋ねました。
吉川くんは、「練習が終わった後、寮で1時間は勉強時間があります。補習もあります」と勉強との両立の大変さを話しました。
ちなみに三宅くんは、「帰ってからはあまり勉強する時間がないので、通学時のバスの中で単語帳を見たりしています」と話していました。

各校主将に優勝候補を尋ねたところ、大阪桐蔭が10票を集め、断然トップ。
吉澤主将は、「先輩方は優勝していますが、僕たちは、そこまでの実績は残していません。ただ、それだけ注目されているということですので、それは期待の表れでもあると思って優勝をめざしたいです」と言葉を選びつつ、自信をのぞかせていました。

野球を通して学んだこと、後輩に伝えたいことでは、昨夏も4番を打っていた鹿児島実の綿屋主将が、「仲間の大切さや周囲への感謝を学びました。甲子園では最高の一体感で戦いたいです」と落ち着いて話していました。


後半は駆け足で、32校の主将にしゃべってもらい、例年に比べるとあわただしいキャプテントークになりましたが、有意義な時間だったと確信しています。
翌日の抽選会では、釜石と小豆島(香川)の21世紀枠同士が当たるなど好カードが続出。
初日から実力伯仲のいい試合が見られそうです。

更新:2016年3月2日
3月になりました。
センバツ開幕も間近です。
1日は多くの高校で卒業式があり、3年生たちはそれぞれの新しい道へと巣立っていきました。
この日、わたしは縁あって彦根東(滋賀)3年生の「卒団(部)式」に招待を受けました。保護者の方も多くおいでになっていて、生徒たちの旅立ちを祝福しました。


わたしは、ヤフーの個人ページで、昨年の12月11日に、「21世紀枠の理想型は彦根東」と書かせていただいたものですから、誠に手前味噌ですが、そのことを挨拶で述べさせていただきました。
同校は7年前に21世紀枠でセンバツ出場。
3年前の夏には滋賀大会を勝ち抜いて代表になっています。

この日、卒業した3年生が1年生のときでした。
ご存知のように、21世紀枠は、部員不足や過疎などの困難を克服して頑張っているチーム。
地域の名門として文武両道を実践しているチームで、あと一歩で甲子園に届いてない学校に甲子園のチャンスを与えようという趣旨で導入されました。
導入初年度には、宜野座(沖縄)が4強に進出し、その夏や後年のセンバツにも出場するなど、いきなり21世紀枠の価値を高めました。
近年はあまり言われなくなりましたが、個人的には、この「出たあと」が大事と思っています。

宜野座は、21世紀枠で与えられたチャンスを生かし、その後、さらに力をつけて、「実力」で甲子園を掴むまでに成長しました。
このほかに、21世紀枠での出場後、甲子園に登場した学校は鵡川(北海道)、華陵(山口)、利府(宮城)、山形中央と今センバツに出場する土佐(高知)、それに彦根東と合計7校。
これが多いか少ないかはわかりませんが、その後も常に甲子園を狙える、あるいは21世紀出場時よりも力をつけたと思われる学校はこの彦根東など、ほんのわずかだと言わなければなりません。


彦根東は、進学名門ながら、常に滋賀では上位に顔を出し、県の決勝や近畿大会でも善戦していました。
それも加味されての21世紀枠でしたが、その後の活躍は目覚しいものがあります。
どの世代も県の上位に進出し、近江、北大津の2強に肉薄する力を維持していますが、安定した成績は21世紀出場時を上回っているほどです。

この日、卒業した3年生が1年のときは夏の甲子園出場。
次のチームも県3季の大会で全て8強以上。そして今の3年生が主力だった前チームは秋に4強。
春は県3位で近畿大会に出場し、大阪桐蔭を3−2で破って、全国の高校野球ファンを驚かせました。
わたしがこのチームの公式戦を観たのは、秋の滋賀大会準決勝の近江戦だけでしたが、佐々木投手の粘り強い投球をバックが堅守で支える好チームでした。
わたしが特に印象深かったのは、遊撃の百田くんの守備で、佐々木投手がサイドハンドから投げるため、三遊間に打球が飛ぶことが多く、彼の守りがチームを引き締めていたように思いました。
このことは、おいでになっていた百田くんのお父さんにもお伝えしましたし、ハイライト動画で上映された大阪桐蔭戦でも、やはり彼の美技がしばしばピンチを救っていて、そのシーンのたびに拍手が起こっていました。

桐蔭戦では、主将の篠原くんが、現桐蔭エースの高山投手から。
1番打者の森杉くんがエース・田中投手の代わり端にそれぞれホームランを放ちました。
親御さんにとっても、生涯の思い出になると思います。


この日は、高校野球番組のテーマソングでおなじみの西浦達雄さんもゲストで、はなむけの歌を披露してくださり、生徒、保護者一同、感激に浸っていました。
大半の生徒が、国公立大学前期試験の結果待ちでしたが、今後、どの道に進んでも、高校時代の頑張りを思い出して、難局を切り拓いていって欲しいものです。
わたしが選手たちに伝えたのは、「先輩として、常に後輩たちのことを思い、手を差し伸べて欲しいです。それが次の甲子園につながると思います」ということでした。
ひとりのお父さんがおっしゃいました。
「もう一回、このメンバーで夢を追いかけたいなぁ」。
このメンバーはこの日が最後ですが、それぞれが次の夢に向かってはばたく日でもあったはずです。
そして、このメンバーが築き上げた友情は永遠です。

更新:2016年1月21日
新年を迎え、もうあっという間にセンバツ選考会です。
今年は1週遅く、29日の金曜日に行われますが、出場を待ちわびる有力校、ハラハラドキドキして待つ当落線上のチームや21世紀枠の候補校。
さまざまな思いで毎日を過ごしていることと思います。
では、出場校を占ってみましょう。


<北海道>
熱戦の末、北海道栄を逆転で破った札幌第一がセンバツ初出場を確実(夏は3回)にした。
投手力は確かで、神宮大会でも東京代表の関東一に快勝するなど実力も全国レベル。

北海道栄は粘り強く戦ったが惜しくも補欠にとどまりそう。


<東北>
青森がワンツーで、2校独占が濃厚。
青森山田はエース堀岡が、県大会で敗れている八戸学院光星を完封して11年ぶりのセンバツを確実に。
光星は甲子園経験豊富な投手陣を一新したが、今エースの桜井も安定した投球を見せる。

これを追う一番手は盛岡大付。
投打のバランスが良く、東北大会での戦いぶりは光星に引けをとらない。


<関東>
最右翼と見られた横浜(神奈川)が初戦で常総学院に敗れたものの有力校が順当に勝ちあがった。
木更津総合は甲子園実績十分な左腕の早川が健在で、本大会でも上位を狙える。
予選2位の常総は、エース左腕の鈴木、右腕の樫村が力強い。

ベスト4の東海大甲府は、夏の甲子園でも好投した菊地、松葉の両輪が激しいエース争いを演じる。
同じく桐生一は、エース左腕・内池の力投で埼玉優勝の浦和学院を破る殊勲の星を挙げた。

準々決勝敗退組では花咲徳栄の投手力が目を引く。
エース高橋の左腕は夏の甲子園で実証済み。
次いで日本航空(山梨)も力は見劣りしない。
横浜が初戦敗退したように、関東は粒揃いで、組み合わせ次第では結果が大きく違っていたような気がする。


<東京>
注目の早稲田実が2回戦で二松学舎大付に延長サヨナラで敗退。
その二松学舎を逆転で破って関東一が優勝した。
有力校の修徳、帝京をコールドで圧倒するなど、夏の甲子園出場による始動遅れを感じさせない逞しさだった。

二松学舎は1年から活躍するエース・大江、捕手・今村の強力バッテリーで2年連続のセンバツを狙ったが、決勝で敗れて微妙になった。
関東5番手との比較は非常に難しい。
いずれも全国屈指の左腕を擁していて、そこに差を見出すのは困難だ。


<東海>
三重勢の躍進で4強に3校が顔を揃えたが、準決勝、決勝で東邦の軍門に下った。
1年夏に甲子園デビューを果たした藤嶋が名門復活の期待を一身に背負う。
打っても4番で、秀岳館戦では2本塁打を放った。
いなべ総合は初のセンバツが確実に。
東海大会で不振だった投手陣の整備がカギだ。


<北信越>
センバツ連覇を狙う敦賀気比と福井工大福井が東北同様の同県ワンツー。
気比は甲子園でも投げた大型右腕の山崎がどこまで成長しているか。
一昨年秋に神宮で見たときはどれだけの投手になるかと思われたが、安定感は前エースの平沼(日本ハム)に遠く及ばない。
打線も一段の厚みが欲しいところ。

逆に工大福井は打線に活路を見出す。
序盤から畳み掛ける攻撃で主導権を握るのが勝ちパターン。
当然ながら投手力が躍進には欠かせない。

北信越準決勝でいずれも敗退した長野勢は、ともに粘り強いが戦いぶりから工大福井との比較対象になるのは、気比と7回まで互角に戦った佐久長聖か。


<近畿>
実力ナンバーワンの大阪桐蔭が順当に優勝したが、滋賀学園の頑張りで大いに盛り上がった。
桐蔭はエースの高山が神宮で150キロの自己最速を記録するなど成長著しい。
打線は甲子園経験者を連ねる中山、永広、吉沢の1〜3番はどんな攻撃でもできる。
チーム力は前世代より上だろう。

滋賀学園は、神村−後藤の1年生バッテリーを軸に強豪を連破した。
桐蔭との決勝も内容では上回るなど、本大会では波に乗ったら怖い存在になる。

春夏通じて初の甲子園を確実にした明石商はエース・吉高がスプリットを武器に好投した。
打線もまずまずだが、残塁が多いのは気になる。

龍谷大平安は、4年連続のセンバツが確実。
打てなくて苦労した前チームと違い、打線の厚みは近畿屈指。
左腕・市岡が滋賀学園戦で自滅したように、安定感が欲しい。

準々決勝敗退組でまず浮上するのは好投手・村上を擁する智弁学園か。
桐蔭には完敗したが、球威、制球力とも申し分ない。
打線は1年生の1番・太田が牽引する。

実力で遜色ないのは報徳学園。
左腕の主島は1年春から公式戦で投げる期待の投手。
延長14回に1点を奪われて敗れた滋賀学園戦では、本領を発揮した。
打線の援護があれば甲子園でも期待できる。

市和歌山は、コールド勝ちの翌日にコールド負けと、浮き沈みが激しかった。
特に明石商に敗れた試合は、5回までエースの赤羽が無失点で力投していたが、勝負を懸けた代打策が裏目に出てのコールドは痛すぎる。
報徳を覆すとすれば、地域性と中盤までの戦いぶりを評価されたときになるが、コールド負けという現実はチームとしての評価になるとかなり厳しい。


<中国>
好投手・高田を擁する創志学園が試合を重ねるごとに力強さを増していった。
150キロの速球を誇る高田は、初戦こそ立ち上がりに不安をのぞかせたが、スライダーとのコンビネーションで立ち直った。
高田への信頼感が打線にも相乗効果をもたらし、好機を確実にモノにする堅実な試合運びは出色だ。

決勝で大敗したが、準優勝の南陽工も出場は間違いない。
打線の頑張りで決勝まで辿りついたが、投手の柱が欲しい。
準決勝敗退の2校はやや決め手に欠ける。

如水館は5投手の継投と堅守が光る。
開星はエース・吉川の速球に注目が集まるが、試合中のケガで本来の力を発揮できなかった。


<四国>
高松商が見事な復活で、続く神宮でも大活躍。
神宮枠を四国にもたらしたため、3校の選出が確定した。
本格派の浦と神宮で力投した軟投派の多田が投手の軸。
打線は強打の植田響が、今治西(愛媛)戦で逆転満塁弾を含む2アーチ7打点と大暴れ。
名門のファンを熱狂させた。

明徳義塾は投打とも四国大会では今ひとつの出来。
それでも準優勝するのだから恐れ入る。
特にエースの中野は歴代エースと比較すればまだまだの印象だ。

準決勝敗退組では済美の左腕・菊池の力投が目立った。
有力校のひとつ、鳴門(徳島)の河野に投げ勝ったのは自信になるだろう。
土佐の健闘は大会を盛り上げた。
県大会で完敗していた明徳をあと一歩まで追い詰め、短期間での成長を印象付けたのは好材料。
済美を上回る評価を得る可能性もなくはない。

3校確定のため、済美、土佐のいずれかは選出され、こぼれたチームと中国3番手の比較になるが、単純に準決勝の内容だけなら、四国4で中国2になっても不思議ではない。


<九州>
例年、準決勝が極端な試合にならない限り、4強で順当に決まることが多い。
今回も、地域バランスがいいため、先例に倣うことになりそう。

秀岳館は、元松下電器(パナソニック)監督で、解説者としても知られる鍛冶舎監督が就任して2年で結果を出した。
関西出身の選手が多く、試合運びは洗練されている。

海星は、初戦で興南(沖縄)を圧倒して勢いに乗った。
打線の集中打で流れを掴む。

日南学園は、小柄な左腕の森山が奮闘した。
打線は下位まで切れ目がない。

昨夏に続く出場を確実にした鹿児島実は、打線が好調だった。
準決勝の海星戦も初回に4点を先制したが、下手投げの谷村が踏ん張れなかった。


<21世紀枠・3校>
西日本に有力校が目立つ。
小豆島は、神宮優勝の高松商に土をつけて香川大会で優勝している。
出雲も中国で1勝し、開星も追い詰めた。
八重山も九州で鹿児島城西に快勝していて、実力に疑問符をつける余地はない。
加えて、長田のエース・園田は兵庫ナンバーワンの評価で、西の選考は激戦必至だ。

東は、震災による困難克服の釜石、名門進学の長野、第1回夏の出場校・宇治山田などが評価を受けそう。
ただ、当日のプレゼンテーションが大きなウエイトを占めるため、現段階では横一線としておく。



プロフィール

森本 栄浩Photo
名前:森本 栄浩
生年月日:1961年10月4日
入社年:1985年
出身都道府県:滋賀県
出身大学:関西学院大学
趣味:商店街めぐり
何でもひとこと:高校野球の事なら何でも答えられます。甲子園常連校の校歌が歌えます。

担当番組


森本 栄浩アナが亀井 希生アナを30秒で紹介します!