バックナンバー:2017年7月

夏の甲子園  近畿の予選展望~2~

2017年7月 4日

近畿でもいよいよ週末、球音が響き始めます。近畿の予選展望を続けます。

~兵庫~
報徳、神戸国際大付など激戦
センバツベスト4の報徳学園は、大角監督が就任して初めての夏になる。初陣となった春の県大会を制し、順調なスタートを切った。センバツで好投したエース・西垣や左腕の津高、三塁手兼任の池上など投手陣も充実し、試合運びの安定感は随一だ。
kozono.jpg
トップの小園(2年=写真)は長打力が増し、打線に活気を与える。小園が出塁してかき回し、主軸の篠原らで返すパターン。終盤の粘りも健在で、競り合いに強い。
センバツではまさかの初戦敗退を喫した神戸国際大付は、県下一の選手層を誇る。左腕の黒田はマウンド経験豊富で、大崩れしない。岡野ら控え投手陣のレベルアップと起用がカギになる。打線も強力だが、後手に回るともろい面もあり、精神面での逞しさが課題。明石商や報徳とは以前から相性が悪い。
秋の近畿大会に出た育英は、春も3位で上位は堅い。好投手がいる東洋大姫路や神戸弘陵、選手層が厚い神港学園も差はない。100人を超える部員がいる関西学院は、強豪集中ゾーンに入った。伊原木、高木の両輪がどこまで牽引できるか。
公立の強豪が強いのも兵庫の特徴。春の県大会で準優勝した社は、関学や神港学園を破っていて、投打に力がある。昨春センバツ8強の明石商も下級生が伸びていて、昨年決勝敗退の雪辱を期す。春に右腕・山本がクローズアップされた市西宮も楽しみなチーム。練習試合で大阪桐蔭もてこずった速球でどこまで勝ち進むか。昨年代表の市尼崎や、好投手・翁田のいる西脇工もチャンスは十分だ。

~奈良~
智弁学園が4大会連続を狙う
昨春、初めて甲子園優勝を果たした智弁学園が先頭を走る。旧チームから県内では負けなしで、春も苦戦しながら優勝した。
matsumoto.jpg
エースの松本(写真)が、決勝の奈良大付戦で中盤に大量失点し、主砲・太田の2本塁打で逆転サヨナラ勝ちした。昨夏の旧チームが、磯城野や郡山に追い詰められながらもひっくり返したように、このチームにも底力がある。肩の不調で心配された左腕の岩井も高田商に完投勝ちし、小坂監督を安心させた。
春は、智弁を追うライバルが実力通り4強に残り、シードされた。宿命のライバル・天理は順当なら準決勝で智弁と当たる。元近鉄の中村監督にとっては、2度目の夏の采配。打線の力は伝統だが、投手陣の失点が多いのは気になる。
センバツ出場の高田商は、左腕・古川、右腕・杉田に赤井(2年)も加わり、投手力は県下一。春は智弁戦で古川を温存し、夏に備えている。春の準優勝の奈良大付は、あと一歩で金星を逃した。攻守とも秋より戦力が大幅にアップしている。春の準決勝では、天理相手に打ち勝ち、自信を深めたはずだ。高田商と奈良大付の準決勝になるかどうか。
ノーシード勢では、伝統の郡山、御所実、橿原学院なども虎視眈々と上位を狙うが、春の4強が実力通りだったことから、準決勝以降はレベルの高い熱戦になりそうだ。

~和歌山~
智弁和歌山が先頭を走る
智弁和歌山が、投打に他校を引き離している。1年からレギュラーの文元、林(写真)ら2年生が軸の打線は、破壊力抜群。
hayashi.jpg
昨秋の近畿大会、滋賀学園戦で2本塁打を放った林は、春はケガに泣いた。秋に一番を打っていた蔵野が4番に座り、1年生の新戦力も加わった。投手陣は多彩。秋に主戦だった右腕の平田(2年)は速球が武器で、エースナンバーを背負う左腕の黒原は、キレのいい変化球と威力のある速球のコンビネーションが冴える。春に登板機会が増えた左腕の北もいて、不安はない。
秋に県で優勝しながら、近畿大会では4点のリードを守れず延長で散った和歌山東は、巻き返しを狙う。杉本(1年)が試合を作り、主将の野口で逃げ切る勝ちパターンを持つ。秋は2年連続で近畿大会に出ている高野山も力がある。両校とも春は早々に敗退したが、近畿大会では県外の強豪と好勝負を演じていて、侮れない。
春の県大会準優勝の和歌山商は、下手投げの宇田が面白い存在。秋、春とも智弁に敗れている。田辺は好投手を擁し、安定した成績。試合経験豊富な3年生世代が最後の夏になる名門・箕島は、このチームとしては実績に乏しいが、選手の力は智弁に次ぐ。昨年春夏連続出場の市和歌山は、速球派の宮本が相手校にとっては手ごわい。
和歌山勢は、甲子園だけでなく近畿大会でもここ数年ほとんど勝てておらず、野球王国復活を願うファンをやきもきさせている。