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夏の甲子園  近畿の予選展望~1~

2017年6月28日

沖縄と南北北海道では、すでに甲子園をめざした戦いが始まっています。近畿でも組み合わせ抽選がほぼ終わり、いよいよ目標も決まって、臨戦態勢は整いつつあるでしょう。
それでは、近畿の展望を2回に分けて!学年は、注釈ない選手は3年です。

~滋賀~ 
彦根東と滋賀学園、近江が伯仲
秋優勝でセンバツ出場の滋賀学園と、春の覇者・彦根東が順当なら3回戦で当たる。
彦根東は、春の県大会で優勝。続く近畿大会でも京都王者の龍谷大平安を破った。原動力は左腕の増居(2年)。大事な試合を任され、滋賀学園に1失点完投。県決勝でも草津東を完封し、平安戦では2安打2失点で完投した。右腕の松井と左腕横手の原(2年)もいて、投手陣は万全だ。近畿準決勝では、大阪桐蔭を相手に8回までリードするなど、自信をつけている。
対する滋賀学園は、打線の奮起がカギ。エースの棚原を立てて彦根東に敗れたが、秋に猛威を振るった打棒は、センバツ以降鳴りを潜めている。神村、宮城(2年)、光本(2年)ら投手力は差がないだけに、後藤、武井らのバットに期待を寄せる。彦根東と当たる前に好左腕を擁する比叡山と対戦する可能性もあり、滋賀学園にとっては極めて厳しい抽選運となった。
2年連続出場を狙う近江は選手層が厚い。

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投手陣は、村田、香水(かすい)の上級生が力をつけ、秋に主力だった2年生の松岡、佐合(さごう)、金城らが控えに回る。入学早々、本塁打を量産し注目された北村(2年=写真)は、同校にとって待望久しかった右のスラッガーで、甲子園では安打を放ったが、長打力の本領は発揮しておらず、再度の大舞台で飛躍を誓う。今回は比較的恵まれたゾーンに入り、4強までは戦いやすい。
好左腕・木田のいる伊吹は、近年、力をつけシードされた。このゾーンの有力校は、瀬田工、水口など。また、サッカーの強豪として知られる草津東も春は近江に勝つなど楽しみなチーム。このゾーンには北大津が入った。名将・宮崎監督の異動(安曇川)で実質・新体制の北大津が優勝戦線をどこまで脅かすか。

~京都~
龍谷大平安、東山の古豪が激戦の同ゾーンに
近年まれに見る混戦。
秋、春とも4強に残ったのは龍谷大平安(秋3位、春優勝)だけで、古都の盟主がやはりこの夏も中心になる。エースの小寺(2年)は、速球を軸に変化球とのコンビネーションが秀逸。大型速球派の島田(2年)と春から好調の左腕・高井もいて、投手は質、量とも申し分ない。打線は、入学時から逸材として注目を浴びた岡田が最後の夏に一皮剥けるか。
今チームに関しては、小寺を始めレギュラーの過半数が下級生で、ここが弱点でもある。ベテラン・原田監督は、「最後の夏と言っても、2年生と3年生では考え方が全然違う。3年生がいかに変われるか」と上級生の発奮を促している。
対抗は、秋に平安を破って優勝した東山。

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エースの金和(写真)は、緩急をうまく使って粘り強い投球をする。控えの小山(2年)らのレベルアップが不可欠だ。打線は、秋に1番で春は3番を打った田中が軸。長打力があり、好機に強い。春は京都の公式戦で初めてのタイブレークを経験し、京都国際に敗れたが、戦力的には府下トップクラスと言える。
この両古豪が同じゾーンに入り、順当なら準々決勝で当たるが、東山は初戦で乙訓と対戦する。秋は公立で唯一、4強入りし、春のオープン戦では滋賀学園を完封するなど投手力の充実ぶりが目を引く。右腕・田中、川畑に左腕・冨山とエース級が揃い、強豪私学も羨む陣容。この試合が優勝争いを左右することは間違いない。このゾーンでは、洛星と鳥羽が初戦で激突するなど、突出した激戦となっている。
また、秋2位の京都翔英は、春2位の綾部と同じゾーンになった。好投手・北山のいる京都成章のゾーンでは、福知山成美と立命館の初戦に注目。この勝者は次戦で立命館宇治と当たる公算大。春日丘(大阪)で甲子園経験のある神前監督率いる京都共栄も力をつけ、京都国際と同じゾーンで上位を狙う。

~大阪~
王者・大阪桐蔭に待ったをかけるのは履正社しかない
センバツを制し、続く春の府大会、近畿大会でも優勝した大阪桐蔭が全国から注目を浴びる。近畿決勝は、春の府大会で履正社を破った東海大仰星に毎回得点の18-0で粉砕した。前日の彦根東戦で苦戦(9回逆転)した反省から、気合が入っていたこともあるが、夏の本番を前に力の差を見せつけた。
エース徳山はもちろん、左腕・横川、右腕・柿木(ともに2年)に経験を積ませ、底上げは万全。切り札・根尾(2年)もいて、投手陣に死角は見当たらない。骨折でセンバツを棒に振った捕手の岩本も復帰し、頼もしい。打線も藤原、中川、根尾らの下級生が順調に伸びていて、全国一の戦力であることは明らかだ。この「最強軍団」を倒すチームはあるのか?
ライバルの履正社は、春の府大会で下級生投手を起用して、桐蔭との直接対決を前に敗れた。センバツ決勝での敗戦ショックは少なからずあるようだが、残された時間はわずかしかない。

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すべてはエース・竹田(写真)の復調に懸かっている。桐蔭が徳山以外の投手も力強いのに対し、履正社は竹田の力が飛びぬけているため、竹田が直接対決をいかにいい状態で迎えられるかが最大のポイントだ。センバツでも投げた左腕・松井、下級生の位田(いんでん)や岡田らがエースをしっかりサポートしたい。打線は全国屈指の強打・安田や主将・若林が健在で、全国を見渡しても、桐蔭と遜色ない戦力なのは履正社しかない。このライバル対決は、夏の甲子園決勝よりもレベルが高いと断言する。桐蔭が敗れるとすれば、甲子園より、予選の方が可能性が高い。
2強を追うのは古豪・大体大浪商。宮本、田村の左腕二枚を擁し、昨夏に続き投手力で勝負する。春の近畿では、智弁学園(奈良)を延長タイブレークで破った。秋優勝ながらセンバツを逃した上宮太子は、エース森田が頼みの綱。秋の履正社撃破は自信になっているはずだ。東海大仰星も近畿初戦で、センバツ4強の報徳学園(兵庫)に競り勝つなど、2強に続く有力校も全国レベルの力を持つ。しかし、近畿決勝のワンサイドで明らかなように、ツートップとはかなりの差があると言わざるをえない。